米国で進む量子コンピューティングの新たなツール開発

テキサス州オースティンに拠点を置くストレンジワークスは、より多くの開発者にとって量子コンピューティングを利用しやすいものとするために、ベンチャーキャピタルから400万ドルを調達しました。

2017年創業のストレンジワークスは、量子コンピューティング・システムに取り組み始めるためのツールを開発者・研究者向けに開発している企業です。量子コンピューティングが日常業務の標準となる日がくれば、あらゆる種類の開発者が、ソフトウェアとアプリケーションを書くためのまったく新しいやり方を学ばなければなりません。実際にも既に多くの企業が、考えうるどんな変革にも対応できる有利なポジションをいち早く確保しておこうと、限定的ながらも、このテクノロジーについての実験を始めています。

ストレンジワークスは手始めに、航空宇宙、エネルギー、金融、製薬という4つの市場に重点を置いてツールを制作する方針であり、これらのツールは、登録制の有料サービスとして提供される予定です。

今回の資金調達では、ライトスピード・ベンチャー・パートナーズを筆頭に、エクリプティック・キャピタル、グレートポイント・ベンチャーズ、ラックス・キャピタル、ボックスグループ、アンプリファイ・パートナーズも投資を行っています。

ライトスピードの共同経営者であるアダム・ゴールドバーグは、声明の中で次のように述べました。「わが社のCEOのウィリアム・ハーレーやストレンジワークスのチームと共に今日まで数か月働いてきて、確信したことがあります。それは、量子コンピューティングなど、従来とは異なるコンピューティング方式を中心に据えてビジネスを構築するというストレンジワークスのアプローチは、今までに見たこともないほど大胆かつ先進的だということです。ストレンジワークスは。大きな可能性を秘めています。弊社が、これほどのスキルを持つチームと提携したことに興奮を禁じ得ません。」

量子コンピューティングは、従来型のコンピューティング・アーキテクチャの置き換えを目指すものです。従来型のアーキテクチャの処理は、1か0という2通りの状態を採ることのできる「ビット」という情報の単位を用いて行われます。これにに対して原子レベルの仕組みを用いる量子コンピューティングでは、複数の状態を同時に扱いながら処理を行うことが可能です。情報の単位も「量子ビット」あるいは「キュービット」と呼ばれて区別されます。

量子コンピューティングを、現実に従来型のコンピューティングよりも強力なものとするためには、依然として、根本的なレベルの科学的障害をいくつも乗り越えなければならない状況です。それでも、最終的な性能はもちろん、扱える計算の複雑性についても、量子コンピューティングは従来のシステムをはるかにしのぐ存在となることが確実視されています。

量子コンピューティングに関連する理論は、何十年も前から存在していましたが、実際のアーキテクチャの開発状況が加速したのは、ここ最近のことです。それは、IT業界の巨大企業がこの技術に多額の投資を始めたためでした。ムーアの法則の終焉など、現在のコンピューティング・アーキテクチャが限界を迎えつつある一方で、5Gネットワークや自動運転車などの新技術は、これまでよりはるかに複雑なデータセットを大量に生み出し、その処理のために圧倒的なレベルの計算能力が必要になることが予想されており、企業はこの状況に懸念を抱いているのです。

こうした状況の中で、ストレンジワークスが自社のサービス開発で提携しているIBMは、昨年、IBM Qネットワークと呼ばれるサービスを発表しました。これを利用すると、ユーザは量子コンピュータを遠隔から操作して、その仕組みを学習したりプロジェクトの開発を始めることがでるとのことです。また、ストレンジワークスは、プログラミング技術に関するナレッジコミュニティであるスタック・オーバーフローと共同で、開発者に向けた量子コンピューティングのQ&Aサービスのクアンタム・コンピューティング・スタック・エクスチェンジを開設し、この分野における啓蒙活動も推進しています。

量子コンピューティングが日常的な存在となるには、まだ少し時間がかかりますが、そのための備えは、今から始めても早すぎるということはないのです。

この記事はVentureBeat向けにChris O'brienが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。