「Co-creation(共創)」が実現する新しいデジタル革新で、ビジネスを成功に導く(前編)

様々な業界においてデジタル化が進む中、テクノロジーを活用して複数の組織・団体が連携してイノベーションを生み出すエコシステムを構築することが、様々な社会課題を解決する重要な鍵の1つとなりつつあります。2018年5月17日~18日に開催された「富士通フォーラム 2018」のキーノートスピーチ「Human Centric Innovation Co-creation for Success」では、Co-creationがもたらすビジネス成果と実践事例を紹介しました。
【富士通フォーラム2018 キーノートスピーチレポート】

「テクノロジーで人を幸せにする会社を目指す」

富士通株式会社
代表取締役社長
田中 達也

キーノートスピーチの冒頭では、2年連続日本一に輝いた富士通のアメリカンフットボール部「富士通フロンティアーズ」、悲願のJ1初優勝を果たした「川崎フロンターレ」の歓喜のシーンの動画を上映。富士通代表取締役社長の田中達也は、川崎フロンターレがセレモニーでシャーレ代わりに使った風呂桶を掲げて登壇しました。

田中は「スポーツが感動を呼ぶのは、人と人のつながりが織りなすドラマだから。一人ひとりの選手の力は、チームメイト、監督やコーチ、応援してくれる皆様の力とつながることで最大化されます。ビジネスも同様に、人と人、会社と会社、様々な組織がつながることでそれぞれの持つパワーが発揮され、それが大きな成功を可能にします」と説明。富士通が2018年に掲げた「Co-creation for Success」には、多くの皆様とつながり、社会にとっての多くの成功を生み出したいという想いが込められていると語りました。

そして、「現在、私たちは『デジタル革新』という大きな変化の中にあります。革新を実現する「AI(人工知能)」「IoT(モノのインターネット)」にはどこか冷たい印象がありますが、革新を生み出すのは常に『人』、デジタル革新を推進する力が『人のつながり』です。富士通は『つながるサービス』を追求し、Co-creation(共創)に取り組み、テクノロジーで人を幸せにする会社を目指します」と強調しました。

「組合せ最適化問題」を高速に解く次世代アーキテクチャー「デジタルアニーラ」

続いて田中が紹介した取り組みは、最先端テクノロジーへの挑戦です。次世代のコンピュータ技術として期待を集めている量子コンピュータですが、量子は非常に扱いが難しく、実用化まではまだ時間がかかります。そこで富士通は、量子のふるまいをデジタル回路上で再現する新アーキテクチャー「デジタルアニーラ」を開発しました。デジタルアニーラは、量子コンピュータと同様に、組合せ最適化問題に飛躍的な能力を発揮します。富士通は、デジタルアニーラのクラウドサービス「FUJITSU Quantum-inspired Computing Digital Annealer」と、テクニカルサービス「FUJITSU Digital Annealerテクニカルサービス」の提供を、2018年5月15日に開始しました。

キーノートでは、デジタルアニーラの研究開発責任者である富士通CTO兼富士通研究所社長の佐々木繁が、ビジネスパートナーであるトロント大学教授のアリ・シェイコレスラミ氏を特別ゲストとして招請し、共に登壇。事業化の責任者である富士通執行役員常務の吉澤尚子は、ビジネスパートナーである1QB Information Technology(1QBit)社最高経営責任者のアンドリュー・フルスマン氏を特別ゲストとして招請し、共に登壇。デジタルアニーラの具体的な説明を行いました。

富士通株式会社 CTO
兼 株式会社富士通研究所 代表取締役社長
佐々木 繁
富士通株式会社 執行役員常務
デジタルサービス部門副部門長
吉澤 尚子
トロント大学
電気・コンピュータ工学部教授
アリ・シェイコレスラミ 氏
1QB Information Technologies Inc.
最高経営責任者
アンドリュー・フルスマン 氏

佐々木は、「デジタルアニーラは、今のコンピュータでは解けない膨大な数の組合せ最適化問題を解決することができます。例えば創薬では、原子の組み合わせを計算するのに膨大な時間がかかります。しかし、デジタルアニーラを活用すればこれを瞬時に解くことができ、新たな薬をいち早く見つけることができます」と説明しました。

アリ氏は、ご自身が20年前に富士通研究所でインターンをしていた時に共同で論文を発表したエピソードを披露。そして富士通研究所とトロント大学が、2018年3月、提携して設立した「Fujitsu Co-Creation Research Laboratory」をご紹介。「これは、富士通が新たな木を植えたとも言えます。その根になるのがデジタルアニーラ。この木は、トロント大学の2万2000人の研究者の専門知識を受けて成長していく。デジタルアニーラは、医療、神経科学、経済学、ネットワーク、環境など多くの分野へ拡大していくでしょう」と語りました。

量子コンピュータ向けソフトウェアのリーディングカンパニーであるカナダ・1Qbit社のアンドリュー氏は、「富士通のデジタルアニーラは、私たちが開発しているソフトウェアの力を発揮する最高のハードウェアです。富士通のデジタルアニーラと1Qbitのソフトウェアは、これからの未来を大きく進化させる力があります」と説明しました。

また、富士通の吉澤は「デジタルアニーラは、今まで不可能だったことを可能にしていく技術。今後も性能強化を計画しており、今までにない価値をさらに生み出していくと考えています」とコメントしました。

2つのプロジェクトを紹介した後、田中は「1社のみで成功する時代は終わりました。これからはCo-creation(共創)が加速します」と語り、「富士通はつながるサービスに向けた研究開発力を高め、お客様に価値を届ける専門力を磨き、グローバルで活躍する企業や研究機関などの組織とエコシステムを構築していきます」と方針を述べました。

後編では、富士通執行役員 山田厳英の講演内容を紹介します。(後日公開予定)

(左から)吉澤、アンドリュー氏、田中、アリ氏、(1人おいて)佐々木