今すぐARを導入できる5つの業界

優れた最新のカメラと先進的なセンサー技術を採用したスマートフォンの登場によって、ARの領域で新たな可能性が広がりました。開発者は、かつてないほどの十分な機能を得て、消費者に目の前の画面と周囲の物理的な世界との境界線を意識させない、一段と高いレベルのAR体験を生み出せるようになります。

このような技術の進歩は、多くのブランドにとって他社とは違った方法で顧客の心をつかむ大きなチャンスです。さまざまな企業がモバイルデバイスならではの注目を集めようと知恵を絞るなか、業界を問わずARに注目したマーケティング担当者は、スポンサー広告付きの3Dアイテムや独自のマルチメディアオーバーレイを利用して、顧客を取り囲む現実を拡張できるようになります。つまり、適切なAR体験を作り出すだけで、エンドユーザーはカメラの視野内に手軽に3Dアイテムをドラッグしたり、物理的な空間内のあらゆる方向にスマートフォンを向けて、今までに見たことのないものを表示することが可能になるのです。

以下に、5つの業界を採り上げて、今すぐARを導入できるアイデアを紹介します。

ライブイベント

アップル社は9月に、米メジャーリーグでのARの活用例を紹介しました。メジャーリーグでは、ARを利用してスタジアム内でのライブ体験を向上させています。ファンがグラウンドにiPhoneのカメラを向けると、観戦中の試合に関するリアルタイムの情報や統計を確認できるようになったのです。これはもちろんすばらしい用途といえますが、ライブイベントにおいて想定されるARの応用例の1つに過ぎません。

誰もがスマートフォンのカメラ機能を使って写真や動画を撮ることが当たり前のことになるなか、ライブイベントはARにうってつけのユースケースと言えます。たとえば、コンサートにARを導入すれば、小道具的な3Dのアイテムやアニメーションによるデジタルオーバーレイを取り入れて、ステージ上でのミュージシャンの存在感をより印象付けることができるでしょう。また、うまくいけば、観客参加型のパフォーマンスをARで補完して、新たな没入体験へと導くこともできるはずです。

さらに、ライブイベントにAR体験を導入すると、スポーツリーグやコンサートのプロモータは、観客に新たな魅力を提供できるだけでなく、その体験自体を特定ブランドのスポンサー広告枠として販売する新たなチャンスも得られることになります。

ファッション/美容

デパートを訪れたことがある人ならば、多くの服の試着に時間がかかり、疲れ果てた経験を持っているはずです。もし効果的なARアプリが導入されていれば、顧客は一日中試着室を出たり入ったりせずに、しかも、新しい服を棚から取り出すこともなく「試着」できるようになります。その結果、顧客にとってショッピング体験がより楽しく、より効率的なものとなるでしょう。同様に、顔認識技術を採用した「トポロジー・アイウェア」のような新しいARアプリを利用すると、顧客はiPhoneで顔の自撮り動画を撮影するだけで、好みに合わせて眼鏡をデザインするようなことまでできるのです。

あるいは、ARは、特にイヤリングなどの常に店頭で試着できるとは限らないアクセサリや、化粧品などを購入する場合にも役立ちます。後者の例では、ARの導入によって、顧客が商品を手首などに塗ることで顔につけたときの様子を想像する必要はなくなり、サンプルに手を伸ばすまでもなく実際に自分で使った場合の口紅や化粧品、アイシャドウの色味を確認できるようになるでしょう。また、AR技術を使えば、顧客が新しい色味を試す前に化粧をすべて落とすことも不要であり、より多くの化粧品を一気に試すことも可能となるわけです。

交通機関

公共交通機関や民間交通機関でARを導入すると、通勤や通学をもう少し予測しやすく、はるかに快適なものにすることができます。

たとえば、これらの交通機関がAR対応のバス停を開発したなら、乗客がバス停の近くでスマホをかざすだけで、自分が乗るバスの現在位置と到着までにかかる時間を正確に知らせるライブマップを見られるようにすることが可能です。その結果、人々は、そのまま待ち続けるべきか、それとも目的地に別のルートで行くべきかを即座に判断するための情報が得られます。また、拡張現実には、運転手にとっても大いに役立つ面もあるのです。

この産業分野では、データを活用して、顧客にとってより透明性の高い、便利な体験を生み出すことがAR導入の鍵となります。うまくいけば、交通機関のAR体験によっても、消費者ブランドにとって重要なスポンサー広告枠を確保できるでしょう。

旅行/接客

馴染みのない街を歩く場合、おそらく観光客はその地域のことをほとんど知りません。ところが、通りかかった怪しげなバーで、その晩、将来有望なインディーズバンドの演奏が行われることや、1ブロック先のホテルにすばらしいレストランが入っていることもありえます。いずれにしても、そのことを知らなければ、観光客自身にとっても、また、観光客に知られてない店にとっても、貴重なチャンスを逃すことになるでしょう。

しかし、街や企業は、観光客が散策しやすくなるように、ARを利用したアプリを作成することができます。たとえば、ラスベガスのホテルの外観にスマートフォンのレンズを向けるだけで、内部のレストランやショップ、ショーを人々に紹介できるようなARアプリです。特に用意周到なアプリならば、人々がAR体験から直接コンサートのチケットを購入したり、スパの時間を予約したりすることも可能になるでしょう。観光の目的地となり得るあらゆる場所にとって、ARはそこに人々を呼び込み、売上げの増加につなげるための絶好の手段だといえます。

クイックサービスレストラン

ファストフードが子どもに人気であることを考えると、クイックサービスレストランでARを導入すれば、店内の体験を対話型の夢の国に変えられるでしょう。子どもがスマホのビューファインダを店内のさまざまな場所にかざすだけで、あらゆる楽しい遊びを見つけられるようになります。

たとえば、ハンバーガー・チェーンのウェンディーズのマスコットがテーブルの陰に隠れていたり、プレイエリアを走り回っていたりするのを、子どもが発見できるようにするのはどうでしょうか。さらに、それらのマスコットをタップすると、教育的なゲームや対話型のビデオを始められるようにしてもよいかもしれません。実際のところ、クイックサービスレストランのブランドがARを利用するとしたら、食事中や注文を待つ間に子どもの関心を集めるためのクリエイティブな楽しいアイデアが、尽きてしまうことはないでしょう。

このようにAR技術は、企業がターゲット顧客を惹きつけるためのさまざまな手段となりえます。そして、ARイノベーションの導入に積極的になれるかどうかは、ひとえにマーケティング担当者にかかっているのです。本当に人の心に届く体験を生み出しないのならば、常に前向きに新しいことを試し、経験を積む中で何がベストなのかを見極めていくしかないといえます。

ダナ・ロバーグは、拡張現実コミュニケーションプラットフォームであるサーリアルの共同創設者であり、スマートフォンを通じてすべての人にARの世界をもたらすことを目指し、リアルな3Dおよび4Dアニメーションによるオブジェクトを利用して周囲の世界を拡張できる機能を人々に提供しています。

この記事はVentureBeatのDana Lobergが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。