AI、IoT、ブロックチェーンで加速するB2Bのデジタル革新

B2Bのデジタル革新では、多くの業務が求められます。テクノロジーが急速に進化するなか、企業はその結果がどうなるのかわからないまま、迅速に適応することを求められることもありました。B2Bマーケターや新参の起業家にとって、IoTやブロックチェーンといった用語の定義だけを理解することが重要なのではありません。それらのテクノロジーが近い将来、ビジネスにどのような影響を与え得るのかを理解しておく必要もあります。

世界最大のB2B関連ソフトウェアおよびサービスのレビューサイトである「G2クラウド」では、流行語や業界用語にとどまらず、その先のデジタルトレンドにも切り込んでいます。現在のテクノロジー環境において、AI、ブロックチェーン、IoTは、変化を促進する現実的なツールです。本稿では、ソフトウェア開発とサイバーセキュリティ関連テクノロジーに焦点を当て、これらのテクノロジーが果たす役割について、G2クラウドのシニアリサーチスペシャリストであるアーロン・ウォーカー氏に伺いました。

B2Bのデジタル革新とは

一口に「デジタル革新」といっても、さまざまな意味合いが考えられるでしょう。そこで、ここで概要を示すトレンドについては、「AI」、「ブロックチェーン」、「IoT」、「デジタルプラットフォーム」に関連する概念に分類しました。これらのトレンドに関連する新たなテクノロジーを統合する作業は、簡単なものではありません。企業やマネージャーは、ビジネスの運営、戦略、目標を補完するうえで最適なものを見極める必要があります。AIを利用したツールや、ブロックチェーンベースのアプリケーションに気を取られがちですが、ツールの実際のメリットは、現場に適切に採り入れられるかどうかにかかっています。

GEのような大手企業では、すでに理想的なデジタル革新を進めていることが見て取れます。同社は昨年、株価が大きな打撃を受け、「2017年の最も不調な株」という不名誉な称号を得て、株式価値の約40%を失いながらもAIIoTに投資し、未来を見据えて順調に進化しているようです。そして、創業100年を優に超えながらも、全社規模のデジタル革新の典型例を示しています。同社は、産業市場と新たなテクノロジーの橋渡しとして機能する、SaaSベースのサブスクリプションモデルを採り入れました。その新しいデジタルプラットフォーム「プレディックス」は、商用機器や製造エンドポイントをIoTと結び付け、サプライチェーンを自動化し、組織の効率向上を促進する存在です。

AIに適した分野

マーケティングに携わっている方なら、AIの応用分野としての将来性があります。しかし、あなたがテスラCEOのイーロン・マスクなら、AIの普及は世界の終わりを意味するというでしょう。映画『ターミネーター』の自我を持つコンピュータ、「スカイネット」くらいになれば大規模な破壊も十分にあり得ることとはいえ、AIによるアナリティクスやインテリジェントオートメーションを採用したツールの出現のほうが、はるかに可能性は高いでしょう。

さて、B2Bのデジタル革新の対象となり、かつ大きな影響力が見込まれるAIの主な応用例は3つあります。それらは、組み込みインテリジェンス、MLaaSことサービスとしてのマシンラーニング、そして、オープンデータです。

まず、組み込みインテリジェンスについては、アプリケーションにAIを組み込むことによって、予測的アナリティクスから便利なチャットボットまで、機能の幅を広げることが可能となります。こうした応用例は、すでにERP、つまり基幹系情報システム市場などの領域で効果を上げており、履歴データに基づく洞察はもちろん、これまでの業績や過去には見えていなかった要因、そして外部要因の影響を考慮した予測サービスを提供できるようになりました。

次に、AIベースのSaaSアプリケーションは、MLaaSを通じて多くの市場に投入されています。たとえば、セールスフォースの「アインシュタイン」のようなCRM、すなわち顧客関係管理のためのソフトウェアソリューションでは、組み込みAIを利用して数千もの多様なデータセットに基づく作業の自動化を拡大することで、見込み客の購買意欲評価や見込み客自体の創出の向上を図るとともに、全体的な処理時間を短縮することが可能です。また、アマゾン、マイクロソフト、グーグルをはじめとするマイクロサービスプロバイダは、MLaaSソリューションが自社のSaaSPaaSIaaSソリューションと同様の利益を上げるようになることを期待しています。MLaaSは、スタートアップ企業が独自のアルゴリズムを自社開発することなく、既存のマシンラーニングAPIのプラグインを利用するという可能性をもたらすのです。

さらにオープンデータは、組み込みAIよりも実感が湧かないかもしれませんが、AIソリューションが処理する情報の範囲を大幅に拡大できる可能性を持っています。オープンソースのデータセットや共有データセットを利用すれば、画像や地理情報、テキストなどを追加してビッグデータの処理エンジンを拡張し、データの高次利用や他の用途向けの書き出しを充実させられるからです。

データの共有はCRM分野に限られるわけではありません。得られる利益が指数関数的に増えるとすれば、企業がデータを共有する傾向は高まるでしょう。見返りとして、必要とする情報がより多く得られたり、予測分析や処理の自動化、および得られる結果の精度を大幅に向上できるならば、自社内でデータを囲い込まず一部の情報を公開することには十分な合理性があるためです。

ブロックチェーンの導入効果が最も期待される2つの業界とは

多くの業界のさまざまな能力が、ブロックチェーンテクノロジーの導入によって高まるでしょう。最大の効果が見られるのは、フィンテック市場と、金融情報処理サービス分野のフィンサーブ市場だと考えられ、すでにクラウドストレージやセキュリティ、サプライチェーンの用途に応用されています。また、トランザクション中心のサービスでは、その高度な暗号化や高い透明性の観点から、ブロックチェーンの概念が採用されつつあるのです。具体的には、eコマースの決済や財務マネージャーが関わる機密データのセキュリティの強化や、円滑な支払い処理による業務の効率化が可能となります。ゴールドマン・サックス、サンタンデール、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンといった金融業界のトップ企業が先導するなか、同業他社も引き続き莫大な資金をブロックチェーンテクノロジーに注ぎ込んでいます。

B2B digital transformation

ブロックチェーンテクノロジーの効果が見られた2番目に大きな業界は、セキュリティ分野です。一部の企業では、大規模なIoTネットワークから、アクセス管理システム、あるいはストリーミングデータや仮想通貨の保管に至るまで、すべてを安全に保護するためにブロックチェーンテクノロジーが利用されています。

このテクノロジーを採り入れているその他の市場には、事実上、安全なトランザクションやデータ暗号化のメリットが得られるすべての業界が含まれるほどです。そして、クラウドストレージやデータベースを扱ういくつかの企業が、ストレージの分散やファイルの暗号化にもブロックチェーンを採り入れています。さらには、任意の数のSaaSツールをある種のブロックチェーンにサービスとして統合すれば、セキュリティを即座に強化するようなことも可能なのです。

IoTの可能性

IoTによって、製造業、農業、海運業ほか、さまざまな業界の革新が急速に進んでいます。医療機器から組立設備まで、デバイスがインターネットに対応していれば、自立的、自己達成的、そして自己監視的に機能するIoTの構成要素に変えることができるといえます。

IoTによって膨大な情報が得られるようになったことで、企業は、革新的かつアクセス可能な方法でデータの蓄積、分析、分散を行えるようになりました。そのポテンシャルは、G2クラウドのカーラ・ケネディ氏をはじめとする一部の専門家に「次期産業革命」といわしめたほどです。

ほかにも、IoTをめぐるトレンドとしは、デバイス寄りの場所に処理基盤を設けてクラウドと連携させる、エッジコンピューティングがあります。このテクノロジーによってクラウド展開前にローカルなデータストレージを使って前処理を行うことで、遅延時間が短縮されて効率が向上し、計算とデータ処理を高速化することが可能です。たとえば前述したGEのプレディックスは、何千ものエッジデバイスに対応するように設計され、遅延を抑えて処理を高速化できるため、分析の効率や効果を向上させることができます。

製造業など、表面上は技術革新が進んでいないように見える業界でも、ハードウェア機器などの仮想的なコピーをコンピュータ上に再現して各種シミュレーションなどが行える「デジタルツイン」の利用と共にIoTの採用が進んできました。この予防対応型の仕組みは、継続的な監視によってエンドポイントの障害を減らしたり、マシンの状態をより深く分析することができます。B2Bのデジタル革新では、IoTは業界を問わず重要な役割を果たすでしょう。

デジタルプラットフォームが引き続きB2Bのデジタル革新をサポート

小さなサービスの組み合わせによって単一のアプリケーションを開発するマイクロサービスや、PaaSIaaSをはじめとするすべての「aaS」サービスでは、従来の開発よりもはるかに動的なアプリケーションモデルが実現します。現代のテクノロジーエコシステムでは、主要なビジネス機能の管理における、マイクロサービスやコンテナ化、サーバーレスコンピューティングテクノロジーの利用が拡大し続けているのです。

マイクロサービスのアーキテクチャは、必要な機能の追加や削除をすばやく行うことのできる、順応性の高い、置き換え可能なアプリケーションモデルを実現します。これは、AWSやマイクロソフトなどのサービスプロバイダによる幅広いサービスの基盤となっており、仮想マシンや展開ツールから、開発環境やデータベースの移行まで、企業に必要と思われる事実上すべての機能を提供するものです。

アプリ操作をコンテナと呼ばれる単位に分けて実行する「ドッカー」の登場によって生まれた、OSレベルの仮想化技術であるコンテナ化テクノロジーにより、ソフトウェアのセキュリティと開発スピードは高まりました。と同時に、アプリケーションの機能も拡大しています。ドッカーの移植可能な分散コンポーネント内に保存されるコンテナ化されたアプリケーションは、サーバーダウンの際に自動的に待機システムに切り替えるフェールオーバーを、ネットワークのセグメント化や、既存のアプリケーションコンポーネントの再利用によって減らすことが可能です。また、リソースの分離によっても、効率が高まり、ネットワークの最適化がはかれます。

加えて、デジタルプラットフォームに関するトレンドの最後の要素となるサーバーレス・コンピューティングは、急速な進化を遂げてきました。このコンピューティングモデルでは、ユーザーは専用サーバーに依存せずにローカルでアプリケーションを管理し、必要に応じてリソースを割り当てることができます。市場調査会社であるマーケッツ・アンド・マーケッツのレポートでは、サーバーレス市場が2016年の188,000万ドル規模から、2021年には772,000万ドル規模まで441%もの成長を遂げると予測しています。このテクノロジーによって、アプリケーション管理のスケーラビリティ、セキュリティ、アジリティのすべてが向上することでしょう。

結論

これらの製品の開発と関連ソリューションの採用を進めている企業は、今後も注目を集め、牽引力を増していくはずです。立ち上げ段階にある企業の場合は、競合他社を先導し、おそらくベンチャーキャピタルからの投資も受けることになると思われます。これらの複数のテクノロジーには重複する部分が多く、互いに補完し合って、個々のツールの機能が向上していくような動きも出てくるでしょう。AIIoTプラットフォームの採用に成功した企業は、他から一歩抜きんでることができると思われ、そうしたテクノロジーの分野を超えた利用が、一目置かれるエコシステムの構築につながっていくのです。

この記事の初出はワックス・マーケティング・ブログに掲載されたものです。

この記事はBusiness2Community向けにDina Elyが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。