AIソフトウェアメーカーのシンクロン、部品の在庫管理で業界のサプライヤを支援

建設など製造関連業界の各セクタでは、部品の破損や不具合が何百万ドルもの利益の損失につながりかねません。また農業分野でも、たとえば、平均的な農場経営者にとって18時間の稼働停止は、作物の植え付け時ならば5,000ドル近く、収穫時ならば約2,000ドルの損失になります。

このような状況に陥らないために、創業18年のスウェーデン企業、シンクロンはAIを活用することを考えました。同社は、業界のメーカー各社に販売後のメンテナンスおよび交換部品に関するサービスを提供しており、AIによって、価格変動や在庫補充の必要性、その他のサプライチェーンや在庫の傾向などを予測する技術を確立しました。

マッキンゼー・グローバル・インスティテュートによれば、このような予測分析によって期待される企業のコスト削減効果は、2025年までに2,000億~6,000億ドルに上るとされています。

元アクセンチュアの幹部で、シンクロンの現CEOであるアンダース・グルーデン氏は、ベンチャービートによる電話インタビューに対して「当社の目標は、お客様に何らかの問題が発生しそうなタイミングを予測すること。そして、問題が発生したときには、すぐに是正できるようにすることです」と答えました。

シンクロンは、ソフトウェアをサービスとして扱うSaaS製品として「シンクロン・インベントリー」と「シンクロン・プライス」という2つの柱を持ち、それらを自社の「サービス・クラウド」スイートにバンドルして提供しています。「シンクロン・インベントリー」は、企業の在庫補充の必要性を季節パターンや傾向に基づいて予測し、「シンクロン・プライス」は、世界および地域ごとの価格表や割引、リベートを考慮して最適な部品価格を特定するものです。

同社はどちらの製品にも多額の投資を行っており、最高マーケティング責任者のゲイリー・ブルックス氏によれば「ビジネスの基盤となる機械学習アルゴリズムの開発に対して、収益の20%以上を注ぎ込んでいる」とのことです。

その一方で、このAI利用のサービスは利益も生み出しています。建設会社JCBでは、14の流通センターと2,000を超えるディーラー拠点を結ぶネットワークの管理に「シンクロン・インベントリー」を利用しており、自動車メーカーのボルボは、1,300拠点にわたって25万点以上の部品を追跡するために「シンクロン・プライス」を役立てているという具合です。

ブルックス氏曰く、シンクロンのソリューションは、その他の製造企業や自動車メーカーにおいても、フィルレート、すなわち、顧客から要求された部品の数量のうちでディーラーの在庫から直接充足できた数量の割合を、60%から90%に向上させることに貢献したとのことです。

また、同社はさらなる成功に向けた取り組みも進めています。その一環として、年内には、各種センサーからの情報の監視して、修理部品や交換部品が必要になると思われる時期や箇所を予想し、製品の不具合を減らすことを目的とした「シンクロン・アップタイム」をリリースする予定です。

「シンクロン・アップタイム」は、2020年までに30億ドル規模に成長することが見込まれる、製造市場でのIoT活用を前提にしています。

グルーデン氏は、この点について次のように述べました。「これは、各種設備から取得したセンサーデータに対して機械学習フレームワークを適用することにより、不具合の発生傾向を把握するソリューションです。当社のテクノロジーを利用すると、お客様は事前にダウンタイムが発生する可能性を把握し、回避できるようになります。」

シンクロンは、全世界10ヶ所にオフィスを構え、100ヶ国以上で事業を展開し、その顧客には、ボルボ、ブラザー、キャタピラー、エレクトロラックス、日立、マツダ、そして、世界最大手の産業クレーンメーカーの1つであるマニトワッククレーンといった企業が名を連ねています。

同社は、2018年度の第1四半期に過去最高の業績を記録しただけでなく、過去1年間の収益が3,500万ドルに達しました。つまり、部品の在庫管理や製品の不具合の発生を回避するうえで、AIの活用はとても理にかなった手法だといえるのです。

この記事はVentureBeat向けにカイル・ウィガーズが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。