型破りの自動車メーカー、テスラが生み出す新たなパラダイム

これは、セクシーな電気自動車の話に留まらない。マスク氏率いるきわめて野心的な企業による、業界改革の目論見だ。

2017年12月に開催されたロサンゼルスオートショーで、大半の自動車メーカーが展示スペースを最新モデルやコンセプトカーの発表に利用する中、このような業界イベントにはほとんど参加してこなかった型破りの電気自動車メーカー、テスラ(tsla)が出展したのは「家」でした。

「未来の家」と名付けられたその建物は、テスラブランドのソーラーパネルと、同社の家庭用蓄電装置の1つである「パワーウォール」を装備。もちろん、テスラの大人気車種であるモデルX、モデルS、そして、最近リリースされたばかりのモデル3も展示されていました。これらのクルマと未来の家はすべて、テスラがすべての人のために定義と設計を進めている、最先端のよりクリーンなエネルギーエコシステムの構成要素です。

この展示は、明らかにあることを暗示しています。テスラほど野心的な考えを持つ企業は、たとえ他に存在したとしても、まれです。また、私たちが何か新しいことを思いつく上で、自動車ほど、日常と非日常の両面において素早く深い影響を及ぼしたものも、同じように、まれなのです。そう考えると、「この創業15年の企業は単に自動車業界の改革を進めているだけだ」という見方をするだけでは、同社を過小評価することになりかねません。このことと関連して、カーネギーメロン大学のスクール オブ デザインのマーク・バスキンガー教授は、次のように述べています。「テスラはIoTを自動車に取り入れる、あるいは逆に自動車をIoT化することを目指しているのです。それは、自社を異なるパラダイムとして位置づけようとする非常に興味深い試みといえます。」

ウォール街が、同教授の指摘にあるテスラのビジョンを受け入れたのは明らかでしょう。2017年12月中旬時点でテスラの株価は61%上昇し、同社の市場価値も580億ドルとなりました。これは、GMgm)と並び、フォードf)を上回る数字です。

ビジョナリーの役割を担うのは、テスラの共同創業者兼CEOのイーロン・マスク氏です。火星への移住計画のような同氏の壮大なアイデアを笑う人もいますが、自動車メーカーとしての成功には否定しがたいものがあります。

従来型の自動車メーカーが自社のクルマの設計とエンジニアリングを進化させるのと同様に、テスラは新たなパラダイムを生み出そうとしており、その輪郭も徐々に明らかになってきました。そのヒントは、様々な機能の自動化と自律運転機能に向けた取り組みから、クルマをソフトウェアとして扱い無線通信でシステムアップデートできるようにしたユニークな視点、さらには、純粋に電気自動車の格好よさを追求する姿勢まで、多岐に渡っています。

テスラが最も大きな影響を与えるのは、自動車業界の古臭い製造と販売のあり方だろうと指摘するのは、イギリスの美術学校、アートセンター・カレッジ・オブ・デザインの有名なトランスポーテーションのコースで教鞭を執る、自動車デザイナーのティム・ハンジンガー氏です。「テスラは、最終設計段階に入るよりも先に、大量のモデル3を受注していたのです」と、同氏はその偉業に感嘆した様子で続けます。「テスラは、新型車を開発する上でのクラウドファンディングサービス的な役割を果たしました。実際に車両開発が完了する前に、何億ドルもの収益をもたらすことができたのですから。」

また、ハンジンガー氏は次のような説明もしています。「これは、ほぼ前例のない成功と同時に、自動車業界における非常に大きな出来事です。この業界ではこれまで、たった1セントの利益を生み出すためでさえ、何百万ドル、あるいは何億ドルという投資が必要でした。多くの企業が倒産していった原因も、そこにあります。」

同氏はさらに、テスラの理念をアップルと比較しながら、製品の開発プロセスにおいて消費者の役割を高めたことも斬新だと指摘しました。「プロセスの早期段階で顧客からフィードバックを得る。それはまったく新しく、まったく異なる製品開発手法です。」

テスラはさらに、自動車の購入体験に対してもラジカルなアプローチをとりました。ショールームをショッピングモール内に置いたり、顧客がオンラインでクルマを購入できるようにして、購入体験を楽しいものにすることを目指したのです。この点について、ハンジンガー氏は次のように述べています。「テスラの購入体験は、他社の販売店で私たちがこれまで強要されてきたものとは、まったく違うものになりました。顧客最優先の姿勢は、見ていてとても爽快です。」

同社は、単に自動車を売っているのではなく、テスラ製品のある、快適で環境にも優しいライフスタイルを提案しているといえるでしょう。

本記事の再編集版は、フォーチュン誌の2018年1月1日号に「Business by Design」特集の一部として掲載されています。

この記事はFORTUNEのErika Fryが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。