2018年のデジタルビデオコンテンツトレンド

デジタルビデオの世界は、年を追うごとに成長し続けています。イギリスで映像制作を手がけるアスペクト・フィルム&ビデオでは、この急成長市場において進んでいるさまざまなトレンドや技術の観測と検討を続けてきました。2017年は、間違いなくデジタルビデオにとって転換点となる年でした。というのは、ついにインターネット広告支出がテレビ広告支出を初めて上回ったからです。2018年もデジタルビデオにとって目覚ましい年になりそうですし、ひょっとしたら決定的な出来事が起こる年になるかもしれません。

それでは、当社で話題となっている10大トレンドを早速見ていきましょう。

1-online-spend-body.jpg

1. マーケティング支出に占めるオンラインビデオコンテンツの割合が引き続き増加する

まず注目すべき最も顕著なトレンドは、オンラインビデオの急増の流れが続き、企業規模の大小を問わず、そのマーケティング予算に影響を与えることです。デジタルマーケティング戦術におけるビデオは、もはや2~3年前に言われていたような「前途有望」というレベルを、とうに超えています。デジタルチャネル全体におけるその優位性に議論の余地はなく、その成長は止められそうにない状態です。

最近の統計によれば、43%の消費者が、ブランド企業のビデオコンテンツをもっと見たいとしており、51.9%のマーケティング専門家も、ビデオコンテンツが最も高い対投資効果を持つと考えています。さらに、マーケティング・オートメーションを手がけるハブスポットの調査では、2017年にはマーケティング担当者の48%がユーチューブを、そして、46%がフェイスブックビデオを自社のデジタルマーケティング戦略に統合する意向を持っていたことが明らかとなりました。これらの数字は、2018年にさらに増えることが予想されます。

transcribed-video_body.jpg

2. マーケティング担当者が字幕付きビデオコンテンツの利点に気づく

ソーシャルメディアのプラットフォームにおけるネイティブビデオコンテンツの成長は、字幕付きビデオの莫大な需要を後押ししています。1日80億回に及ぶフェイスブックのビデオ閲覧の85%がサウンドなしで再生されている可能性があるからです。この数字は確認が難しいものですが、当社から見て顕著であり、増加傾向にあります。これは、ソーシャルメディアのビデオフィードがサウンドをミュートして配信されていることと多少関係があります。たとえば、フェイスブックのビデオフィードでは、ユーザーがクリックして初めて音声がオンになる仕組みです。

ビデオに注釈を付けることで、ミュート状態でもコンテンツを理解できるようになるだけでなく、YouTube内の検索機能やグーグルなどの検索エンジンがビデオの内容を把握しやすくなり、関連検索語に対するより正確なランク付けにも役立ちます。そのため、SEO対策としても大きな効果が期待されるわけです。このトレンドは2018年も広がり続け、サウンドがオンでもオフでも理解できるように編集されたコンテンツを持つブランドのビデオの視聴回数が、さらに増え続けることでしょう。

live-video-body.jpg

3. ライブビデオストリーミングの人気が続く

ライブストリーミングは、Business2Communityが以前から注目してきたトレンドであり、その魅力は、ありのままが映し出されているという信憑性と、企業にとっての利用しやすさにあるといえます。そして、2018年は、この配信手法の真価が認められる年になりそうです。

ライブの信憑性が支持されているという点は、スポーツや音楽の生中継が相変わらず人気を集めていることからもわかりますが、BBCの「スプリング・ウォッチ」や「スターゲイジング・ライブ」のような、まったく新しい世代の「ライブ」ショーも広がりを見せており、生配信されるビデオコンテンツの魅力がオンデマンド配信以上にアピールしているのは明らかです。ライブ放送の「オンエア」体験には抗しがたい魅力があり、多くの企業がその事実に気づき始めています。こうしたコンテンツの信憑性の高さは、消費者がマーケティングを意識しにくいという点にもつながり、ライブストリーミングの活用は、消費者の目に映る企業やブランドのイメージに人間性を加味できる大きな可能性を秘めています。

利用しやすさについては、零細企業でも、スマートフォンと三脚、フェイスブックなどのSNSアカウントさえあれば、比較的低コストで定期コンテンツを制作して、ライブストリーミングできるということです。また、視聴者にとっては、さまざまなソーシャルメディアの仕組みを通じて、ストリームされているコンテンツに参加できるので、たとえば消費者主導型の番組づくりなど、これまで以上に革新的なライブストリーミングの活用方法が現れてくるものと思われます。

VR_body.jpg

4. VRマーケティングの方向性が明確になってくる可能性

マーケティングにおけるVRの可能性については、積極的な姿勢と冷めた見方が入り交じっているといってもよい状況にあります。さまざまなVRシステムが巷で人気を博しているにもかかわらず、今のところマーケティング的に顕著な効果を上げるところまではきていません。これは、VR体験が依然として主にゲーム分野に限定されているためともいえますが、レジャー/観光、不動産、小売などの業界における実用化の可能性は潜在的に大きいと見られています。

しかし、すでにヘッドセットの装着に慣れている人たちを対象としない限り、ブランドのVRマーケティングを体験するためだけにそれを装着してもらえる可能性は低い、という現実に変わりありません。とはいえ、黎明期にあるビデオテクノロジーの対象マーケットが成長する中で、2018年はブランドがVRをどう利用するかが見えてくる可能性も見えてきそうです。

mobile-first_body.jpg

5. モバイルデバイスへの最適化とスクエアビデオコンテンツ

今どき持っていない人は少ないとは思いますが、スマートフォンのユーザーにとっては説明不要ともいえる持続的なトレンドの1つが、モバイルデバイスに最適化されたビデオ市場の成長です。大容量のモバイル回線のコストが下がり続けていることに加え、公共の場でのWi-Fiサービスが普及して、モバイルデバイスでビデオを試聴する頻度は増えています。

その結果、今やブランド企業は、縦横比が1:1、つまりスクエアフォーマット専用のコンテンツを制作するようになってきました。2016年にフェイスブックが、ビデオ制作者向けのクリエイティブガイドラインを変更し、このフォーマットを推奨したことがトレンドに拍車をかけているのかもしれませんが、過去にモバイルデバイスで視聴されてきた縦横比が16:9の従来型コンテンツと比較して、実際に最後まで観てもらえる完全視聴率が67%増加している点も、大きな要因となっている可能性があります。

6. 360度ビデオコンテンツがますます広がりを見せる

VR、AR、ライブビデオと共に、360度ビデオも2017年に取り上げたものの1つですが、このエキサイティングな技術は2018年も引き続き、革新的なビデオコンテンツ制作者の創作意欲をかき立てそうです。VRとは違い、360度ビデオはヘッドセットなしでも楽しめるため、消費者にもマーケティング担当者にも急速に受け入れられています。ビューレート自体は若干低い傾向にある一方で、クリックスルーレートは標準コンテンツに比べて非常に高いことも特徴です。

2018年は、消費者がさらに没入感のあるビデオコンテンツを用いて、よりリアルな感覚で商品を見て回ったり体験できるようになり、これまでは実店舗と実際の展示空間に頼ってきた小売りや不動産関連のブランドや企業の間に、この技術を採用する動きが広がり続けていくことが予想されます。

7. 「ビデオ重視」戦略をやめるパブリッシャーも増える

2018年のトレンドは、ビデオの導入拡大を示すものばかりとは限りません。2017年にはバズフィード、マッシャブル、バイスといったパブリッシャーが実験的な「ビデオ重視」戦略の規模を縮小しましたが、2018年はさらに多くのパブリッシャーがこれに続くことになりそうです。役立つ情報ビデオコンテンツの定期的な公開は大きな訴求力を持ちますが、これまでテキスト中心のコンテンツビジネスを展開して来たパブリッシャーにとっては、投資に見合う価値を見いだすのが次第に困難になってきました。特に、デジタル広告市場がフェイスブックとYouTubeによって支配されている現状では、自社サイトのビデオコンテンツによって消費者を引きつけることが難しいためです。

既存の読者層がテキスト内に埋め込まれたビデオコンテンツに魅力を感じることも確かですが、ビデオコンテンツとテキストベースのコンテンツを閲覧する際に利用するプラットフォームに関しては固定化された強い嗜好性が見られ、その習慣を変えさせることはなかなか難しいといえます。

netflix_body-1.jpg

8. ネットフリックス加入者数の伸びが2018年にかなり鈍化する可能性

購読ベースのビデオオンデマンドサービスであるSVODのプロバイダは、この数年間で飛躍的な成長を遂げており、連続ドラマや映画、ドキュメンタリーを観たいときに利用するプラットフォームとして、テレビに取って代わりつつあります。ネットフリックスはこの流れをリードしてきましたが、米国や英国での市場が飽和状態に達していることから、どうサービスの成長はかなり鈍化しそうです。もう1つの要因としては、アマゾンやナウTVといったライバル各社との競争の激化が挙げられます。特に、競合サービスは独自コンテンツの魅力の拡大を目指しており、大型作品の制作への投資を強化しているからです。また、2018年にはさらに多くの新規参入企業が現れ、ネットフリックスの加入者基盤を脅かす力がより強まるでしょう。

9. 「メッセージ指向」のブランドビデオがブームになる

現代において、「予測不能」であるという予想のみがほぼ確実なことの1つに、地球規模で続く緊張と激変の波が挙げられるでしょう。それは、過度に大衆に迎合するポピュリズムの動きであったり、地球温暖化であったり、世界のさまざまな地域で見られる社会の不安定化であったりします。こうした動きにブランド企業も敏感にならざるをえず、この難しい時代を乗り切るために倫理的かつ道徳的な立場を取ろうとする中で、ますます多くの「メッセージ指向」のブランドビデオを目にすることになりそうです。

これが、今日の差し迫った問題とブランドを結びつけることでカスタマーロイヤルティを確保するという純粋なブランドマーケティング戦略なのか、それとも実際に高い企業モラルや社会的義務の意識から生まれたものなのか、という議論は道徳哲学の専門家に任せるとしても、2018年は特定の目的や問題について道徳的な立場を取るブランドコンテンツが増えることが予測できるでしょう。

これについて、ブランド価値を守る広告戦略に詳しいピクサビリティ社CEOのベッティナ・ヘイン氏は非常に洞察に富んだ記事を執筆しており、その中で社会的使命に関連するマーケティングに基づく広告の発展について、2012年までさかのぼって説明しています。メッセージ指向のブランドビデオ戦略への第一歩を踏み出すことを検討中のブランドにとって、一読の価値があり、思考の糧となるはずです。

user-generated-content-body.jpg

10. 消費者制作ビデオコンテンツが増える

2017年1月、消費者制作ビデオコンテンツの急増を受けて、フェイスブック社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、「ビデオファースト」という言葉を生み出しました。ビデオにおけるこのトレンドは、ソーシャルメディアの成長が所有者制作コンテンツから消費者制作コンテンツへと変化したWeb 2.0の背景にある時代の指向性を反映しているように思われます。特にスマートフォンの高い普及率を考えると、ビデオもWebと同じ流れに沿うことになっても不思議はないでしょう。

フェイスブックのようなソーシャルネットワークは、このトレンドに敏感に反応しており、2018年も引き続き、消費者が他人のコンテンツを見るだけでなく、独自のコンテンツをさらに簡単に生成・共有できるようにするための施策を打ち出してくるものと思われます。

この記事の初出はアスペクトに掲載されました。

この記事はBusiness2CommunityのEvelyn Timsonが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。