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宇宙の謎を解く!世界最大のガンマ線天文台(CTA)を支える

宇宙から降り注ぐガンマ線を空気が吸収する際の光を捉え幅広い研究発展に寄与

富士通は東京大学宇宙線研究所様向けに既存のガンマ線望遠鏡の10倍近い感度での観測が可能なチェレンコフ望遠鏡アレイ(Cherenkov Telescope Array、以下 CTA)制御装置システムを納入しました。

大昔の天文学では目に見える可視光線だけを対象にしていましたが、現在は波長の長い電波や波長の短いガンマ線も対象としています。可視光線だけではなく、幅広い電磁波を観測対象とすることで、より宇宙を深く調べる事が可能です。
ガンマ線は発生源からまっすぐ飛んで来るため、宇宙の起源や進化を知ることができると言われています。

宇宙から降り注ぐガンマ線は空気によってほとんど遮断されますが、ガンマ線が空気にぶつかることによって「チェレンコフ光」という光を発します。チェレンコフ光はガンマ線が飛んできた方向に円錐上に広がるため、複数のチェレンコフ光望遠鏡を統一して管理、解析することで、より正確で感度の高い観測が行えます。
このような天文設備を世界33か国で共同開発しており、現在建設が始まっているのがCTAというプロジェクトです。微細な光を正確に捉えるために人工光の影響を排し、かつチェレンコフ光が発生している大気外側に近い高い高度に設置する必要があります。
観測範囲を全天に広げるためCTAは北半球のスペイン領カナリア諸島ラパルマ島の山頂2200m地点(北サイト)と南半球のチリ・パラナルの砂漠(南サイト)に設置される予定となっています。現在北サイトでの建築が始まっており今年中に部分稼働を開始し、南サイトも含めたフル稼働は2025年を目指しています

チェレンコフ光の画像解析にサーバ57台使用して解析。過酷な環境下で富士通のサーバが活躍

CTAの北サイトは大口径望遠鏡(LST:口径23m)4つと中口径望遠鏡(MST:口径12m)を5つ(将来15に拡張予定)を組み合わせた構成になっています。Cherenkov Telescope Arrayという名前からわかるようにチェレンコフ光を捉える望遠鏡を組み合わせて画像解析を行う事で感度と精度を上げる仕組みになっています。

複数の望遠鏡の画像を統合処理するには膨大な計算能力が必要となります。CTAの北サイトで観測されたデータをすべて一括して処理するのが今回納入された富士通のシステムです。それぞれのデータは実効容量3PBの大容量ストレージサーバに格納され、これを(1824コアで61TFLOPSの演算能力を持つ)57台のサーバで処理されます。これによって到来したガンマ線量の解析と、方角、エネルギー推定をリアルタイムで行う事が可能となるのです。
性能は勿論のこと、高地特有の寒暖差など過酷な環境の中でも安定的な連続運用を実現している事も大切なポイントです。

CTAは国際協力のプロジェクトで、日本はCTA-Japanとして活動しています。日本は主に光学系や画像解析の分野で貢献しており、富士通のシステムは北サイトの画像処理を一手に引き受けるとても重要な役割を担っています。
富士通はこれまでにも巨大な電波望遠鏡や光学赤外線望遠鏡、ニュートリノ観測のための制御装置システムを研究機関などに提供してきました。今回のCTA制御システムも加えて、これまで判明できなかった宇宙の謎の解明にICTで貢献していきます。