変化の荒波を勝ち抜く企業の秘密は組織全体の学習意欲

ビジネスの変化は、今に始まったことではありません。この20年の間に、職場環境はデジタル技術の進歩によってすっかり変わりました。従来の体制や慣習は消え去り、新しいビジネスのやり方がそれに取って代わったのです。その新しいやり方は、デジタルテクノロジーによって可能となった在宅勤務やフレックス勤務、そしてコラボレーションの支援に向けて考案されたものでした。

AIとロボティクスの背景にあるテクノロジーがより一層洗練されていくにつれ、自動化されない仕事の数は減っていくことでしょう。「遅れを取らないために、企業は業務体系を見直し、仕事を新しく作り直し、人員を再配置し、将来に向けた確固たるプランを実施する必要があります」と、LBSことロンドンビジネススクールのマネジメント・プラクティスの教授であるリンダ・グラットンは述べています。

また、新たな社会的潮流と人口統計の推移も考慮に入れておくべきです。2025年までに、1980年~1999年生まれのミレニアル世代が労働人口のおよそ75%を構成し、テクノロジーへのリテラシーと、いつ、どこで、どのように働くべきかについての明確なビジョンを持つ新時代の労働者層となることが見込まれています。また、3040年前と比べて働く女性の数も増え、柔軟な働き方を求める共働き夫婦も多くなってきました。

未来の労働人口の構成は、今日のものとは異なる姿を見せます。その理由の1つは、人々の寿命が伸び、以前よりも長く働き続けていることです。もしかすると、70代まで働くことが普通になるかもしれません。「そうなれば、仕事への取り組み方も変わってきます。というのは、短距離走ではなくマラソンのようになるからです」と、グラットンはつけ加えています。

企業のリーダーやマネージャが、個別の課題に応じたカスタムプランを作成して組織の革新に役立てるために、LBS経営層教育チームの協力を仰ぐこともあるかもしれません。

すでにLBSは、ネスレ、ING、サノフィ、マイクロソフト、エミレーツ航空、ダノンなどトップクラスのグローバル組織と直接的な協力関係を築き、各企業の将来戦略に合わせた専用のカスタムプランを作成しています。

たとえば、マイクロソフトの販売チームは、LBSとのコラボレーションによって、世界中の顧客との間に信頼関係を築くための態勢強化を行いました。ダノンも、カスタムプランに基づく体験学習を通じて、経営幹部の能力を高めることに成功しています。金融サービス企業グループのノルデアは、別のカスタムプランを利用して、次世代の戦略的リーダー輩出に向けたパイプラインを開発しました。

一方で、多くの組織にとって職場環境を変革するうえでの最大の課題は、効率性と成果を引き上げる新しいテクノロジーの導入と、それを雇用への潜在的な脅威ととらえる従業員たちとの間の調整です。

AIとロボティクスを組み合わせると、定型的な繰り返しの作業や限定的な作業ならば、ほとんど自動化できる可能性があります。しかし、LBSの客員講師であるマイケル・デイビスは、「作業は自動化されるとしても、必ずしも仕事そのものがなくなるわけではない」という重要なポイントを指摘しています。この見解は、自動化とは何かを考えるうえで、実に前向きなものであるといえるでしょう。

デイビスは、次のようにも述べています。「AIIoT、クラウドサービス、スマートデバイスなどのテクノロジーがもたらすインパクトによって引き起こされる変化は、『創造力の解放』という言葉に集約されます。実のところ、今、進行中の改革は、ルーチンワークによる時間的束縛を自動化によって解消し、節約できた時間を、生産物や成果、顧客サービスの向上に使えるようにするということなのです。」

こうした流れは、すでに大規模な組織の多くで明確に現れ始めており、富士通も、そのうちの一つです。同社のヨーロッパ、中東、インド、アフリカおよびアメリカ地域のCEOであるダンカン・テイトは、次のように述べています。「当社では、RPAことロボティック・プロセス・オートメーションに向けた独自の先端研究組織をヨーロッパに設立し、ITインシデント管理などの自社サービスの一部で、顧客向けの自動化を進めてきました。これによって、当社の従業員自身も同じような定型作業の束縛から解放され、より高度でやりがいのある仕事に集中できています。このように自社ビジネスにおける自動化のプロセスを経験することでさまざまな洞察が得られ、それを顧客と共有して業務を改善することが可能になるというわけです。」

他の業界の人々の働き方も、自動化とAIのおかげで大きく変わりつつあります。たとえば、こうした新しいテクノロジーをコールセンターに導入した企業は、オンラインでの問い合わせ件数を著しく増やすことに成功し、その分、非効率な電話による問い合わせを減らすことが可能になりました。結果的に、オペレーターの時間的な束縛は軽減され、顧客の抱える複雑な問題への対処や、スキルトレーニング、新しい事業分野への移行といった、より充実度の高い仕事に携われるようになっています。

それに伴って、従業員の仕事への関心が高まるという副次的効果も生まれました。エンゲージメントレベルが上昇すれば、定着率と生産性のレベルは高まり、新しい人材を雇用する際の求心力も強まります。

以上のことをすべて考慮すれば、労働の未来は明るいものになると、デイビスは述べています。「ただし、その段階に移行する過程が重要です。組織は、変化に適応するための最善の道筋を見つけなければなりません。」

そのための鍵となってくるのが、今後を担う従業員のスキルアップです。富士通はこれに取り組むため、リバースメンタリングの仕組みを採り入れました。リバースメンタリングとは、デジタルネイティブの若手従業員が年上の従業員に対するメンター、つまり指南役となり、自分のスキルを共有してもらうというものです。この制度について、テイトは次のように付け加えました。「すべての従業員がテクノロジーの発達に適応したスキルを保持できる体制を整えるため、生涯学習が重要視される企業文化を育んでいきたいと考えています。」

この言葉からもわかるように、労働環境の進化に伴い、キャリアとビジネスの成功の双方にとって生涯学習が不可欠な要素となっていくことでしょう。また、政府や教育関係者、その他組織による支援も欠かせないものになると考えられます。LBSでも、経営に関してトップクラスの権威を持つ講師たちがグローバルなビジネスについての最新の洞察とベストプラクティスを提供し、企業のリーダーたちが大きな改革を達成するうえで役立つ知識を学べるようなカリキュラムが組まれてきました。

グラットン教授は、こう語っています。「新しい物事を学ぶ時間が取れるように、人々は今から準備をしておくべきでしょう。労働の未来に備えるうえで、自分への投資が絶対に欠かせないからです。」 これからの仕事のあり方を考えれば、彼女の指摘には賛同するしかありません。

この記事はThe Guardian向けにアリソン・コールマンが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。