ブロックチェーンの最大の価値は効率化にある

昨今のブロックチェーンがビジネスとテクノロジーを変革している様子は、驚くべきものです。以前から仮想通貨とブロックチェーンに熱心に取り組む人たちもいたにせよ、ほんの1年前には、それ以外の誰もこのテクノロジーについて聞いたことさえなく、まして受け入れる者などいなかったように思います。

しかし、ブロックチェーンが、単に何らかの価値を保存したり、投機的な行いをするためのツールから成熟してくると、それ自体の価値も急速に高まりました。このテクノロジーの開発を手がけて収益を上げるスタートアップ以外の企業が、これまでより安全かつ迅速に、効率良くビジネスを機能させる方法を生み出したからです。

1. さまざまな業界を効率化するAI

価値という観点から見ると、情報が石油に代わる新しい資源であることは周知の事実です。グーグルやフェイスブックなどの企業は、Gメールやメッセンジャーといったサービスを無料で提供するのと引き換えに、ユーザーから収集したデータを自社のビジネスに利用しています。しかも多くの場合、このようなサービスは、顧客のオンラインでの行動や選択結果をマシンラーニングに利用し、各サービスのAIアルゴリズムをトレーニングしているのです。

たとえばGメールサービスでは、ユーザーがスパムメールにタグを付けられるようにして、その結果を元にスパム識別のアルゴリズムを鍛えています。また、メッセンジャーでは、オンラインのチャットをトラッキングすることによって、AIの言語プログラムを育成しているという具合です。これらのサービスは、自社のビジネスプロセスを最適化し、外部企業に対するデータの価値を高める上で、こうしたフィードバックがどれほど重要かを理解しています。

一方で、このような企業が、業界においてこの種のデータを独占していることも事実です。彼らは、情報を収集・利用・保存して独自に活用するために自社のサーバを使い、他社のAIモデルがこうしたデータから恩恵を受けたり、収益を上げることがないようにしています。さらに、意図せずに、この価値を生み出す元になる情報を提供している消費者は、こうした企業が非常に貴重なデータを次々に自社のアルゴリズムで分析することによって何十億ドルもの利益を上げているにもかかわらず、その対価を受け取れないままです。

こうした状況に対して、ブロックチェーンのスタートアップの1社であるシナプスは、世界初となるデータとAI利用に関する分散型の売買サービスを生み出しつつあります。このサービスでは、誰もが企業のデータ収集に協力し、自律したシステムとマシンラーニングモデルのトレーニングに貢献できる機会を提供しており、それを利用してAIシステムが学習し、成長できる仕組みを作っています。そして、この強力なコミュニティに登録したエージェントと呼ばれる参加者たちは、AIのトレーニングに関わる中で報酬を得られるのです。

シナプスは時代を先取りしており、今はサービス開始の準備段階でありながら、自らを、2025年までに56%の成長CAGR: 年平均成長率)が予測されるAI業界の主要プレイヤーの1つと位置付けています。この成長率の数字は、AI関連の取り組みから生み出される約600億ドルの収益に匹敵し、その核となるものがデータなのです。

2. ヘルスケア

米国のヘルスケア業界における現状は、「非効率」の一語に要約できます。この非効率さが原因で、米国人は、どのOECD加盟国よりもヘルスケアに関して多額の支出をしていますが、その割には、品質やケアの範囲の面で成果を得られていません。

そこで、現在、アイリスネットワーク社が自社のブロックチェーン技術によって、現行システムであるEHRこと電子化された健康記録の非効率性を改善し、ヘルスケア業界に新たな価値をもたらそうと試みています。

既存のテクノロジーであるEHRは、医療データを保存・共有するシステムですが、機能が断片化されているだけでなく安全性にも問題があり、効率がよくありません。そして、サービスを提供する側と消費者の双方にとって最もコストに影響のある点は、システム間の相互運用性が欠如していることです。

そのため、ヘルスケアシステムを切り替える場合に、患者は、既往歴の移動が困難になる可能性があります。その結果、最新の記録にアクセスできなくなったり、より深刻なのは、記録を探すのに余計な時間やリソースが必要となることによって、医師による最適なケアの提供が妨げられる事態が発生するのです。

これに対してアイリスは、ブロックチェーンテクノロジーを利用して、サービス提供者、患者、研究者がブロックチェーンベースのネットワークにデータをアップロードできるようにします。これにより、すべての関係者は、グローバルに提供される、タイムスタンプ付きの安全なデータの保管スペースを利用できるようになり、旧式のEHR21世紀型のシステムへと進化させられるというわけです。

これによって、ヘルスケア業界のために生み出される価値は計り知れません。医療研究者は、厳しい守秘義務法による制約のため、かつては研究対象が自発的な協力者に対するアンケートや学術研究から得られたデータに限定されていたものの、今ではすべて機密扱いの何百万件もの医療プロファイルを利用できるようになりました。

同様に、機密扱いの医療データを集積したデータを利用できる保険会社は、保険料や料率をリアルタイムで適切に調整し、合理化できるようになるでしょう。ブロックチェーンは、価値の保存の在り方を革新するだけでなく、あらゆる業界で新たな価値を生み出すために利用されているのです。

3. 個人投資

ミレニアル世代の少なからぬ人々にとって、仮想通貨は、多くの一般消費者が投資や取引を行い、利益を得ることが初めて可能になったことを象徴する存在といえました。従来の株取引では、株を売買するだけで手数料が数百ドルかかったため、多くの人々が参加できずにいましたが、仮想通貨熱により、賢い投資のために必要なものが、インターネット接続とある程度の楽観主義であることを知ったのです。

たとえば、オールインワンの仮想通貨投資学習ツールであるハイブリッドブロックなどのテクノロジーは、従来の株や証券に投資する、若い新規の個人投資家を何百万人も教育できるでしょう。

ハイブリッドブロックは、独自のモバイルアプリを含む、マルチプラットフォームのインターフェースを利用し、ウォレット、取引所、など、仮想通貨取引に必要な事柄を教えるだけでなく、フェイスブック世代に投資の基本も教授してくれます。

仮想通貨取引が持つ低コストで普遍的な性質を利用することによって、ハイブリッドブロックは将来的に、株、債券、証券に投資する何百万人もの投資家を生み出していくことでしょう。そして、その全員が、同サービスの提供する、無料で低リスクの初心者支援ツールを利用するようになるのです。

まとめると、仮想通貨は、一部の人々、特に若くて優秀なブロックチェーン起業家たちの間では既存のシステムを破壊的に革新するためのテクノロジーと考える向きもありますが、実際にはあらゆる業界にとって、より広く安全にサービスなどを利用してもらう共生のための要素になる可能性が秘められているといえるでしょう。

この記事は元々デューに掲載されました。

この記事はBusiness2CommunityのPeter Daisymeが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。