AIが商品開発を変える―ボックス、トリバゴ、イントゥイット、ナラロジックスのエキスパートがその展望を語る

AIはビジネスの未来であるそれはもはや明らかなことです。アドビの調査によれば、2019年には31%を超える企業が何らかの形でAIを取り入れる予定であり、72%もの企業リーダーが、将来的にAIが企業の「基盤」になると考えています。とはいえ、企業がまだそうした未来に向かって突き進んでいる中で、実際のAIは製品開発やビジネスモデルをどのように変えていくのでしょうか?

ベンチャービートが主催した「トランスフォーム2018」サミットのパネルディスカッションでは、各社のエキスパートがそれらの疑問に答えるべく意見を交わしました。パネリストは、クラウドストレージプロバイダであるボックスでシニアディレクタ兼プラットフォームマネージャを務めるフェイザン・ブズダー氏、ホテル比較サービスのトリバゴの商品責任者であるウィルコ・ヴァン・ダンケルク氏、税務ソフトウェア企業のイントゥイットの商品管理担当ディレクタであるジョン・ファゾーリ氏、そして、企業向けに脳神経を模した情報プラットフォームを提供しているナラロジックスのCEOであるジャナ・エッガース氏の4名です。

まず、ブズダー氏は、企業セクターにおけるAIの効果は「すでに明らかだ」といいます。同氏が属するボックスは、最近、自社のリアルタイムファイリングフィルタの向上を図るため、マシンラーニングを利用した文脈検索サービスである「バター.ai」を買収しました。この文脈検索テクノロジーは、企業がグーグルドライブやトレロ、エバーノート、コンフルーエンス、ドロップボックスなどの複数の企業向けWebサービスを横断して検索することが可能です。また、6月に同社は、クラウドでホストされているファイルに新機能を追加するアプリのスイート「ボックス・スキルズ」を正式にリリースしました。これには、グーグルのクラウドイメージAPIを利用する画像処理機能スキルや、IBMのAIサービスであるワトソンを活用した画像およびドキュメント分析スキル、マイクロソフトのクラウドサービスのアズールを読み上げ機能で強化するオーディオ系のスキルが含まれています。

「このアプリスイートは、企業がマシンラーニングの恩恵をすばやく体験できるようにするためのものです」と、ブズダー氏は言います。「データ入力を想像してみてください。入力後の検証プロセスにマシンラーニングを導入すれば、その過程は同じように見えても、企業としてのコストを大幅に削減できることになります。」

一方、トリバゴでは、AIマシンの原動力となる重要な要素としてデータを捉えています。ヴァン・ダンケルク氏の説明によると、同社の旅行プラットフォームは利用者とのやりとりが増えるほど洗練され、旅行者の傾向や好みを学習するほど個人に合わせてよりふさわしい結果を表示できるようになるとのことです。同社は近年、こうした機能を強化するための重要な買収を行ってきました。たとえば、今年の5月には、10,000以上の都市と25,000を超える地域における分析結果に基づいて旅行者ごとに最適化された予約を行うためのノウハウを有する米国拠点のスタートアップ、トリップハッピーを傘下に収めました。また、20179月には、ユーザーのSNSのアクティビティからおすすめの旅行を提案するIT企業、トリップルを吸収しています。

とはいえ、ヴァン・ダンケルク氏によれば「AIシステムの導入は慎重に行わなければならない」ものです。適切な調査を行い、処理の透明性を確保しなければ、気づかないうちにデータセットやアルゴリズムに偏りが生まれかねません。

ファゾーリ氏もこれに同意し、アルゴリズムには「単調な作業を自動化」して「収益性を上げる」可能性がある反面、そこに「落とし穴が存在する」危険性も含まれることをビジネスリーダーが知っておかなければ、「AIを導入しても無駄になる」恐れがあるといいます。

これに対して、コンテンツマッチングを専門とするボストン拠点の企業、ナラロジックスを率いるエッガース氏の見方は、もう少し楽観的です。彼女は、ディープラーニングやニューラルネットワークといった「流行りの現象によくわからないまま熱狂することの危険性」を指摘しながらも、「AIは、特に小売と金融分野において変革をもたらすもの」と考えており、「多少の困難が伴うとしても導入すべき」との持論を披露しました。

同社自体も、独自の製品推奨プラットフォームにAIを組み込んでいます。化粧品会社のオーレイは、このサービスを導入したことでコンバージョン率を2倍に引き上げることに成功し、AIベースのスキンアドバイザーの活用によって中国だけで顧客の平均購入額を40%増加させたほか、Webサイト訪問者の直帰率を以前の3分の1にまで減らしました。

エッガース氏は、AI導入のポイントを次のように述べています。「企業への私からのおすすめは、AIを積極的に利用しようとする、優れたソフトウェアエンジニアを採用することです。」つまり、自らAIの可能性を信じ、困難を乗り越えてそのメリットを伸ばしていけるようなスタッフの確保が、ビジネス改革には欠かせないといってよいでしょう。

この記事はVentureBeat向けにカイル・ウィガーズが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。