デジタル革新に役立つヒント

デジタル革新は、あらゆるリーダーにとって厄介な課題

昨今の変わりやすいビジネス環境において、10社中9社がデジタル革新を検討しています。とはいえ、多くのリーダーは、たとえ自社の未来をかけた戦いだとわかっていても、先行きを恐れて行動に移すのをためらっています。それはまるで大海原を航行する巨大な定期船の舵を切るようなもので、勢いを落とさずにすばやく方向転換することはできません。しかし、岩の多い浅瀬に向かってそのまま船を進める船長がいないことも事実で、コースを早く変更するほど、ダメージを軽くできることはわかっているはずです。それこそが、デジタル革新に臨むリーダーの心構えといえます。そして、改革に役立つヒントが、少しでも多く得られるに越したことはありません。この記事は、まさにそうしたヒントを提供するものです。

デジタル革新は、「必ず」破壊的な影響をもたらします。結局のところ、その点を受け入れられるかどうかが成否を分けるポイントといえるでしょう。たとえば、インフラストラクチャやアプリケーションの変更には、時間もコストもかかります。また、スタッフにデジタルマーケティング能力や顧客インサイトの収集、分析、最適化、新しいツールと働き方についてトレーニングを行っている間は、収益目標の達成や、株主・顧客への価値の提供といった会社の日常的なニーズに集中できなくなりがちです。しかし、このような混乱を招く状況は比較的短期間で終わります。そればかりか、結果的に、新たな世界で成功を収めるための社内体制を整えることもできるのですから、行わないという選択肢はありません。

デジタル企業とは、以下の要素から真のビジネス価値を引き出すことのできる組織

  • より良い顧客体験をもたらす顧客インサイト
    顧客ニーズを新たなレベルで理解し、複数のタッチポイントを駆使して認識された顧客のデータを基に、コンテンツやアクションをその場に合わせてカスタマイズする能力
  • 市場力学により速く対応するためのリアルタイムの情報取得
    新たなトレンドに対して行動を起こし、思いがけないチャンスをつかむことで、動きの遅い競合他社の先を行こうとする意志
  • ビジネスの変化に合わせて変更可能で融通の利く、柔軟なインフラストラクチャ
    ストレスやムダを生じることなく景気や季節的な浮き沈みに合わせて拡大縮小でき、データセンターのハードウェアを変更せずにすばやく新たなビジネス分野に拡張することも可能な枠組み

すでに確立された企業でさえ、驚くほど効果的な改革をこなすことが可能

市場のデジタル化のペースが速まる中、小売、サービス、旅行、運送といった一部の業界は、すでにデジタルネイティブ企業による劇的なビジネス破壊を経験しています。それらの企業は、従来型の会社と同じニーズに、より低コストで対応でき、より良い顧客体験をもたらす新たなビジネスモデルを生み出してきました。また、その他の企業の中にも、新しいビジネス環境の「勝者がすべてを得る」という特徴に気付いて、他社に取って代わられる前にデジタル企業としての改革を成功させたところがあります。ここでは、その成功の秘訣をいくつかご紹介しましょう。

1.ウォルマート

ウォルマートは、安定した専業小売業者からオムニチャネル型の強力な企業へと移行しています。そして、この4年足らずの間に、ショッピング分野におけるアマゾンの絶対的な競争力に対抗できる、有望な挑戦者へと変貌を遂げました。

そのためには、次の4つの重要な取り組みが必要でした。1つ目は、開発を社内で行うようにし、カスタマイズされてユーザーインサイトと検索エンジンを含む、クラウドベースの柔軟なソフトウェア層を構築したこと。2つ目は、Eコマース企業であるジェット.コムの買収に伴い、オンラインショップのプラットフォーム構築に関する豊富な経験と知識を持つ同社CEOのマーク・ロア氏を獲得したこと。3つ目は、グーグルアシスタントと提携してボイスコマースの分野で主導的役割を担い、アマゾンのアレクサに対抗する道を目指したこと。そして4つ目は、アメリカの90%の人々の住まいから10マイル以内に最低1つの店舗あるいは倉庫を持つ強みを生かし、ネットで発注した商品を店舗で受け取れる「クリック&コレクト」サービスの利点を活用したことです。

2.ピツニーボウズ

Eコマース向けのテクノロジー企業であるピツニーボウズは、発送・郵便業務の担い手からクラウドサービスを主導するリーダーへと躍進を遂げています。衰退する郵便ビジネスを引き継いだ新CEOのマーク・ローテンバック氏は、会社の強みを見直し、配送、商取引、決済、データ管理、およびカスタマーアイデンティティにおける専門知識に着目しました。そして、従来から同社が市場に提供してきた価値から遠ざかることなく斬新で有用なサービスを生み出すうえで、それらを利用できることに気付いたのです。今では、あらゆるレベルにおける顧客体験の評価指標に自社の役割を適合させ、常に顧客中心の企業として、独自に社内開発した新しいデジタルテクノロジーの枠組みの商用バージョンをリリースしており、自社クライアントに対して、インターネットにほぼ常時接続している現代の顧客のニーズへの対応に欠かせない蓄積データに基づくカスタマーインサイトを提供します。

3.JPモルガン・チェース

JPモルガン・チェースは、デジタル分野で主導権を握る方法を考え出しました。そして、CEOのジェームズ・ダイモンは、過去5年間にわたって顧客を最優先に考えるように社内の各部門に意識の変革を促し、10億ドル規模の予算をかけてその目的をサポートすることを推進してきたのです。実際の企業文化の改革は、同社が持つ「デジタルラボ」の大規模なコラボレーションスペースからスタートし、今では700人超の開発者を抱えるまでになっています。

2014年にチェースモバイルアプリの導入とWebサイトの再設計を行って顧客から絶賛されて以来、同社チームは、アプリ、Webサイト、イントラネット、バックオフィスシステムを対象として、実際のデータに基づいたユーザー体験の更新を行うことで、システムの継続的な改善を図ってきました。また、同ラボは、一部のフィンテックスタートアップ企業をサポートして提携関係を結ぶ一方、他のフィンテック企業と競争することも厭いません。

4.米ノースカロライナ州・ケーリー

米ノースカロライナ州の町、ケーリーでは、カスタマーインサイトによって住民サービスの体験を向上させています。業務向けの100種類を超えるレガシーアプリケーションを統合して、時代遅れのソフトウェアを、CRMこと顧客関係管理プラットフォームに置き換えることで、住民の情報を完全に把握し、業務に必要な多くの詳細データが得られるようにしました。その結果、今では、人々のニーズをすばやく理解して対応できるようになっています。

また、そのようなプラットフォーム構築のための開発チームも採用しました。同チームは、住民がサービスリクエストのために利用するCRMプラットフォームやWebサイト、テキストボット、アマゾン・アレクサのスキルに対して、プロトタイプを迅速に作成し、容易に再利用できるようにするため、アジャイルなデザイン思考も取り入れています。

改革の成功事例から価値ある教訓と役立つヒントを得る

このように、設立55年の小売業者や、設立97年の郵便料金計算機の企業、設立65年の銀行、そして発展途上にある南部の町がデジタル革新を遂行できるなら、同じことはどんな企業にとっても可能といえるでしょう。イノベーションや先進的な考え方は、必ずしも企業の歴史的な背景から湧き出るのではなく、リーダーシップから生み出されるものです。上に挙げた企業や組織は、業種も規模もすべて異なりますが、各社に成功をもたらした改革には次のような共通点が含まれていることに注目してください。

  • 社内外の利害関係を理解した経営陣からの改革の働きかけ
  • 四半期の収益よりも優先された改革への投資
  • インフラストラクチャのクラウドへの移行によって向上した業務処理の柔軟性
  • 「リーン&アジャイル」、つまり、無駄がなく融通が利くプラットフォーム構築を行うための開発体制の社内への移行

これらのポイントを御社に当てはめて、デジタル革新を成功に導いていただければ幸いです。

この記事は元々 Biznology. に掲載されました。

Mainvisual : skeeze / Pixabay

この記事はBusiness2Communityのケン・ゴッドフリーが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。