【第1回】進化を続ける人工知能~「人」と「AI」が共存する未来~

AI特集:Human Centric AI「Zinrai」

人工知能は、人間の脅威となるのか!? 人との協調のために必要なことは

このように、常に進化し続けている人工知能ですが、ポジティブに受け入れられるとは限りません。「人間の仕事を奪うのではないか」「SF映画のように、いつかは人間にとって脅威の存在になるのではないか」と否定的な意見も聞こえてきます。

そのような中で富士通は、「人と共存し、人に寄り添う人工知能」を目指して、30年以上にわたり研究開発を進めています。
人工知能の研究において富士通が大切にしているのが、「あくまでも人工知能は、人間だけでは出来ないことや、苦手なことをサポートしていくためにある」という考え方です。一見賢そうな人工知能ですが、実は人間なら簡単にできるような処理が苦手だったり、常識が通用しないことも多々あります。一方で私たち人間は、人工知能ほど速く膨大なデータを処理することはできません。
このように、得意とするエリアが異なるからこそ、「ここまでは人工知能の判断に任せる」「最終的な判断は人間に仰ぐ」などと、裁量の範囲を人間が適切に決めることで、人間と人工知能は共存していけると考えています。

もうひとつ富士通が大切にしているのは、「継続して成長できる人工知能」です。人間であれば失敗から学習したり、経験を積み重ねることで成長していきます。ところが現在の人工知能は、残念ながらそれがまだまだ十分ではありません。人工知能がある知能を獲得したとします。その後、新たに膨大なデータを投入し、さらなる知能を得た時、以前獲得したはずの知能が蓄積されず、失われてしまう可能性があるのです。
人工知能が継続して成長するためには、これまでの学習を活かしつつ、新たな能力を獲得することが必要になります。

また、富士通は人工知能が社会に受け入れられるための「社会受容性」の研究も進めています。
その一例が、九州大学 富士通ソーシャル数理共同研究部門での取り組みです。ここでは経済学、心理学、数学などを融合した学際的研究を進めており、人工知能やICTが社会に入っていく中で、倫理や心理にどのような影響を及ぼすかを研究し、私たちの生活や社会に寄り添った最適な形で人工知能を活用できるような社会的な制度や施策を設計しています。

富士通の知見や技術を体系化した人工知能「Zinrai」

図4 「Human Centric AI Zinrai」体系図

富士通は、2015年11月にこれまでの人工知能の技術を業界で初めて体系化した「Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」(以下、Zinrai)を発表しました。
Zinraiのコアとなる技術は、人のように五感を駆使して私たちの気持ちを理解する「感性メディア技術」、機械処理できる知識を創り出す「知識技術」、スーパーコンピュータをも活用して課題解決に結びつける「数理技術」。そしてこれら3つの技術を支える「学習技術」です。日々学習しながら知能を獲得し、成長を続ける「学習技術」により、Zinraiはさらに高度化していきます。さらに、富士通のデジタルビジネス・プラットフォーム「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc(メタアーク)」上で、「Zinrai」の技術をサービスとして提供していくことで、お客様に提供する価値を強めていきます。

人と人工知能の協調で豊かな未来を切りひらく

人工知能は、コミュニケーションを通して人に癒しをもたらしたり、医療の進化に役立てたり、ビジネスの新しい可能性を切り拓くなど、今後、私たちの生活の様々なシーンで役立てられるでしょう。
富士通は、人間がもっと心豊かに生きられる未来を目指し、今後も「人と協調し、人を中心とした」「継続的に成長する」人工知能の研究を推進していきます。