今更聞けない、インバウンドマーケティングとは?なぜ今、企業の成長に必要なのか

マーケティングや販売の仕事に従事していれば、販売プロセスに関して成果をあげてきた「ファネル」という概念になじみがあるでしょう。元々は液体などを注ぐときに使われる道具の「漏斗」を意味する「ファネル」は、マーケティング分野ではある種の視覚化ツールを指す専門用語です。見込み客がファネルに「注ぎこまれ」ると、そこから、実際の顧客が生み出されてくるイメージを想像してください。

その過程において、見込み客は段階的に売り手と関わりを持つことになります。各ステージでは、自発的に行動することもあれば、販売担当者やマーケティング担当者との関係の中で行動することもあるでしょう。

インターネットはおろかマスマーケティングすらなかった時代には、ファネルの口がかなり小さくても問題ありませんでした。ファネル上部から入ってくる見込み客の数自体が少なく、底の部分からは、それとほぼ同じ数が顧客として出てくる構図だったのです。それは、ものを売るということが、1度に1人を相手にする対面販売であり、個々の顧客に合わせて変化する高度な技術であったためであり、買い手と売り手の両方が、互いに顔見知りでした。買い手は、売り手と接する前から、あらかじめ売り手に関する情報を持っていることも少なくなかったはずです。また、売り手のほうも、取り扱う製品やサービス、そして市場に関する情報に基づいて、誰が潜在的な買い手になってくれそうなのかを知っていました。もし、そこに当てはまらない見込み客がファネルに入ってきたとしても、速やかに取り除くことができたのです。というのは、誤って入ってしまったことが明白にわかりましたし、売り手が事前に見込み客と接触していれば、特定の商品やサービスに不適格かどうかを早期に判別できたためです。

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この古いバージョンのファネルのメリットは、買い手と売り手の接触度が高いという点です。そこでは双方が互いに、ほぼ直接的な関わりを持ってました。そして、見込み客は、状況に応じた個別の対応を通じて、不適格な者や興味を失った者、あるいは、望ましい顧客に選別され、すんなりとファネルから出てくる状態にあったといえます。しかし、その過程において費やさなければいけない時間が長くなることがデメリットでした。買い手も売り手も、相手のことをよく知って、互いから利益を引き出す機会を見つけようとするため、時間がかかったのです。

さて、マスマーケティングの時代に入ると、突然、ファネルは形を変え、上面を大きく広げました。それは、テレビ放送、ラジオ、ダイレクトメールなどの大規模で多岐にわたるマーケティングチャネルから、指数関数的に多くの見込み客を獲得できるようになったためです。このマスマーケティングには、著しいメリットがありました。買い手が接する商品の種類や選択肢がきわめて多くなり、また、売り手は製品やサービスの認知度を高めることで、見込み客の獲得数を大いに増やすことができたのです。

もちろん、この新たなファネルにもデメリットは存在しました。マスマーケティングというアプローチは、比較的、個別対応性に乏しく、ファネルの入り口付近で見込み客に対して与えられる情報量が少ないのです。このことが、買い手にフラストレーションを与える可能性もあり、一方で、売り手は個々の買い手に関する情報を持っていないため、見込み客からの接触を待つ必要があります。販売部門がマーケティングへの不満を口にすることも、多々ありました。それは、マーケティングからもたらされる事前情報の質がきわめて低く、販売部門として独力で対応する部分が増えたためです。

そして、インターネットが登場し、買い手には多岐に渡る選択肢が与えられただけでなく、ファネルの早い段階において、より多くの情報を入手できるようにもなりました。それによって、買い手は自らの手で選択肢を絞り込み、さらに、製品についての知識を深めて交渉力を強めらるようにもなっています。対する売り手も、ビッグデータへのアクセスによって買い手に関する幅広い情報を収集し、販売活動の効果を高めることが可能となりました。Webには、従来のマスメディア上のキャンペーンに比べて、売り手が販売活動の規模をより迅速かつ効率的に調整できるという特徴もあります。

マーケティングの進化に伴う販売担当者の影響力低下

ところが、インターネットベースのマーケティング関係者にとっては、これらの点がジレンマとなりました。すなわち、マーケティング戦略上でWebが演じる役割が増すほど、販売担当者が購入プロセスに及ぼす影響力が減っていくのです。これは、企業自体が、有益なコンテンツを多量に供給するパブリッシャーとなり、買い手の意志決定を手助けしているからです。企業には、買い手がその企業を選んでくれなければ、販売の機会は失われるという懸念があります。

その結果として多くの情報を得られる買い手は、もはや、販売担当者と関わる必要性をあまり感じません。意志決定プロセスの早期段階では、特にそうです。同様に、販売担当者も、早い段階で見込み客と関わる機会がなくなり、信頼獲得や影響力確立に必要な時間と関与を欠いてしまっています。

解決策: 早期段階で見込み客を誘引し、影響を与える、有益なコンテンツ = インバウンド マーケティングという手法

インバウンド マーケティングは、変化を続ける販売・マーケティング環境に対応し、企業の顧客獲得を手助けします。そうした成果は、特定の顧客層を誘引して影響を与えるようにターゲットを絞り込んで作りられた、有益なコンテンツを、セールスファネル全体を通して提供することによって達成されるものです。

このインバウンド マーケティングとは何なのかについて、もう少し詳しくお話ししましょう。これは、マーケティング手法あるいはマーケティング戦略の一種でありコンテンツとして、ブログ記事、eBook、ソーシャルメディア投稿、ポッドキャスト、ホワイトペーパー、エグゼクティブ ガイド、ビデオ、その他のコンテンツツールを使い、ファネルのさまざまなステージで見込み客にアプローチすることによって、信用と影響力を形成します。その目的は、築いた信頼関係によって、見込み客を実際の顧客へと転換することにあり、正しく実行されれば、見込み客が製品について調べる早い段階で、いま述べたような情報のやり取りを通じて価値を提供する機会が生まれるのです。

効果をあげるには、「ペルソナ」と呼ばれる正確な「顧客プロフィール」の把握が必要。考慮するのは主に以下の4要素:

  • 地域 (可能であれば、たとえば市、県、地方などに絞り込む)
  • 人口統計的データ (年齢、性別、職業、収入レベルなど)
  • サイコグラフィックス (ライフスタイル、個人的価値観、性格特性など)
  • 行動様式 (消費傾向、嗜好、製品・サービスへの知識など)

これらの情報を手にすれば、ターゲットを明確に絞り込み、大きな影響力を持つメッセージやコンテンツを作成することが可能です。こうしたメッセージやコンテンツは、最適な見込み客を引き付け、ファネルの各段階で必要とされる量と質を備えた情報を提供できるように構成されます。

セールスファネルの上層では、これらのコンテンツの大部分が、デジタルオートメーションツールによって提供され、各段階に最適化された情報を提供できるように入念に組み合せられたコンテンツによって、見込み客の初期の疑問に対応したりクリックスルーを促進します。たとえば、企業はファネルの最上層において、ほとんどの見込み客が製品やサービスについて調べる初期段階で抱くような、共通の疑問に答えることになるはずです。続いて、見込み客がファネルの中層に達したときに、企業は、自社を選ばない理由はないと思えるような情報を提供していくことになります。

インバウンドマーケティング: 販売担当者を信頼のおけるアドバイザーに

インバウンドマーケティングのメリットは多岐に渡りますが、その1つとして、販売担当者の疎外感を払拭し、重要な役割を与えることが挙げられるでしょう。怒濤の勢いとなったWeb上のコンテンツにより、以前より多くの情報と知識を持つ買い手が生み出されました。それに伴って、多くの販売担当者の役割は、かつてのインフルエンサーやガイド的なものから、単なる御用聞きへと縮小しました。

その結果、企業は自身のブランド的な価値や、買い手が真っ先に思い浮かべてくれるという立場をリスクにさらすことになっています。これは、販売担当者が疎外され、セールスファネルの最下層へと押しやられたことが原因です。そこでは、販売担当者の購買における影響力はきわめて低くなり、買い手が決めたあとで注文を聞くだけの地位に追いやられたといえます。

これに対し、インバウンドマーケティングを推進すると、コンテンツおよびその配信を自動化する作業は販売促進のツールや手段と統合され、商品やサービスについて調べ始めた見込み客に働きかけられるようになるわけです。見込み客は、セールスファネルの入り口で得られた情報や知識に導かれて、自分だけのニーズに合った、より詳しい情報や見識を求めるようになり、それが販売担当者を頼る動きへとつながっていきます。

インバウンドマーケティングで販売担当者がコンバージョン率を増やすために重視すべき点:

  • 買い手中心主義 (買い手の課題と目的を問い、それに耳を傾けること)
  • 個別対応性 (見込み客が抱える問題の解決法を、個々のニーズにしっかり適合させた上で提供すること)
  • アドバイス (注文を取るだけでなく、正しく購入を決断できるように手助けすること)

テクノロジーを基盤とする産業ほど、知識と情報を持つ販売担当者の必要性が高い分野は他にありません。買い手自身の調査に基づく購買決定は、自己流の判断によって支えられていることも多く、実のところ、買い手は自身が購入しているものについて正しく理解していない可能性すらあります。その結果、買い手は無駄が多く失望に満ちた体験をして、ひいては、企業側に落ち度がなくとも、特定のブランドに対して悪い印象を持ち続けることになるかもしれません。

しかし、インバウンドマーケティングによって、販売担当者は、見込み客や顧客との関係性を再構築でき、適切な購買決定ができるよう手助けして、再び信頼のおけるアドバイザーとなることができます。そして、ただ売り上げを生むだけでなく、買い手にとって満足度が高く、顧客ロイヤルティにつながるような経験を作り出すことが可能となるのです。これは、大変貴重なものといえるでしょう。

なお、企業が最良の見込み客を惹きつける上で、インバウンドマーケティングがどのような手助けとなるのかをさらに知るためには、『The 8 Steps to Attract Qualified Leads for Your Business(企業に適切な見込み客を惹きつけるための8ステップ)』という英語のeBookをご覧ください。


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この記事の初出は、ブリストル・ストラテジーに掲載されたものです。

この記事はBusiness2CommunityのDave Orecchioが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。