進むブロックチェーン開発者不足、3つの解決策とは?

今や、産業界の巨人として知られるIBM、マスターカード、JPモルガン・チェースをはじめ多くの企業が、ブロックチェーン施策の調査を進めるようになりました。ブロックチェーンは、ここ数年この技術に非常に注力しているデロイトやアクセンチュアのようなコンサルティング企業にとって、最も求められているポジションの1つです。

しかも、大手以外に、ブロックチェーンベースのスタートアップが世界中で何百社も生まれているわけですから、雇用対象となるブロックチェーン開発者に深刻な不足が生じていることにもうなずけます。

ブロックチェーンの急激な普及によって、驚くほど幅広いスキルセットが求められるようになっており、そこには、アプリ開発、セキュリティ、エンジニアリングをはじめ、様々な関連分野の能力が含まれているのです。

世界4大会計事務所の1つであるPwCのフィンテック担当ディレクター、ジェレミー・ドレイン氏は、「現在、ブロックチェーン業界が直面している最も重大な課題は人材不足です」と2016年の時点ですでに述べていました。また、2017年秋以前の段階で、金融メディアのコインテレグラフも「暗号通貨関連の求人が過去6カ月間で2倍になった」と報じていたのです。さらに、スタートアップを専門とする求人掲示板「エンジェルリスト」では、ブロックチェーン開発に関する求人が2016年の水準から3倍に増えています。加えて、暗号通貨メディアであるクリプトコインニュースの報告では、ビジネス系SNSのLinkedIn(リンクトイン)における2017年11月のブロックチェーン関連の求人投稿が、昨年の3倍を超えているほどです。

結果的に、ブロックチェーンの突然の台頭は人材不足を招き、多くの企業がその基本的なニーズを満たすだけでも苦労することになりました。そして、厳しい状況の中で、各社は人材の穴を埋めるための興味深い方法を模索しています。

1. 社内トレーニング

企業におけるブロックチェーンの採用による予想収益は、2025年までに全世界で25億から199億ドルへと増加する見込みです。そのため、今から2025年までの間に社内でスキルセットの育成に成功した組織には、大きなチャンスがあるといえます。

IBMなど一部の企業は、ブロックチェーン関連の人材に対する膨大なニーズを満たすため、独自のトレーニングセンターの構築を開始しました。技術的に優れた専門家集団を擁するIBMは、ブロックチェーンテクノロジーの開発に関するトレーニングを迅速に従業員に提供できるだけの知識と経験を有しているためです。

同社のブログ「デベロッパーワークス」によると、「IBMは、ブロックチェーンに携わる従業員、あるいはブロックチェーン業務への異動に意欲的な従業員に向けて、スキルに応じたオンライントレーニングを提供している」といいます。IBMのコースでは、習得したスキルに応じた修了証書が発行されるため、受講者はそれを自身の履歴書やLinkedInのプロフィールに含めて活用することが可能です。

また、それと比べて小規模ながらも、ブロックチェーンプラットフォーム「IOHK」は、この分野に貢献でき、即戦力となる従業員の拡充を狙って、コンピュータサイエンスの卒業生向けの夏季ブロックチェーン講座を無料で提供したこともあります。

2. アウトソーシング

PwCの「2017年デジタルIQ」調査によると、金融サービス分野のエグゼクティブの36%が「今後3年の間に、組織的にブロックチェーン技術への大規模投資を行う予定である」と回答しました。

もちろん、これらの組織の多くがIBMなどの巨大複合企業のように潤沢な人材を擁しているわけではないため、同分野のエグゼクティブの約86%は「組織が必要なブロックチェーンスキルをまだ育成できていない」とも答えています。さらに、ブロックチェーンを確実に活用できるだけの十分な専門知識を備えたチームを持つ組織となれば、その数は一層少なくなる状況です。そのため、多くの企業が、ブロックチェーンの開発作業を専門の業者やフリーランサーにアウトソーシングする道を選びました。

ジョブマッチングプラットフォームの「アップワーク」と「LinkedIn」は、どちらも、ブロックチェーン関連とビットコイン関連の能力がテクノロジー分野できわめて需要の高いスキルであることを示しており、特に後者では、ソフトウェアテクノロジー業界内のビットコイン関連の求人が2014年から2017年にかけて4.6倍の増加を見せたほどです。

ブロックチェーン関連のフリーランス技術者の需要がこれほど高いという事実は、その対価が決して安くはないことを意味します。「1時間当たりのレートは、最低でも50ドルから最高200ドル以上」であるとCNBCは報じました。とはいえ、テクノロジー分野において増加するブロックチェーンの重要性を考えると、チャンスを逃さないために、それだけのコストをかける価値もますます高まっているといえるでしょう。

3. ニューカラーワーカー

デジタルマーケットリサーチ企業のジュニパーリサーチも、大企業の57%がブロックチェーンテクノロジーの展開を積極的に検討しているか、すでに実際に展開していると報告しています。求人件数がこれほど多いにもかかわらず、その要件を満たす求職者が非常に少ない現状では、大学卒業者がその需要を満たすのを待っていられるほどの余裕が企業にありません。そこで、即戦力を求める多くの企業が、いわゆる「ニューカラージョブ」に注目しています。これは、求職者に対してその分野の学位を求めない代わりに、多少のトレーニングを必要とする職務階級を指す言葉です。

このユニークなアプローチは、従来の大学からの雇用システムと産学協同的なコラボレーション、そして企業側の「藁にもすがる思い」の組み合わせから生み出されました。現にMSNBCによる2017年9月のレポートでも、「ブロックチェーン開発に関する特定の職務の遂行に必要なトレーニングを受けられる労働力予備軍の人口は、確実に増えつつある」と報告されています。

確かに、給料が良く、限定トレーニング付きの業務の求人を出した企業は、争奪が起こっている人材をある程度確保できるでしょう。そのため最近では、その需要に向けて、ブロックチェーンに関するトレーニングコースをオンラインで開講している高等教育機関の数も増えています。たとえば、スタンフォード大学のダン・ボネ教授が提供する「コンピュータセキュリティと暗号化」コースの登録者数は、百万人を超えたほどです。

ブロックチェーン開発者に対するこのような需要が生まれた結果、そのスキルに対して特別な賞与が付くようにもなっています。IT雑誌「コンピュータワールド」による最新のレポートは、いくつかの分野で「ブロックチェーンの開発と管理の両方に対応できるソフトウェア開発者に、18,000ドルの賞与が提供されている」と報じています。この事実が一般に知られずに済むわけもなく、高校や大学のコンピュータサイエンス課程では、すぐに、テクノロジー分野を志す生徒や学生にこの分野を目指すことを強く勧めるようになるはずです。

そうした人材育成のサイクルが整うまで、需要を満たそうとする企業の奮闘は続くことでしょう。現在、主流となっている金融システムでは、ビットコインなどの代替通貨が根付きつつあり、機能と有用性の両面でブロックチェーンが拡大しています。最も革新的なテクノロジーを開発する能力を備えた、極めて優れた人材の争奪戦はすでに始まっているのです。

イグナシオ・デ・マルコは、テクノロジサービス企業であるバイヤーズ・デブCEOです。

この記事はBairesDevのIgnacio De Marcoによって執筆されたVentureBeatの記事であり、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。