ブロックチェーンがゲーム業界でも活躍!不正を働く者からプレイヤーを守る

ゲームが現実世界の仕組みをコピーできるということに、筆者はいつも惹き付けられてきました。人の交流、気象、さらには複雑な経済までもが、戸惑いすら感じるほどの精度で、デジタルに再現されています。そして、リアルさに満ちた世界でありながら、安全に遊び回る機会が得られるということは、常に、ゲームの魅力のひとつであり続けました。

現在、ゲームは徐々に現実そのものになりつつあります。大規模なマルチプレイヤータイプのオンラインゲームを意味するMMO (Massively Multiplayer Online) は、「ノンプレイヤーキャラクター」と呼ばれるコンピュータが自動操作していたキャラクターを、生身の人間が操作する「プレイヤーキャラクター」に置き換えることで、大規模なオンラインコミュニティが有機的に発展するための場を作り出しました。最近の開発者たちは、ゲームサービスからの収益を増やそうと、ゲーム内経済に現実の通貨を持ち込むことも行なっています。その結果、次の勝利に必要な防具のアップグレードやレベルアップといった、プレイヤーにはおなじみのやり取りのために、ゲーム内で得た仮想のお金ではなく、現実の金銭を支払うよう求められることも少なくないのです。

それが、新しいゲーム内経済です。現実と非現実の境界がより曖昧となるにつれ、プレイヤーが負うリスクも大きくなります。ゲームがプレイヤーに金銭でアイテムを買うよう求めると、必然的に(そのつもりはなくとも)、詐欺師やゲーム内アイテムを違法に複製する者、そのほかの不正行為を働く者たちを招き入れることになります。

突如として、架空世界に現実の危険が伴うようになるわけです。

では、ほとんど無秩序ともいえる環境下で、プレイヤーたちが関与する経済を保護するには、どうすればよいのでしょうか。求める解決策の1つが、ブロックチェーンです。このテクノロジーでは、不正行為に対抗するため、取引の記録がネットワーク上に分散されて残り、しかも、すべての取引の流れをたどることができるからです。

ゲーム内経済の仕組み

仮想か否かを問わず経済というものは、「需要と供給の法則」に従って動きます。ゲームでいえば、特定のアイテムの入手の可能性の大小が、そのアイテムの需要に影響するわけです。一般的に言って、入手可能性が小さければ小さいアイテムほど、値段は高くなります。現実世界では、価値のあるアイテムの数は限られ、しかも、作り出すために多くの時間と資源が必要となるため、この2つの要素が、アイテムの市場価値に影響する仕組みです。最近では、ゲーム内でも、この仕組みのシミュレーションが試みられるようになりました。開発者は、プレイヤーが欲しいと思うアイテムに対して、より多くの時間と金銭を使いたくなるような属性や希少性を与えているのです。

ゲーム内の経済モデルとしては、主に次の3つがあります。

  • まず、2種類(以上)の通貨を利用したモデルです。これは、ゲーム内の仮想的な通貨と現実の通貨の両方を使うことに特徴があり、『リーグ・オブ・レジェンド』をはじめ、マルチプレイヤータイプで2チームに分かれて戦うMOBA (Multiplayer online battle arena) ジャンルで基本プレイが無料の対戦ゲームの大半は、このシステムを備えています。プレイヤーは現実の通貨でアイテムを購入でき、しかも、ゲームをプレイし、進めていくと、ゲーム内通貨も得られるのです。
  • 2つめのモデルは、ゲーム内通貨だけを使うシステムです。多数のモバイルゲームで、このシステムが採用されており、アプリを利用するための料金は現実の通貨で支払うものの、あとは、ゲーム内通貨を少しずつ獲得して、アイテムなどの支払いに充てます。『ワールド・オブ・ウォークラフト』のようなMMORPG、つまり、大規模なマルチプレイヤータイプのオンラインロールプレイングゲームも、このカテゴリーです。これらで遊ぶには、購入時の支払いや月額使用料金などのプレイ費用がかかり、さらに、ゲーム内で稼いだゴールドや自作したアイテムのみに基づくゲーム内経済が存在し、それらを取引するための仮想的なオークション会場も存在します。
  • 最後は、ゲーム内通貨をまったく用いないモデルです。この種のゲームでは、機能追加や装飾品購入のために、現実の通貨を用います。これは「ドータ・ツー」における収益確保の基本方式として採用されており、他の同種のゲームとは異なる、このゲーム特有のシステムです。

ゲーム内では、プレイヤーが新しい武器や防具などのアイテムを獲得することによって、先のステージに進めたり、新たなコンテンツを利用できたりすることが多々あります。要するに、ゲームを活性化し収益を保っているものが、こうした報酬システムなのです。

しかし、進めるのが高くつくゲームもあります。基本プレイは無料というスタイルが人気を得る一方で、プレイヤーが現実の通貨で支払う金額も増え続けました。たとえば、2016年に『ゲーム・オブ・ウォー: ファイヤーエイジ』を開発したマシンゾーン社は、課金ユーザー1人あたりの平均が549.69ドルという驚異的な額を引き出しました。また、モバイルゲームのプレイヤーがアプリ内購入に支払う額は、月平均で10ドル近くになっています。

上記3つのゲーム内経済すべてにおいて、アイテムの希少性が現実の通貨のやり取りに結びついており、先に触れたように、この組み合わせが様々な問題を引き起こしているものの、ブロックチェーンを応用して、この状況を改善することは可能です。

詐欺師、不正行為者、アイテム複製者への警戒

何にせよ、現実の通貨を支払う人たちがいれば、それを利用しようとする悪人も、必ず現れるのが常です。

実のところ「1個の仮想アイテムが正規販売でダウンロードされる間に、不正行為者は7.5個を手にしている」と見られています。これは驚くべき比率であり、この影響でゲーム内経済がダメージを受け、ゲーマーは食い物にされているのです。

問題の大部分は、アイテム複製によるものです。不正行為者は、需要が多く、本来は希少で高値がつくアイテムを、ゲーム内の抜け穴を見つけて複製します。このようにしてアイテムが複製されれば、現実の経済と同様にゲーム内でもインフレが進み、アイテムの価値は薄まるのです。さらに、個人情報の窃盗も発生しています。犯人は盗まれたクレジットカードを使ってゲーム内アイテムを購入し、それを安値で売りさばくのです。

ブロックチェーン経済

この問題は、ブロックチェーンによって解決できます。より厳密には「所有権の証明」が行われるということです。幸運なことに、所有権の証明はブロックチェーンが得意とするところであり、ビデオゲーム分野以外にも様々な業界で利用されています。

簡単に振り返ってみると、ブロックチェーンはビットコインやイーサリアムといった仮想通貨の背景にある技術として有名になりました。要するに、これは何らかの処理や操作を記録しておく分散型の台帳のようなものです。たとえばビットコインでは、取引の記録に使われています。記録された情報は暗号化され、誰でもアクセスできるようになります。

オンラインゲームでは、開発者によるものかプレイヤーによるものかを問わず、アイテムの作成と販売がゲーム内経済の成長と均衡に寄与しているため、アイテムの所有権を証明することが、不正行為に対抗するうえできわめて重要です。その意味で、ブロックチェーンはゲーム内経済の公的な記録として機能することでしょう。どのアイテムが、いつ、誰によって作成されたか、そして、そのアイテムに関して発生したすべての取引などの情報が、ブロックチェーンに保存されれば、アイテムの複製は不可能となり、少なくとも不正行為に起因するインフレも起こらなくなるはずです。その結果、ゲーマーが食い物にされる事態も防げます。

まさにこういった理由から、ブロックチェーンはすでにゲーム業界へ浸透し始めました。比較的有名で愛らしい例のひとつとしては、「クリプトキティーズ」が挙げられるでしょう。これは、プレイヤーがデジタルの猫を購入し、販売し、トレードできるゲームです。しかし、他のコレクション系ゲームと違って、クリプトキティーズでは、プレイヤーがすべての猫の所有権をブロックチェーンで追跡できます。これによって、プレイヤーはデジタル猫の不正な販売やトレードの被害者になる不安から解消されました。

ゲームによる現実世界システムの再現が高度化するにつれ、それに伴うリスクを熟知する必要性も増しています。過去を振り返れば、ゲーム業界はいつでも新しいテクノロジーをいち早く導入してきました。ブロックチェーンも例外ではないはずです。

サム・キムはKR8OSのCEOであり、共同創業者です。

この記事はVentureBeatのSam Kimが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。