電子政府サービスを目指すEUのこれから

先ごろ、EU加盟国によって、ある包括的な宣言への調印が行われました。この宣言は、電子政府確立への取り組みを推進し、ヨーロッパにおける各国政府のサービス提供方法を変革することを目的としています。

それらのプランの中で最も重要なのは、デジタル識別システムの開発推進を目指すという合意です。これにより、居住者は、そのシステムを利用して新しい公共および民間のオンラインサービスに幅広くアクセスできるようになります。また、この合意は、データのプライバシーとセキュリティを確実に保護しながら、電子IDの確実な導入のための枠組みの策定を、EUに呼びかけるものです。

EUにおけるデジタル・マーケティングやeコマースの推進機関であるデジタル・シングル・マーケットのバイスプレジデント、アンドラス・アンシップ氏は、協定への調印後の声明で「EU加盟国の国民全員が、自国のサービスと同様に他の加盟国のオンラインサービスにアクセスできるようにすると同時に、国内市場の電子取引も大幅に簡便化していく必要がある」と述べています。

電子政府のさらなる普及に向けたこの活動を主導しているのは、欧州委員会の現委員長であるエストニア政府です。このポジションは各加盟国が持ち回りで就きますが、エストニアは電子政府サービスの先駆者として有名であり、すでに、居住者がデジタルIDカードを作成することで、オンラインで税金の支払いや投票、各種行政サービスの要請などの手続きを行えるようにしています。加えて、弁護士や裁判所、銀行も、各種手続きにおいて人々のIDを認証するためにこのシステムを利用することが可能です。

今回、エストニアの首都で調印された合意は、正式には「Tallinn Declaration on e-Government(電子政府に関するタリン宣言)」と呼ばれます。この宣言では、電子IDの普及や、EUおよび加盟国の法令改革に向けた動きにつながる計画をまとめ、そのようなシステムの実現をEUに呼びかけています。

一方で、この宣言書に含まれる声明の大半は、理念に関するものです。そのため、EUは、現実に基準を定め、導入スケジュールを作成し、システムの資金調達方法を決定するという課題になおも直面しています。さらに、多くの居住者にとってはプライバシーが引き続き最優先事項であることから、何らかの論争が起こることも十分予想されるでしょう。

それでもなお、サービス提供の効率化を行うことが各国政府による居住者サービスの充実につながり、各国のデジタルセクタが、このようなシステムの導入に必要な投資の恩恵を受けられるようになっていくものと期待されているのです。

この記事はVenturebeatのChris O'Brienが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。