VRの現在と未来・・・医療現場の活用事例も

VRによって変わりつつある人々の暮らし

カンファレンスの後半では、VRがもたらす未来についてディスカッションを行いました。

バーチャルはリアルを超えるのか

中山:バーチャルはリアルを超えるのか?よくこのような議論がされていると思いますが、皆さんの具体的な取り組みや考え方をお聞かせいただけますか?

杉本氏:今や通貨やコミュニケーションなど、さまざまなことがVR空間で行えるようになりました。さらに最近はMRなど、現実とうまくあわせるような技術も普及しています。
最終的には、VRとリアルの切り分けを考え、うまく共存させることが重要なのではないかと考えます。

藤井氏:VRは、スタンドアロン型のVRヘッドセット「Oculus Go」などのように、PCなどに接続されなくても使えるモビリティを手に入れた瞬間、パラダイムシフトが生まれると考えています。
これからVRは "実質的に何か用をなす"という単語"Virtual"の本来の意味に近づき、バーチャルとリアルの対立という議論は恐らくなくなってくるのではないかと思いますね。

中山:私はFacebook Spacesが、今後一気に広がっていくのではないかと思っています。これは完全にアバターの世界で、アバター同士がコミュニケーションを行うものです。バーチャルがリアルを超えるかという問いに対しては、このようなサービスに非常に期待が持てます。

杉本氏:先日パロアルトに出張した際に、会議がアバターを使ったVTuberで行われているのを見ました。アバターを使うことで相手に忖度せず本音を言えて、相手の意見に反論もできるから本質的な会話ができるという話を聞きました。

中山:2つめのテーマは、医療と健康のコンシューマライゼーションです。これについては皆さんどのようにお考えですか?

杉本氏:最近は一般の人の方がすばらしいコンテンツを作るようになってきていてプロの仕事がだんだんと減ってきている、B2BとB2Cの領域が曖昧になっています。最近思うのですが、VRでは意外と背景が重要です。通常VRは背景が真っ黒なことが多いですが、ちょうど手術の練習用コンテンツをつくっていた時に、背景にオペ室の画像を貼ってみたところ、「まるでオペ室にいて本当に練習している感じがする」と若手に好評でした。こういったところに新しいマーケットが生まれるヒントがあるんだと思います。

VRは医療現場の"暗黙知の伝承"も解消する

中山:ビジネスにおけるVR/AI活用の成功のコツについて教えてください。

富士通株式会社
第二ヘルスケアソリューション事業本部
第三ソリューション事業部
第一ソリューション開発部 シニアマネージャー
渡邉 正宏

渡邉:富士通は2018年4月11日からVRを活用した「Heart Explorer」を発売開始しています。これは富士通と東京大学様が共同研究する心臓シミュレータで、心臓全体、血流、冠循環の血圧などの出力データをそのまま教材として活用しています。また、ビューワ(Heart Explorer)とzSpaceディスプレイの活用により、心臓の複雑な血管の構造や心筋の時間変化が再現され、体感的に理解できるほか、別ソフトzViewと連携してAR表示すれば、VRグラスをかけていなくても、学生とも共有することができます。これにより、教科書に書いてある知識を体感し、より強化することが可能になります。

中山:VRとAIの融合については、どうお考えでしょうか?

藤井氏:私の作品で描いたコンタクトレンズ。仮に価格が3万円だとして、3億人が使ったら9兆円になります。VRには、携帯電話並みに普及した瞬間、非常に大きなビジネスインパクトになります。誰にでもチャンスはあると思うので、VRやAI、これらの見逃せない技術についてぜひ日本からイノベーションが生まれて欲しいと願っています。

杉本氏:VRとAIが医療現場の暗黙知問題を解決する手がかりになると考えています。ベテランの先生の技術は文字や絵に変換するのが難しく、結果的に若手はなんとなく見て覚えるのが当たり前になっています。そこを、VRをうまく使ってベテランの行動や視線を記録し、若手がそれをヘッドマウントディスプレイから体験、練習できるような仕組みを開発しています。データ自体は手術記録にもなりますし、さらにはそのデータをデータベース化してディープラーニングさせれば、次の患者の治療にも使えます。

コンシューマー側でもVRの採用は進んでいます。今は自分のCT画像やMRI画像を無料ソフトで簡単にVRに変換できるようになってきています。このようなVRが普及することで、健康意識の向上にもつながるといいですね。

登壇者
  • Holoeyes株式会社 共同創業者/取締役COO、株式会社Mediaccel共同創業者/代表取締役CEO、東京大学先端科学技術研究センター 身体情報学分野 客員研究員
    杉本 真樹 氏
  • SF作家
    藤井 太洋 氏
  • 富士通株式会社
    常務理事 首席エバンジェリスト
    中山 五輪男
  • 富士通株式会社
    第二ヘルスケアソリューション事業本部 第三ソリューション事業部
    第一ソリューション開発部 シニアマネージャー
    渡邉 正宏