ボイスコントロールはモバイル決済の主流になるか?

音声によってさまざまな処理を行うボイスコントロールは、今や、テクノロジー業界で注目の的です。アマゾン、グーグル、アップルをはじめとする巨大企業が、主に会話による音声インターフェイスを通じて機能するAI搭載機器を続々と展開しています。それらのボイスコントロール型スマートハブによって、あらゆる種類のIoT製品の制御がかつてないほど容易なものとなり、モバイルテクノロジー体験にも影響を及ぼしてきているのです。

しかし、これらのハブの役割は、ホームオートメーションテクノロジーの核となることに留まりません。AIを利用したボイスコントロールは、消費者によるモバイル決済でも新たなトレンドとなっており、その傾向は、大手の小売業者や銀行、IT企業との主要な提携によって強まっています。

では、ボイスコントロールは今後の主流となるのでしょうか。それとも、このトレンドは、実を伴わない誇張なのでしょうか。ここでは、その本質について考察していきたいと思います。

アーリーアダプターが取り組むボイス決済

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Photo by Ben Kolde on Unsplash

アーリーアダプターとは、新しい技術や製品をいち早く採り入れて試すことに積極的な人々や組織を指します。その意味で、このテクノロジーには大勢のアーリーアダプターがおり、ボイスコントロール型スマートハブとそのデジタルアシスタントは、すでに多くの消費者の家庭に取り入れられ、人々は音楽の再生や、スマートホームシステムの制御、スケジュールやリマインダの設定といった操作を、すべて簡単な音声コマンドで行うようになりました。これらのスマートハブを使って、自宅にいながら声で買い物をすることは今でも可能ですが、近い将来にはもっと当たり前のことになっていくでしょう。そして一部の企業は、すでにボイスによる決済において大きな前進を遂げつつあります。

消費者が、近いうちにスマートハブを使って高額な買い物をするようになることは考えにくいものの、小額な日常の買い物についてはまた別の話です。過去には多くのモバイル決済プラットフォームが失敗に終わった分野がありましたが、そのような分野においても、特に2つの大きな提携が、ボイスによる決済に成功をもたらそうとしています。

その1つが、大手小売チェーンのウォルマートとグーグルとの業務提携です。これは、ウォルマートの「イージー・リオーダー」サービスをグーグルのスマートスピーカーであるグーグル・ホームに組み込み、主に小額の日用品から構成される数十万点のウォルマート製品を、簡単なボイスコマンドによって、素早く便利に注文することを可能にしました。

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Photo by Piotr Cichosz on Unsplash

これに対抗するように、アマゾンとマイクロソフトも、それぞれの独自のボイスコントロール型デジタルアシスタントであるアレクサとコルタナが、互いにシームレスにコミュニケーションをとれるようにすると発表しました。その結果、どちらのアシスタントのユーザーであっても、アレクサの注文・決済機能を利用して、アマゾンの大規模なオンラインマーケットプレイスにアクセスできるようになります。アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏は、将来的にアップルやグーグルのスマートハブとの統合も構想していますが、まだ具体的な計画は発表されていません。

スマートハブがさらにスマートに

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Photo by Jacob Ufkes on Unsplash

このようにボイスコントロールによる決済が今でも便利な機能として使われている中で、次世代のAIデジタルアシスタントはさらに大きく前進しようとしています。すでに各社は、はるかに高度なAIの開発に取りかかっており、ボイスコントロールを現在のぎこちない台本どおりのやりとりから、より自然な会話へと近づけることを目標としているのです。

これらのAIプラットフォームは、ユーザーの好みやニーズを予想する優れた能力を持ち、オンライン/実店舗のどちらの小売業者にも、ボイス決済プロセスを利用しやすいものへと変えていきます。近い将来、これらのプラットフォームは、まるで店舗スタッフやショッピングアドバイザーのように、おすすめの商品を提示したり、フィードバックを提供したり、購入と支払いを処理したりといったことを、オンライン上でもスムーズに行えるようになるはずです。

ボイス決済エコシステムの成長

ボイスコントロールによる決済システムが成功するためには、消費者のニーズをすべて把握して処理できる、広範かつ多様なエコシステムが必要ですが、実は、短期間のうちに多くのモバイル決済プラットフォームがボイス決済分野に参入したことから、こうしたエコシステムの成長はすでに始まっています。

たとえば、アメリカのアップル製品ユーザーは、アップルペイキャッシュプラットフォームを通じて、ベンモー、ペイパル、スクエアキャッシュといったプラットフォームから、ボイスによる送金やピアツーピア決済を行えるようになっています。これと同様の機能は、アレクサやグーグルアシスタントからも利用できます。特にボイス決済分野へのペイパルの参入は、同社が毎年60億件を超えるトランザクションを処理していることを考えると、大きな影響を及ぼすことでしょう。

ボイス制御による銀行取引

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Photo by Etienne Martin on Unsplash

ボイスによるショッピングが大きな関心を集める一方で、ボイスによるトランザクションも大手銀行から注目されてきました。イギリスの大手銀行であるバークレイズは、すでに自行の生体認証によるセキュリティ対策に音声認識を組み込んでいるため、口座の名義人が、銀行のモバイルアプリ内から対話型のボイスインターフェイスを利用して、商取引を行うことも可能です。ウェルズ・ファーゴやその他の有名銀行も後に続き、独自のアプリからのさまざまなボイスコントロール機能を提供しています。

しかも、これらは各行の公式アプリ内で実現されているため、サードパーティプラットフォームを利用する場合にはつきものの、プライバシーやセキュリティに関するいくつかの懸念を和らげる効果もえられました。

今後の課題

ボイスコントロールは、モバイル決済の領域で主流となりそうな反面、他の決済システムと比べてまだ大きな課題が残っています。特に、指紋認証やその他の生体認証による決済プラットフォームと比べた場合、多くの消費者にとってセキュリティとプライバシーが深刻な懸念事項であることに変わりがないためです。また、ボイスによる決済が他のモバイル決済オプションよりも大きなメリットを提供するという点については、多くの消費者が今も懐疑的です。とはいえ、このような認識は、新たな提携やますます広がるボイスの役割を考慮すると、これから変化していくことも考えられるでしょう。

同様に、会話型のAI決済機能を最大限に利用できるようにするには、解消しなければならない技術的な障害もいくつか残っています。かつてないほど多くの決済オプションが消費者に用意されている中で、ボイスコントロールが広く採用されるようになるには、精度と機能の両面で改善を続ける必要があるからです。

それでもなお、このテクノロジーには、モバイル化とデジタル化が進む世界における消費者の買い物、支払い、送金の方法を一変させる可能性があることは明白でしょう。ボイスコントロールは、消費者の利便性を高め、従来の決済方法にまつわる問題の多くを解消できる能力を秘めているのです。

この記事は、元々Apptentiveブログに掲載されたものです。

この記事はBusiness2CommunityのBeth Kotzが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。