2018年も起こるテクノロジーの栄枯盛衰。IoT、ビッグデータ、VRの現状は?

ビッグデータ、IoT、VRをめぐるアップダウン

私たちはデジタル時代の破壊的イノベーションに目がありません。iPhoneをはじめ、もろもろの流行を経てライドシェアリングに熱狂し、またその先へと、消費者は常に次の最高のものを渇望し、企業も常にビジネスの仕組みを変える体制を整えています。

しかし、キラキラしたものがすべてベンチャーキャピタルの懐を潤すとは限りません。画期的だと称賛されたいくつかの最新ソリューションの中にも失速するものはあり、コカ・コーラ ゼロのような運命をたどることが危ぶまれています。

IoT

わずか数年前には、すべての家、すべての企業が完全にインターネットに接続されようとしているかの勢いで、それこそがIoTの目指すところでした。それなのに、私たちは未だにスマート歯ブラシや自動化された食料品店の普及を待っている状態です。

一方で、実のところIoTの動きは今も続いており、それなりの好調さを見せています。最新の統計と予測によると、IoT分野における全世界の支出は2018年末までに7,725億ドルに達する見通しで、前年比で15%の成長となる見込みです。世界のIoT市場は2020年までに4,570億ドルに達するものと思われ、1年あたりの年間成長率はおよそ28.5%になると計算されています。オンライン調査企業のクエスチョンプロが行ったスマートテクノロジーに関する独自調査でも、消費者は、やや時間がかかっているものの、こうした新しいテクノロジーの採用を進めていることは明らかです。そして、その他すべての指標も成長傾向にあります。

しかし、世の中に「悪魔は詳細に宿る」という言葉があるように、こうした大きな流れの内訳にも目を向けるべきでしょう。コンサルティング会社のバインによると、IoTにおいて最も競争が活発なのは、企業や産業関連の市場セグメントなのです。たとえば、金額ベースのIoTのシェア分布ではスマートシティと産業向けの用途が大半を占め、スマートユーティリティやウェアラブルデバイス分野は最下位に位置しています。

要するに、カタールのような資金力のある国でもなければ、IoTを利用したユビキタスなスマートホームやコミュニティは未だSFの域を出ないということです。

コンシューマー向けのIoTの応用は、なぜそこまで大きく遅れを取っているのでしょうか。主な理由としては、スケーラビリティとセキュリティが挙げられます。特に、北米の消費者はセキュリティの問題に対して慎重な姿勢を崩していません。「IoTに関する市場での失敗事例」というレポートでは、ブロックチェーンなどにも詳しいソフトウェア開発者のヨセフ・ユドボロフスキー氏が、IoTのセキュリティ上の危険とともに、ハッキングやプライバシーの侵害に関する厄介な事例について詳しく述べています。実際にも、2015年に660万件だったサイバー攻撃は、2020年には1,740万件へと増加の一途をたどることが予想されているのです。

企業にとっても、IoTには厄介者の側面があります。ビジネス部門とIT部門の意思決定者1,845人を対象に行われたシスコの最近の調査では、IoTプロジェクトの75%近くが失敗したことがわかりました。

以下は、失敗の主な5つの理由です。

  • 既存システムへのIoT統合の不備
  • 予算の超過
  • プロジェクトの長期化
  • 収集データの質の低さ
  • 内部の専門知識の不足

業界はまだ成熟しておらず、限られた専門知識に悩まされ、技術標準が欠如しているのが現状です。そして、サイバーセキュリティの観点から何よりも問題なのは、これらの隙を突いて攻撃を仕掛けようとする悪意を持ったハッカーが多すぎることでしょう。

ビッグデータ

ビッグデータは重要な存在になると思われていましたが、現状の結果は予想に反したものとなっています。IT分野の調査・コンサルティング企業のガートナーは、毎年、過大な期待が集まった製品や技術をまとめた「先進テクノロジーのハイプ・サイクル」というレポートを発表していますが、2015年以降、そこからビッグデータを除外したほどです。しかし、引き続き誇大な宣伝文句が流布されており、ビッグデータビジネスは1,220億ドル規模に達して、現在も拡大を続けています。しかし、その陰では、ビッグデータプロジェクトの85%が失敗しているのです。

このようなズレはなぜ起こっているのでしょうか? IT系メディアのテッククランチの記事によると、その理由は以下のとおりです。

  • もともと人間の脳は、大規模で複雑なデータセットを解釈するようにはできていません。そこで、データセットをまず集約し、要約し、説明し、別の表現に置き換えるなどして、理解しやすい「小ささ」にする必要があります。しかし、このような加工を加えることは、ある意味でビッグデータの意義を否定することになるのです。
  • どの程度の規模のデータが役に立つのかは、組織によっても異なります。情報の適切さは、常に情報の多さよりも重要です。過剰な情報は、解決策の提案なしに核となる仮定を歪める恐れすらあります。

言い換えれば、企業はビッグデータがもたらすメリットを望んでいる一方で、どのように活かせば良いかわからないということです。

この現状に対して、上記の記事は、よりスマートなアプリケーションや予測分析によって、ビッグデータを効果的に活用できる可能性があると提案しています。つまり、「大企業はGoogle式のテクノロジーの採用には熱心に取り組むが、Google式の考え方ついては、ようやく取り組みを始めた段階にある」ということです。

しかし、同じIT系メディアのインフォメーション・ウィークは、その記事の中で、「これらの変化を受け入れたとしても、ビッグデータプロジェクトを成功させるためには、以下のような障害を克服する必要がある」と説明しています

  • 経営陣による反対/直感に頼る経営判断
  • 誤った利用法の選択/プロジェクト規模の必要以上の増大
  • ビジネスへの不理解/見当はずれの質問
  • 導入手法やテクノロジーに関する適切なスキルの不足
  • スタッフとシステムが連携しないことによってビッグデータとは無関係に生じる予期せぬ問題

かつて、ビッグデータは「誰もが噂するわりに、その本質を本当に知っている人はいない。しかし、自分以外の皆はすでに手を染めていると思っており、自分も取り組むつもり」のテクノロジーであると揶揄されたことがあります。これを解決するには、可能な限り正しい情報を集めて、適切な判断を下すことが必要です。

その意味で、ビッグデータの問題を克服するために、皮肉にも別のビッグデータを収集することになるのかもしれません。

仮想現実

VRは、90年代に大きな失敗を喫しました。しかし、それはやがて復活し、デジタル時代におけるある種の宗教的体験になるであろうと考えられたのです。

そして、実際にVRテクノロジーは甦りましたが、ゾンビが墓から現れたようなものでした。

テッククランチのルーカス・マトニー氏は、昨年の夏に以下のように語っています

「この数か月で明らかになったのは、この分野のリーダー的存在であるHTCとオキュラスのどちらがベータマックスで、どちらがVHSかということが、もはや問題ではないという点です。それよりも、ハイエンドのVRシステムが、一部の愛好家にだけ支持されたレーザーディスクの二の舞にならないようにすることが重要といえます。ここ数年、多くの投資家やアナリストは、高価なVRヘッドセットの販売ペースに満足することはありませんでしたが、その事実をあっさりと認めたがるVR企業はまれです。」

エコノミストの記事では、今年の前半は「VRへの期待感に実際の製品が追いつけず、このテクノロジーを実際に受け入れたのは一部の消費者に留まった」とされています。

これらの現実を裏付けるように、ゲーム開発者会議における最新の「ゲーム業界事情」レポートによると、調査対象となった3,000人のゲーム開発者のうち、次のゲームをVRヘッドセットに対応させると答えたのは、わずか17%でした。

過去のVRが失速した原因としては、水準以下のコンテンツ、高い価格、扱いにくい装置、接続するコンピュータやゲーム機に求められる高度な仕様など、さまざまな理由があります。また、テクノロジートレンドをリードするAppleが、VRに消極的だったことも影響しているでしょう。

しかし、最近になって消費者にとって朗報も聞かれるようになりました。たとえば、オキュラス・リフトから、HTCバイブ、プレイステーションVRまで、VRゴーグルの値段が軒並み下がったことです。特に、単体で利用可能ながら機能を絞って価格を抑えたオキュラス・ゴーの登場は、今までVRゴーグルに手が出せなかった潜在ユーザーを惹きつけています。もちろん、メーカーにとっては1台あたりの利益が減るというデメリットもあり、こうしたVRブランドの多くが売上高を公表していないところを見ると、急激な値下がりが売上に影響を及ぼしている可能性も否定できません。

反面、初期のゲーム機がそうであったように、「ブロックくずし」のようなキラーゲームが出現すれば、それだけで爆発的な普及が起こることもありえます。また、VRからARへと視野を広げることも有効でしょう。2年前に登場した『ポケモン・ゴー』は現実の世界にモンスターを重ね合わせて大成功を収めていますが、スマートフォンやタブレットにおけるこの種のゲームアプリの存在感を考えれば、拡張の余地はまだまだありそうです。そして、AppleもGoogleも、自社のモバイルOSにおいてAR機能をネイティブサポートしたことから、この分野がますます盛り上がるものと期待されています。

VRをそれのみで考えてしまうと、隙間製品に留まる可能性が高いといえるでしょう。しかし、画期的なアプリの開発やARとの連携など、戦略的または創造的な何かが生み出されることで、未来を拓けそうです。

デジタルソリューションは成功するか?

こうしたデジタルテクノロジー製品の行く末に関する重要な視点は、これらが消費者や、導入を考える企業から完全に拒絶されているわけではないという点でしょう。ソリューションを提供している企業は、スケーラビリティやプロセスの壁にぶつかっただけであり、実際には消費者の期待に応える方法を理解しています。つまり、過大な期待を抱かせる広告に問題があり、より慎重に市場開拓を行なっていくことで、本来の可能性を引き出せるはずなのです。

VRに関しては、デバイスの価格を戦略的に下げたり、複雑なゲームではなく没入感のある360度ムービーなどに重点を置くことで、正しい方向に進められると私は考えます。また、IoTについては、サイバーセキュリティに対する多額の投資と教育を行うことによって、消費者や企業の認識を変えることができるはずです。さらに、ビッグデータは、ベンダーがシステムを売ることだけを考えずに、潜在顧客である組織のニーズに合わせた活用法をしっかり伝えようとすれば、より大きな成功を収められるようになるでしょう。

トレンドと流行の違いとしてよくいわれるのは、トレンドは成功につながるということです。IoT、ビッグデータ、VRはうまくいっているとはいえ、まだ流行の域にあります。しかし、それらの真の価値を掘り下げ、市場に対してきちんとアピールしていけば、トレンドへと昇華させることも可能なのです。

この記事は元々、オンライン調査会社キューサンプルのブログに掲載されました。写真:ジェラルト / ピクサベイ

この記事はBusiness2Community向けにRudly Raphaelが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。