データ活用が決め手!消費者ニーズに応える最新デジタルマーケティング

スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスの爆発的な普及などにより、マーケティングにおけるデジタル革新が加速しています。顧客との接点がますます多様化する中、AI(人工知能)や量子コンピュータといった新たなテクノロジーは、デジタルマーケティングをどう変えていくのでしょうか。富士通のテクノロジーが実現するデジタルマーケティングの最前線を紹介します。
【Fujitsu Insight 2017「デジタルマーケティング」基調講演レポート】

顧客の多様化でさらに重視されるデジタルマーケティング

富士通株式会社
常務理事
グローバルマーケティング部門 首席エバンジェリスト
中山 五輪男

今、私たちはスマートデバイスをより身近なツールとして使っています。また、多くの企業がデジタル技術を通じて顧客との接点を持つようになり、そこから様々な情報やサービスを提供しています。最近では、各個人に最適化(パーソナライズ)した情報を提供することもできます。デジタル化によって、企業と消費者の双方向で情報が流通し、相互活用が可能になっています。

具体的な変化について、自動車購入時の平均ディーラー訪問回数を例に考えてみましょう。ある調査によると、2000年当時は1台の自動車を購入する際、消費者は平均7回もカーディーラーに足を運んでいました。それが今では平均1.5回に短縮されています。スマートフォンであらかじめ必要な情報収集を済ませ、欲しい車を絞り込んでおくため、カーディーラーに行くのは乗り心地の確認だけで済んでしまうのかもしれません。

また、グローバルで加速するデジタル革新の中でも、多くの企業が「マーケティング」をテーマにデジタル化を推進しています。2016年にガートナーが実施した調査では、今後5年間の重点投資項目として、37%のCEO(最高執行責任者)が「デジタルマーケティング」を選択しています。

「マーケティングデータのサイロ化」により、作業工数が増える場合も

デジタルマーケティングは日々進化していますが、マーケティング技術は混沌としている状況にあります。富士通の独自調査によると、デジタルマーケティング関連ツールを提供している企業は全世界で4,900社近くも存在し、その関連ソリューションは5,000種類を超えています。その一方で、多くの企業では「関連ツールはあるけれども、現場の課題を解決するための最適な組み合わせが分からない」という声も聞かれます。

実際の現場における課題は山積みです。そのうちの1つが「マーケティングデータのサイロ化」です。多くの企業では、営業部門やマーケティング部門、コンタクトセンター、eコマース部門など各部門でデータが散在しています。デジタルツールを採用していても、ツールごとにデータの投入手法などが異なると、かえって作業工数が増えてしまう要因にもつながります。

加えて、経営層が多種多様なデータの統合によるデータドリブンを求めることで、現場は疲労困憊し、複数のツールを同時に活用している部門では、ツール間のデータ連携に人的リソースが取られています。このように、多くの企業がマーケティング施策の本質的なPDCAサイクルが回せないという「デジタル化のジレンマ」に陥っています。

AI活用で効果を上げる事例

そのような中、私たちは多種多様なデータをいかにマーケティングに活用すれば良いのでしょうか。富士通では、AIを体系化したサービス「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」(ジンライ)をデジタルマーケティングに役立てています。

ケーススタディ①:ターゲティングメールで2倍の集客を実現(社内実践例)

富士通では、メールマーケティングを実施する際、ターゲットセグメントを属性ベースで指定してターゲティングメールを送信していました。しかし、セグメント抽出の精度を高めるためには、多くの人的リソースを投入して仮説検証を進めるなど、手間がかかる作業をする必要がありました。

そこで、AI「Zinrai」を活用してターゲティングメール発信の精度を高める取り組みを実施。具体的には、属性データとWebアクセス(Cookie)の関係性を学習し、自律的に精度の高いセグメントの抽出を可能にしました。その結果、さらに精度が向上し、マーケティングコストは同額で2倍の集客を達成できました。

ケーススタディ②:某コスメサイトの会員化率が4倍に

会員情報を基に属性に合わせた商品をレコメンドするコスメサイトが多く存在しています。これらのサイトの多くは「モノ」基点で構成されているため、特集記事との連動性が乏しく、ユーザーの継続的な利用につながらないことが課題となっていました。

そこで某サイトでは、顔写真をアップロードすることで最適なコスメやメイクをレコメンドする仕組みを確立。5万点の画像データと顔型に合ったメイクの方法をAI「Zinrai」のディープラーニング技術で80万回のシミュレーション結果を学習し、知識化しました。こうしたサイト改善により、会員化率を4倍、リピート率を2倍にすることができました。

ディープラーニング技術を活用し、最適なコスメ・メイクをレコメンド

ケーススタディ③:某ショッピングモールの購買行動予測

ショッピングセンターやコンビニなどの小売店では、顧客の購買行動の予測は収益をアップさせるための重要なファクターです。顧客の視線を小型センサーで検知し、手に取った商品以外にどの商品に注目しているかをAI「Zinrai」で分析。陳列順の変更や価格の変更、おすすめの表示など、売上アップにつなげることができます。

また、AI「Zinrai」の強みの1つである「画像処理技術」により、ショッピングモールの混雑状況を把握。デジタルサイネージやアプリを活用して、来店者の属性に合った情報をタイムリーに提供できます。周辺のイベントや天気などの幅広い情報をデータに加えることで、店舗ごとの需給予測の精度を高めることも可能です。

SNSや取引状況を学習できる独自のディープラーニング技術「Deep Tensor」

ディープラーニングで扱えるデータは、テキストや数値、音声、画像、動画など様々です。富士通独自のディープラーニング技術「Deep Tensor」(ディープテンソル)は、それらのデータに加えて、グラフデータの内容をそのまま理解し、最適な回答を導き出すことが可能です。

グラフデータとは、通信関係や取引関係、SNS(対人関係)、化合物(元素結合)など実世界にある様々な構造を持つデータのことです。「Deep Tensor」は、これらのグラフデータを「テンソル」と呼ばれる表現に変換することで、AIによる学習を可能にします。将来的には、不正な金融取引の検知、交通渋滞の解消、輸送の効率化、新薬の開発時間の短縮などへの活用が期待されています。

Deep Tensor

「デジタルアニーラ」が解決するデジタルマーケティングの事例

これから20年~30年後には、AIが人間の知能を超えると言われている「シンギュラリティ(技術的特異点)」時代を迎え、コンピュータは劇的に進化すると考えられています。近い将来、「量子コンピュータ」が出現することで日常生活やビジネスが大きく変化すると予測されています。とはいえ、量子コンピュータは研究段階であり、実用化に向けての道のりはまだまだ遠いと言えます。

富士通では、人や社会を豊かにするために、いち早く量子コンピューティング技術を取り入れた、新しい発想の未来型コンピュータ「デジタルアニーラ」を開発しました。デジタルアニーラは、実社会における様々な課題解決のため、膨大な組み合わせの中から最適な組み合わせを探す「組み合わせ最適化問題」に特化して能力を発揮するコンピュータです。

組み合わせ最適化問題は、デジタルマーケティングの世界にも数多く存在しています。ここでは、デジタルアニーラが解決できる想定事例をいくつか紹介します。

自動車メーカーのWebサイト

デジタルアニーラを活用することで、Webページを訪れるお客様一人ひとりに適した情報を、自律的にきめ細かく表示できると考えられます。Webページを構成するコンテンツに年齢や性別などの属性データをパーツごとに付与することで、自律的にコンテンツを生成し、最適なコンテンツ表示を可能にするものです。配置順序の組み合わせは、6パーツの場合は720通りですが、20パーツの場合は約243京通りになります。デジタルアニーラを活用することで瞬時に最適な画面が表示できるようになるのです。

旅行先で行きたいポイントを柔軟にレコメンド

デジタルアニーラを活用することで、お客様一人ひとりの「今行きたい」または「いつかは行きたい」ポイントをレコメンドし、瞬時にプラン化することもできると考えられます。さらに、旅行先の人身事故やニュース、天候などの日々変化する情報をリアルタイムに検知し、柔軟に変更プランをレコメンドするなど、究極のパーソナライズが実現できる仕組みを構築できるようになるのです。

旅行先のポイントを柔軟にレコメンド

このように、富士通ではお客様のデジタルマーケティングのさらなる高度化に向けて、独自の技術を豊富に揃えています。シンギュラリティ時代に向けたデジタルマーケティングの楽しい世界を、皆さんと一緒に作っていきたいと考えています。ぜひ、富士通にお声がけください。

登壇者
  • 富士通株式会社
    常務理事
    グローバルマーケティング部門
    首席エバンジェリスト
    中山 五輪男