米国最新事例に学ぶ!スマートシティ革命の鍵

自動運転車からあらゆるモノの自動化まで、スマートシティの基盤となるテクノロジーの進化が加速するに連れ、熱狂と不安も同じように高まってきました。世界中の業界や政府のリーダーが、このような変化に伴う不測の事態をうまく乗り切ろうとする中で、何らかの指標を求めています。そこで米国内部に目を向けてみると、いくつかのきわめて優れた洞察が得られました。

ここでは、米国の様々な都市の政策立案者が未来に向けて準備を進めてきた事例を、いくつかご紹介します。

分野を超えた連携

筆者は、独自のプラットフォーム「Digi.City」を通じて、議員、公務員、テクノロジー分野のリーダー、および企業を迎え、色々な都市でディスカッションの場を主宰してきました。それを通じて、地方から都市部、地域レベルから州全域、あるいは公共部門から民間部門のリーダーまでが、全米規模でスマートシティ革命を主導するために、それぞれ準備を進めていることがわかりました。

たとえばデンバー市は、パナソニックと協力して小規模なスマートシティの実験場づくりを目指しており、サンディエゴは、クアルコムやGEほか、民間部門の企業と連携して大規模なIoTネットワークを立ち上げ、次期スマートデバイスの実現を目指しています。

インディアナポリスで筆者が主催した円卓会議では、アンジェラ・スミス・ジョーンズ副市長が、他の地域や州の機関、さらには学術界や民間部門と連携することの重要性を強調しました。たとえば同地域の先進的な人工コミュニティである16 Techは、IUPUIと称されるインディアナ大学とパデュー大学インディアナポリス校に隣接しており、その中心的な入居企業のIBRIこと、インディアナ・バイオサイエンシズ・リサーチ・インスティチュートが推進する提案型イノベーションエリアです。このコミュニティは、ホワイトリバーとフォールクリークの2つの水域に囲まれていることもあり、スマートウォーターテクノロジーをテストするうえでも絶好の場所と言えます。最近では、節水分野の業界リーダーであるグローバル・ウォーター・テクノロジーズが、スマートテクノロジーの利点を示すため、16 Techに「生きた実験室」の設置を提案しました。

インディアナ最大の独立系通信ブロードバンドプロバイダ、スミスビル・ファイバーのCOOであるデーブ・ブローディン氏は、この考え方に賛同しています。同社は2018年までに地方自治体全域を対象とした高速ギガビットネットワークを構築することを2015年に立案し、人口16,000人のインディアナ州ジャスパー郡との合意に達しました。

ブローディン氏は、ジャスパー郡が定めた「RFP」と呼ばれる提案依頼プロセスにより、市の指導者との直接的な連携が容易になったことを受けて、市と信頼できる運営担当者とのオープンな対話が生まれたと説明します。これにより、関係している特定のコミュニティに合わせた計画を策定することが可能になりました。同氏は、他の市では接続ごとに何千ドルもの許可手数料が請求されることがあるなど、不要な障害と感じる条例が設けられていると指摘し、「同じような状況ならば、当社は撤退せざるをえなかったでしょう」と言います。

規制上の障害をなくす

スマートテクノロジーを利用して自らの可能性を最大限に引き出すことのできる都市は、取り組みの妨げになり得る規制上の障害をすでに認識しています。

インディアナ州のブラント・ハーシュマン上院議員は、スマートシティ分野のイノベーションとともに、IoTの普及を後押しする次世代の5Gモバイルネットワークの導入に向けた、同州の取り組みについて説明しました。同州は先の立法議会において、その超高速で超低遅延のワイヤレスネットワーク実現に向けた重要なポイントとなる小型の基地局「スモールセル」の展開に関する作業を、円滑に進めるための法案を可決しています。

ハーシュマン上院議員は従来型の投資と比較しながら、次のように述べました。「ホンダやトヨタがこの州に建設してくれるなら、我々は相手に金銭面での便宜を図るでしょう。それなのに、5Gのワイヤレスネットワークに対して条例の壁を作ってしまうのでは、理屈に合いません。」

今年、これに続く形で、アリゾナ州もスモールセルと5Gの展開に向けた障害を取り除くための法案を通過させました。この「ビジネスにオープンな姿勢で臨む」という規制環境が、多くのハイテク企業や先端プロジェクトにとって魅力的な環境を生み出しています。その結果、経済が成長し、消費者が恩恵を受け、投資家が反応するようになってきているのです。

居住者の参画を促す

市が主なサービスの提供を効率化するのに役立つ、無数のテクノロジーソリューションも、すでに存在しています。LEDライトから、交通系のプラットフォームと一体化した信号機、大気の質を測定できるセンサーを搭載したごみ箱まで、市には、財政を破綻させることなく、より多くのことを実現できるすばらしいチャンスがあるのです。

とはいえ、どのイノベーションにも言えることですが、センサーテクノロジーを導入することが、いかに自分たちの利益になるのかを、すべての人が理解してくれるとは限りません。スマートシティ革命の先頭に立つことを望む都市は、テクノロジーイノベータやコミュニティの賛同者、大学の研究者らと協力して、スマートテクノロジーがいかに自分たちのコミュニティに恩恵をもたらすのかを、居住者が理解できるような独創的な方法を考え出す必要があります。

シカゴでは、コンピュータサイエンティストであり、都市データの専門家でもあるチャーリー・キャトレット氏が主導して、民間部門のリーダーとの間で、街中にネットワーク化されたセンサーを設置する「モノのアレイ」プロジェクトの試験運用を進めてきました。これには、シカゴ大学、アルゴンヌ国立研究所、レーン・テック・ハイスクールなどが参加しており、対象は150人の高校生です。500個のセンサから収集されたデータへのアクセスを提供することでデータ分析などのハイテクスキルが身につくほか、問題解決やチームワークなどのソフトスキルも教えています。キャトレット氏は次のように述べました。「このプロジェクトは、学生がスマートシティのためのテクノロジー開発を企業だけの活動として捉えるのではなく、自分たちが関わることで違いを生み出すチャンスだと考えられるようにするためのものです。」

このようなパートナーシップでは、すべての関係者の支持が得られるような単一のアクションプランを作成すれば、市とその企業パートナーを支援することができるのです。

チェルシー・コリア氏は、スマートシティテクノロジーおよびポリシーのプラットフォームであるDigi.City,の創設者です。氏はまた「スマートシティ・コネクト」の総合監修者、インパクト・ハブ・オースティンの共同創設者、テキサス・フォー・エコノミック・プログレスのシニアアドバイザでもあるとともに、2016年にはズィー・シン・アイゼンハワー・フェローを務めました。

この記事はVentureBeat のDigi.CityとChelsea Collierが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。