教室を丸ごと「デジタル空間」に!東大と富士通の共創とは?

2020年の教育改革で変わる学校教育

2020年、高大接続改革(大学入試改革)が始まります。これは、高校までに子どもたちが身につけるべき能力を、今までの「知識・技能」に加えて、「思考力・判断力・表現力・主体性」にまで拡げようというもので、1979年の共通一次試験(センター試験の前身)の導入以来のインパクトがあると言われています。

この改革によって、未来を担う子供たちを育む学校教育も大きく変わろうとしています。
今までは、学習した内容の理解に対する評価が大きな比重を占めていましたが、これからは、知識や技能の習得だけではなく、「自分で考えて表現し、判断し、実際の社会で役立てる」ことが求められます。

「協働学習」「アクティブラーニング」の課題解決に向けた取り組み

こうした能力を身に付けるため、小中学校では「協働学習」「アクティブラーニング」を取り入れた授業が実施しています。協働学習とは、生徒が教えあい、学びあう学習スタイルのこと、アクティブラーニングとは、生徒が能動的に学習に取り組む学習法のことです。どちらも単なる知識の活用だけでなく、思考力や判断力、表現力などを育成することが目的です。

しかし、現状の協働学習では、紙と鉛筆、黒板などを使うため、成果物ができるまでの流れを把握することが難しく、また、アクティブラーニングの手法やグループワークについて客観的な評価が難しいという課題がありました。

全員参加型の議論が可能な「空間UI」

そんな中、東京大学と富士通は、東大附属中等教育学校の授業において、部屋全体を丸ごとデジタル化する「空間UI技術」を用い、「協働学習」「アクティブラーニング」につなげる実証実験を行っています。

空間UI技術とは、空間全体をまるごとデジタル化する富士通独自の技術です。教室内に、プロジェクターとカメラを組み合わせた装置を複数設置し、空間全体を一つのウィンドウシステムとして丸ごとデジタル化します。

壁や机に仮想的に映し出された画面に、持ち込んだスマートデバイスからの情報を転送したり、デジタル付箋紙上にメモをして共有したりすることができます。また、デジタル空間に文字を書く電子ペン、フリックによる画像や付箋の空間移動などもでき、新しい「全員参加型」グループワークの場を提供します。

今回の実証実験では、空間UI技術のスペースの中で行われた活動データを可視化する技術を新たに開発。協働学習の授業の場で生徒がグループで調べた内容やデジタル付箋に書いたメモ、それに対する作成・操作について時系列に収集します。「いつ、誰が、どのような内容を発信し、それに対してグループメンバーはどう動いたか」というコミュニケーションの流れをダッシュボード上で見える化します。

教員は、そこで得られたデータを授業の振り返りに活用し、協働学習やアクティブラーニングの活性化を図っていきます。また、取得したデータをAI(人工知能)で分析し、コミュニケーションを改善する技術の開発とその有効性を検証します。

クリエイティブ能力の成長を

協働学習やアクティブラーニングを見える化することにより、生徒一人ひとりの動きと学習のゴールに向けた全体過程が把握できるようになり、学習の新たな手法の確立につながると期待しています。また、授業を通して生徒のクリエイティブな能力をより一層成長させる機会をもたらすことも可能です。

富士通と東京大学は、協働学習の手法を研究する中でICT活用の有効性に着目し、2017年度から空間UI技術を導入した教室において協働学習の授業の実践を進めてきました。今後も、コミュニケーションを活性化させる現場改善の技術を開発し、教育現場や業務シーンなどに広く使えるサービスを提供することを目指します。