金融業界で広がるメッセージアプリ活用 ~顧客接点の品質向上でインドの銀行ではコンバージョン率300%増の事例も~

スマートフォンなどの端末上でより手軽にコミュニケーションを行い、必要な情報を素早くやり取りできる手段として、LINEやFacebookなどのメッセンジャーに代表されるメッセージングアプリケーション(メッセージアプリ)が私たちの生活に急速に浸透してきています。金融機関の営業やマーケティングにおいても有効なツールとして期待されているメッセージアプリが、ビジネスにどのようなインパクトをもたらしているか、事例を通じてご紹介します。

ビジネスでも活用が進むメッセージアプリ

米国をはじめとする多くの国々で、企業がメッセージアプリをお客様とのコミュニケーションに利用する傾向が高まっています。これまで利用されてきたメールは、今では企業の活用が当たり前になっており、お客様にとって必ずしも欲しい・必要な情報ではないメールマガジンなど、 "ノイズ"が多く含まれるようになってきています。
このような背景もあり、電子メール、通話の時代からコミュニケーションのメインツールとして、LINEやFacebookメッセンジャーなどのメッセージアプリへの注目が高まっています。ある調査によれば、現在世界中で50億人以上の人々がスマートフォンを利用していますが、その中でメッセージングアプリが最も多く使用されているといいます。
また、テキストメッセージの95%が3分以内に開封されており、さらに90秒以内になんらかの応答をしているという調査結果もあります。

このような"メッセージング革命"に伴い、企業にとっても、お客様との間でOne to Oneのコミュニケーションを取るのにメッセージアプリは最適な方法となり、米国やインドなど多くの国々でビジネスでの活用が加速してきています。実際、2017年にはApple、Google、Facebookがビジネス用途を想定したメッセージアプリを発表しています。

ビジネスでのメッセージアプリ活用に向けて立ちはだかる課題

一方で、メッセージアプリのビジネス活用に二の足を踏む企業も少なくありません。最も大きな障壁となっているのが、ガバナンスやコンプライアンス上の問題です。従業員がメッセージアプリを通じて、いつ、誰と、どういう情報をやり取りしているのかを把握できなければ、不適切な顧客対応や情報流出といったリスクも生じてきます。特に、ビジネスに高度な信頼性が求められる金融機関にとって、コンプライアンス問題などの発生は致命的です。

また、メッセージアプリへの期待として、単にメッセージや資料のやり取りが手軽に行えるだけではなく、より効果的で精度の高い営業活動、マーケティング活動の展開につなげていきたいという声もあります。既に各企業で活用しているビジネスインテリジェンスなどの仕組みとの連携や、CRMやERP、SFA、マーケティングオートメーションなどのシステムとの連動により、コミュニケーションツールという枠組みを超えて、より付加価値の高いビジネスツールとして活用していきたいというニーズが高まってきています。

金融機関のデジタル革新を支えるソリューション「Eltropy」

これらの課題に対し、Eltropy社は金融機関に特化したソリューション「Eltropy」を提供しています。
Eltropy社は、2013年に米国シリコンバレーで設立されたスタートアップで、銀行やクレジットカード会社、保険会社に向けて、富裕層向けサービスや住宅ローン、資産管理などのサービスを支援するソリューションの提供で高い評価を得ています。

Eltropyは「メッセージングモジュール」「コンテンツ管理モジュール」「AIモジュール」という3つのコンポーネントで構成されるクラウドベースのプラットフォームで、メッセージングアプリケーションのセキュアな活用による、お客様とのリレーション強化から顧客接点の改善、効果的な営業、マーケティング戦略の策定に至る領域をトータルに支援しています。

様々なメッセージアプリと連携したコミュニケーション

まず、メッセージングモジュールですが、これはSMSやLINE、Facebook Messenger、WhatsAppといったメッセージアプリとの連携により、お客様へのコンテンツ送信を担う部分。各種アプリケーションとの連携は、あらかじめ用意されたAPIを経由して手軽にできます。

50種類以上の配信コンテンツを一元的に管理・共有

コンテンツ管理モジュールは、お客様に配信するコンテンツを管理するものです。例えばPDFなどのドキュメントで作成されたパンフレットなどをはじめ、ビデオやアンケート、フォームといった50種類以上のコンテンツをここにアップロードして保存し、管理・共有できます。メッセージングモジュールを通じて配信するコンテンツはすべて、Eltropy上に集約して管理されるため、企業がその内容に関する統制をしっかりと効かせることが可能です。

コンテンツ管理画面から簡単にコンテンツの編集・配信が可能

AIにより予測分析が可能

そして、AIモジュールはお客様の行動分析や、それを踏まえた見込み顧客の予測などのビジネスインテリジェンスの機能を提供する部分。例えば配信されたコンテンツについての既読や未読といった状況、ファイルの開封やメッセージに記載されたURLのクリックなど、お客様がどのようなアクションを取っているかをリアルタイムに把握できます。
具体的には、クリック率やアクセス回数などの顧客行動をデータ化し過去の成約率などのデータと付き合わせることで、AIが機械学習をして見込み顧客の分析ができます。
これにより、購入の可能性を可視化したり、誰にいつアプローチすべきかなど、多様な分析を高精度に実現できます。

お客様ごとの行動をダッシュボード上で可視化し分析が可能

インドの銀行がEltropyで顧客エンゲージメントが11倍向上の成果

すでにEltropyの導入により、多大な成果を享受している金融機関もあります。その代表的な事例が、インドの最大級の商業銀行への導入事例です。
同行の富裕層向けのバンキングサービスチームでは、電話や電子メールといったレガシーなコミュニケーションチャネルが、時代とともに思うように機能しなくなってきているという課題を抱えていました。顧客である富裕層の人々の場合、様々な事業者などからの営業アプローチが電話や電子メールによって日々寄せられている状況で、そうした雑多な"ノイズ"を嫌って、電話にも出なければ、メールを見ないという人が多くなりました。"ノイズ"を嫌う人たちも、メッセージングサービスならばIDが特定の人々にしか知られていないため、必要なコミュニケーションにはメッセージングサービスを利用するというケースが増えているといいます。
この銀行では、富裕層のお客様とのコミュニケーションを、メッセージアプリを主体に行うとし、有効なプラットフォームとしてEltropyを導入。具体的には、WhatsAppを利用してコンテンツを共有するなど、お客様との間でパーソナライズされたコミュニケーションを実現することで、顧客エンゲージメントが11倍向上するという効果がもたらされ、コンバージョン率が300%増大。さらには同行の運用資産が6カ月の間に80億円相当の増加を見るという成果にもつながっています。

金融業界におけるメッセージアプリ活用の普及に貢献

富士通ではEltropyがもたらす効果を、日本の金融機関のお客様に最適に享受してもらうため、現在、Eltropy社との提携等の交渉を含めた準備作業を進めています。Eltropyを通じて、金融業界のお客様のデジタル革新の推進を支援していきます。