専門家が語る2019年のIoT:その可能性と課題

IoTは、さまざまな業種や業界で活躍する企業に数多くのチャンスをもたらしています。しかし、このチャンスは、それと同じほどの課題も作り出しているといえそうです。IoTの普及に備えるだけでなく、近い将来にサービスと製品とのコネクティビティを実現しようと、今や多くの企業が自社の体制を整え始めています。とはいえ、IoT業界が活況を呈し、その経営陣がこの分野で成功を収めるためには、ビジネス、社会、テクノロジーに関わる種々の問題を克服しなければなりません。

こうした状況の中、CPU業界の巨大企業であるインテルは、同社の投資事業部門であるインテルキャピタルが、自社のポートフォリオに加わるスタートアップ12社への投資に向けて7200万ドルを用意すると発表しました。インテルはこれまでにも、IoTベンチャーに対して1億1,500万ドルを投資してきた実績があります。先に述べたようにIoTは課題も抱えていますが、同時に、システムの実装や拡張性の問題に対応できるソリューションプロバイダにとっては、潜在的なチャンスをもたらす存在です。そのことに気づき始めた経営者も、徐々に増えているといえるでしょう。

世界経済フォーラムは今年、2018年版のグローバルリスク報告書を公開しました。この報告書を支える研究者たちは、毎年、各国の政策決定者や専門家と協力して、世界が直面する最も重大なリスクを分析しています。社会的不和が深刻化し、リスクの相互関連性が広がる中、今年の報告書で強調されているのは、私たちが依存するさまざまなグローバルシステムにかかる負担が急増しているということです。中でも、この報告書ではサイバー攻撃に関連する課題とIoTが大きく取り上げられています。2018年にも特有の問題点はありましたが、ここでは、2019年にIoTが直面することになりそうな課題について専門家たちの洞察を紹介することにしましょう。

アビナブ・デュビーブレッドウェア社CSO

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IoT製品の開発を行うブレッドウェアでCSO、つまり最高サステナビリティ責任者を務めるアビナブ・デュビー氏は、企業家・ストラテジストであると同時に、科学技術者の精神も兼ね備えた人物です。自動化機器の開発・販売を行うハネウェルや半導体メーカーのAMDなどで10年以上の業界経験を積んだのち、IoTをメインテーマに据えてスタートアップの世界に乗り出したデュビー氏は、自らの挑戦を心から楽しんでいます。同氏は英国オックスフォード大学でMBAを、バンガロールのキリスト大学で理学修士号を取得しており、そのモットーは「楽しむこと、そして楽しい人でいること」です。

そんなデュビー氏は、IoT分野の見通しについて、次のように述べています。「2017年に公開されたシスコの調査によると、IoTプロジェクトの3分の1が失敗に終わり、60%が概念実証段階から先へ進むことができませんでした。大小を問わずほとんどの企業がIoTの実験を行っているものの、皮肉なことにプロジェクトが進むにつれて気付かされるのは、どの企業もほぼ例外なく『IoTプロジェクトから期待されるメリットに惑わされていた』という事実なのです。IoTプロジェクトの計画全体の実現を目指すのは、確かに難しいことではありますが、その大きな理由の1つとして、そもそもIoTに関する専門知識が不足していたという点が挙げられます。IoTはハードウェア、ソフトウェア、ネットワーキング、セキュリティなど数多くの領域にまたがる分野であるため、プロジェクトを構想する時点で、それに伴う複雑さを見通して現実的に見積もることが大変難しくなっているのです。したがって、2019年も引き続き短期的な課題は、IoTの深い専門知識を有する適切な人材やパートナーを見つけることにあるといえるでしょう」

ラマン・メータビステオン社CIO

Raman Mehta - Intellectus community member

ラマン・メータ氏はフォーチュン500企業でもある自動車向け電子部品会社ビステオンCIO、すなわち最高情報責任者です。CIOマガジンによる2013年・2017年のCIO 100アワード、コンピュータワールド誌による2012年のプレミア 100 IT リーダーズ・アワード、クレインズ・デトロイト・ビジネス誌によるCIOアワードなど、メータ氏はこの分野のリーダーに贈られる賞をいくつも受賞しています。

メータ氏は、2019年の展望を次のように述べました。「IIoTことインダストリアルIoTは、製造業に革命をもたらす可能性を秘めています。エッジコンピューティングの最近の進歩、そしてクラウド導入の増加により、IIoTを活用したスマートファクトリーの実現が簡単に行えるようになりました。セキュリティ問題は引き続き大きな課題として残り、特にマシンラーニングやAIのためにIIoTから得られる莫大なデータをクラウドへ送り始める際に、顕在化し始めるでしょう」

マウリ・スリニバサンモボデクスター社創立者兼CEO

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マウリ・スリニバサン氏はシリアルアントレプレナーであり、IoT向けのソフトウェアプラットフォームを提供する多国籍企業のモボデクスターとフリファイの共同創立者です。同氏はIoT、ドローン、ブロックチェーン技術分野の複数のスタートアップ企業において、役員や顧問、メンターを務めています。

スリニバサン氏は、2019年のIoTを次のように見ています。「IoTソリューションの統合が複雑なのは、インターフェースの種類が多く、共通して利用できる標準規格がないためです。無線接続プロトコルだけでも、3G/4G/5GWi-Fi、ジグビー、Z-ウェーブ、ローラ、ブルートゥースというように数多く存在します。そのため、IoTソリューションの構築にあたっては、通常、デバイス、クラウド、モバイルアプリの間で必要となる、さまざまなハードウェアとソフトウェアのインタラクションのプロトタイプを作ってテストしなければなりません。これが意味するのは、IoTプロジェクトに取り組んでいる技術者とソリューション設計者が、ソリューションデザインに関わるさまざまな技術の広さと奥深さを理解しなければならないということです。その上で、広い範囲をカバーするIoTソリューションをデザイン・実装するためには、多様なスキルを持ったチームが必要となります。このような多様性に対処してソリューションを開発するには、たいていの場合、困難や複雑性が伴うため、あらかじめ、それに備えて人材や知識を得ておくことが重要なのです。」

 

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