3種の5G SIMカード:その特徴と選択のポイント

次世代通信規格の5G標準に準拠する初の携帯端末の発売を目前に控えたこのタイミングでは、製品内部の核となるテクノロジーを変更するにはそれなりの決断が必要かもしれません。それでも、世界のSIM業界の90%の企業を加盟する団体は、携帯電話会社に対して今後のモバイルデバイスのネットワークセキュリティやユーザープライバシー、バッテリー寿命の向上効果が期待できる手立てとして、実際の5Gサービスを開始する前に、新しい5G SIMカードを採用するよう呼びかけています

SIMアライアンスと呼ばれるこの非営利団体によれば、この呼びかけを受けた携帯電話会社は、現実性とタイミングを考慮して「暫定」「推奨」「低電力」という3種類の5G SIMカードを検討することになりそうです。

まず「暫定」のカードは、いわば初期の5Gデバイスで5Gネットワークを利用するための基礎的な手段であり、新しい5Gセキュリティプロトコルや安全な一時キーを利用して、OTA、つまり無線通信によるSIMの更新やアプリ管理をサポートします。しかし、ユーザー体験の質をこれまで以上に向上させるような効果はほとんど期待できません。「暫定」の言葉が示すように、このタイプのカードが使われるのは携帯電話会社による5G採用の極めて初期の段階に限られるというのが、SIMアライアンスの見解です。

これに対して、「推奨」のカードは、5G標準を最大限活用することが可能な「最も将来性の高い」選択肢となるでしょう。このSIMは強化された5Gセキュリティをサポートするだけでなく、5Gユーザーの識別情報の暗号化によってプライバシーを保護し、ユーザーのQoE、すなわち体験の質を高めるさまざまな機能をサポートします。そして、デバイス向けのリソース最適化ツールを用いれば、マルチメディアコンテンツや地域ごとローミングパフォーマンスの優先順位を調整して最適化を図ることもできるのです。

GPS性能が劇的に向上し、デバイスがデータを常時ストリーミングするようになることが予想される時代には、5G加入者のプライバシーが重大な懸念事項になりますが、実際にこの点を心配しているのは携帯電話業界の一部に限られているようにも見受けられます。多くの企業や政府機関は、5G標準によって4Gよりもセキュリティが強化されなくてはならないという点では一致しているものの、プライバシーに関してはそれほどでもないと感じられるためです。これは、暫定カードにセキュリティ機能が含まれながらもプライバシー機能には対応していない理由の1つと考えられます。

3番目の「低電力」のカードは「推奨」カードの一種ともいえますが、IoTデバイス用に特別に設計されたものです。「推奨」カードのほとんどの機能が搭載される反面、プライバシー関連の機能を省き、バッテリー寿命の延長をサポートする複数のプロトコルが追加されると予想されます。その結果、5G対応のIoTセンサーやデバイスは、高速でやり取りされる小容量の送信パケットの管理を徹底して行うことが可能で、10年間のバッテリー寿命を実現できるようになるのです。

「低電力」カードは、デバイスごとの詳細なカスタマイズ設定機能を搭載してネットワークの通信量を削減するほか、電力節約のためにデータの利用頻度をデバイスと協調的に取り決める機能や、電源を切る前にデバイスの状態を保存して次回の利用時に読み出すことで再設定時の手間と消費電力を省く機能も有するかもしれません。また、デバイスやデバイスタイプごとにカードの仕様をロックすることで、たとえば信号機内でデータ通信の無制限プランを利用しているSIMが盗まれて他の端末に使われることがないようにできるようになる可能性もあります。

SIMアライアンスのレミー・クリッコ会長は、5G SIMに対する同団体の立場を次のように説明しました。「SIMは、5G標準化団体である3GPPの定める規格に従って5Gネットワークアクセスを保証できる唯一のプラットフォームです。そして、我々SIMアライアンスがSIM業界の代表として推奨する5G SIMは、5Gネットワークに最高水準のセキュリティと機能をもたらすことができます。SIMアライアンス推奨のその5G SIM5Gサービスの開始時に採用すれば、移動体通信事業者は考え得る最高のユーザー体験とサービス、セキュリティ、プライバシーのすべてを顧客に提供できるでしょう。また、投資を最適化して、5Gの潜在能力を余すところなく引き出す準備を整え、将来のユースケースや可能性に対応できるようにもなるのです。」

ちなみに5G SIMでのサポートが見込まれる技術的特徴の詳細については、こちらの3GPPリリース15仕様の5G SIMカードの提案書で説明されています。ただし、「推奨」5G SIMカードが2019年初頭に予定される第1弾の5Gスマートフォンに間に合うかどうか、また、携帯電話会社が暫定的なSIMで当面を乗り切る意図があるかどうかについては、依然として不明確です。

この記事はVentureBeat向けにジェレミー・ホーウィッツが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。