東欧が暗号通貨のブームに沸く理由

2017年、ビットコインは史上最高額の19,783.06ドルを達成しました。また、その年末には、イーサリアムとリップルがそれぞれおよそ9,200パーセントと35,000パーセントの伸び率を示してピークを迎えたのですが、その後の数か月間にわたり、暗号通貨の熱狂的ブームは停滞しているように思われます。にもかかわらず、東欧のいくつかの国では、デジタル通貨に対する関心が著しく高いままであることが調査によってわかりました。それは、何故なのでしょうか?

経済情報ポータルであるインベスティング・コムのチームは、2018年にかけて5か月間、暗号通貨に対する世界的関心についての調査を行いました。その結果、各国版のWebサイトごとに暗号通貨セクションを利用された訪問者の割合を見ることによって、今年の1月から5月の間に暗号通貨に最も高い関心を示したのは以下の5か国であることが明らかとなっています。

  • ベネズエラ(67%
  • コソボ  (61%
  • リトアニア(58%
  • ベルラーシ(52%
  • ジョージア(51%

ベネズエラが世界をリードする暗号通貨のハブ国家の1つであることは、長年にわたり実証されてきました。さらに、今年になってベネズエラ政府が、物議を醸している自国専用の暗号通貨「ペトロ」の開発を進めるようになったことを考えれば、上記リストにおけるこの南米の国の位置付けは、何ら驚くことではありません。しかし、他の4つの国で暗号通貨に対する関心が高い理由はどこにあるのでしょうか?

ここで重要なのは、この5か国すべてが暗号通貨と相性の良い環境を積極的に利用して暗号化の波に乗り、外資を自国に呼び込もうとしている点です。マイニングに関する法律の新たな導入、マイニング装置の輸入無関税化、あるいは安価な電気エネルギーの無制限利用などを原動力にして、これらの国は暗号通貨に最適なハブ国家としての地位を確保しました。そして、インベスティング・コムのデータから判断する限り、それらの国内において、国家戦略がかつてない暗号通貨への関心を生み出してることは間違いありません。

理由1:有利なマイニングコスト

ビジネスブログのエリートフィクスチャーズによって行われた調査によると、ビットコインのマイニングにかかるコストは、ベネズエラの531ドルという期待通りの安さから、上は韓国のなんと26,170ドルまで、世界各国で大きく異なります。その理由は、暗号通貨のマイニングが、最新技術と安価な電力の利用の両方に依存した非常に複雑なプロセスであるためです。暗号通貨への関心が最も高い5か国のうち、ベネズエア以外の4か国では、マイニングコストがそれよりも高いとはいえ、ベラルーシが2,177ドル、コソボが3,133ドル、ジョージアが3,316ドル、リトアニアが5,155ドルと、比較的低廉な範囲に収まっています。この5か国の中でリトアニアのマイニングコストが最も高いことと、同国の電気料金が最高値であることも、偶然の一致ではないのです。

理由2:社会の不安定性

上記リスト中で、リトアニアを除く4つの国に共通するのは、最近になって長期にわたる戦争や不況を経験したことで、貧しい労働者階級が政府や銀行を信用しなくなっているという点です。伝統的な金融機関に対するこうした信用の低下が、これらの国々における暗号通貨ブームの火に油を注ぐことになったことは十分考えられるでしょう。

さらに、4カ国のすべてが過去1015年の間のいずれかの時点で、通貨の暴落を経験していることにも注意が必要です。おそらく、このような悲惨な経験が、さまざまな年代のトレーダーにとって、過去の通貨政策の失敗による損失の回避先としてこぞって暗号通貨投資を求める動機となったものと思われます。

唯一リトアニアは近年の不況を経験していませんが、その経済の成長は2009年の深刻な不況の後、何度か落ち込みました。下のグラフに示すとおり、特に2015年の落ち込みは顕著です。


上:リトアニアのGDPの推移

実際にも同国で暗号通貨がメインストリームへと躍り出たのは、この2015年の落ち込みがあった時期でした。暗号通貨分野の企業に関して、バンクオブ・アメリカやバークレイズをはじめとする世界中の銀行が強硬な姿勢を取ったのに対し、リトアニア銀行は同年4月、暗号通貨を支持し、商業銀行、政府の規制当局、暗号通貨トレーダーとの間で対話を開始したのです。

理由その3:暗号通貨に優しい技術と法律の整備

さらに、東欧では暗号通貨に優しい技術と法律の整備に向けた明らかな流れがあります。

ジョージアは、ビットコインのマイニング用ハードウェアとチップを手掛ける最大手メーカーの1つ、ビットフューリーの本拠地です。同社は現在、全ビットコインの約15%のマイニングを扱っています。また、IT企業のアルブビジョンは、最近、同社の拠点であるコソボにビットコインATM4台導入しました。暗号通貨に対する規制が存在しない現地のビジネス界では、すでにビットコインによる決済が普及しつつあります。

一方でベラルーシ政府も、2017年12月に、暗号通貨取引の合法化に向けた大きな一歩を踏み出し、2018年3月には暗号通貨の会計基準を正式に導入しました。どちらの動きも、暗号通貨分野のイノベーションを阻害する可能性のある役所関連の煩雑な手続きを簡略化することを目的としたものです。

また、最近、暗号化を支持したリトアニアは、一部の専門家、評論家、および当局者までが、2015年にまで遡って暗号通貨を「リトアニア経済の未来」だと言って売り込むようになりました。

リトアニアの経済事務次官であるマリウス・スカルプスカス氏は、次のように述べています。「我々は、ブロックチェーンや暗号通貨、ビットコインのような技術が最新の最も優れた金融イノベーションだと考えるに至りました。リトアニアとその首都であるヴィリニュスはこの分野のブレークスルーに投資して、地域だけでなく世界規模のリーダーになることを真剣に目指しています。」

将来の展望

現在、暗号通貨に最も高い関心を示しているこれらの国を見てみると、Investing.comの利用状況データだけで判断しているとはいえ、あらゆる国や地域におけるデジタル通貨への高い関心だけでなく、暗号通貨の変動に対する世界的な関心さえも刺激する可能性のある要因の実態が見えてきます。

はたして東欧の暗号通貨ブームは続くでしょうか。暗号通貨にやさしい状況が変わらない限り、ブームが終わると考える理由もありません。

筆者のイガル・ストルプナーは、インベスティング・コムのビジネス成長担当責任者です。

この記事はVentureBeat向けにIgal StolpnerとInvesting.comが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。