AIでがん撲滅を目指す

がんとの闘いでは、質の高い情報やデータ、そして周囲からの支援を得られることがきわめて重要です。

それを最新テクノロジーによって実現するために、公開チャットやプライベートチャットを通じて患者を医師や専門家とつなぐソーシャルアプリの提供元であるビロング:ビーティング・カンサー・トゥギャザー(以下、ビロング)が、ACSことアメリカがん協会と提携することを発表しました。この提携によって、アメリカがん協会の会員向けに非公開フォーラムが新設され、患者と医師のオンラインコミュニティに会員がアクセスできるようになります。

ビロングは、単に人と人をつなぐだけではありません。AIと機械学習をビッグデータと組み合わせて利用することで、患者に合わせた個別の情報、教育、支援を提供するためのアプリでもあるのです。

ビロングのCEO兼共同創設者であるエリラン・マルキ氏は、ベンチャービート誌のインタビューに対して、システム内にデータをそのままの形式で保持する仕組みを指す「データレイク」に言及しながら、次のように答えています。「ビロングは、患者様によって生成される実データを管理するために、最先端の機械学習、AI、自然言語認識テクノロジーを利用して、世界有数の優れたデータレイクの構築を進めています。そこから生成されるかつてないほど質の高い実データが、長期にわたって蓄積されていくことを考えると、これは医療に破壊的な変化をもたらすでしょう。このデータレイクを構築するために、私たちは特許出願中のd-PRO(電子患者報告結果)機能をはじめ、さまざまな手法を採り入れました。」

もちろん、AIを応用するビロングの活動は、データの保存場所を作成して終わりというものではありません。同社は、コグニティブコンピューティングテクノロジーを利用して、がんと闘う患者に起こる事象をより深く理解しようと努めているのです。

「ビロングは、そのデータレイクに機械学習やAI、医療用ニューラルネットワークを採用して、患者のプロファイルや、患者の罹患から回復までのプロセスを意味するペイシェント・ジャーニーについての理解を深めようとしています。その結果、患者様やそのご家族が直面する課題や、重大な決定がおこなわれたタイミング、そしてジャーニーにおける『ボトルネック』が、時系列を遡って特定できるようになるでしょう。当社は、クラウドソーシングから得たこのような洞察の一部を、自社のプラットフォームを利用するがん患者様に提供していきます」とマルキ氏。

これが重要なのは、そこで提案されるコミュニティ、情報、洞察が、患者の次の行動を決めるのに役立つからです。

同氏は、「クラウドソーシングから得られる洞察には、患者様へのヒントとなるさまざまなものが考えられます。その範囲は、特定の副作用への対処法から、診断の段階で適切なMRI装置を選択する方法、あるいは、注意すべき初期症状に至るまで多岐にわたるのです」と説明してくれました。

そして、今回の新しい提携により、アメリカがん協会が持つ情報、洞察、リソースが、ビロングのネットワークに加わります。

「ACSとの提携により、その貴重なリソースが新たにもたらされます。患者様は、モバイルベースの双方向コミュニケーションプラットフォームから、ACSのリソースをご利用いただけるのです。つまり、ビロングを利用されているすべての患者様が、ACSのリソース、情報スペシャリスト、その他の専門家に直接アクセスできるようになることを意味します。それぞれのリソースは、専用アプリを介した患者様とそのご家族への対応、そして、ACSのサービスや知識ベースへの的確なアクセスの提供を通じて、きわめて大きな役割を果たすことになるでしょう。」(マルキ氏)

一方で、アメリカがん協会は、「American Cancer Society4U」というフォーラムをビロングのプラットフォーム上で運営していくことになります。ビロングのユーザーは、このアプリによって質の高い情報に触れて、そのリソースにアクセスできるだけでなく、アメリカがん協会と直接連絡をとりあうことも可能となるのです。

それでは、ビロングの次のステップとは何でしょうか? マルキ氏は次のように語ります。

「ビロングの使命は、情報豊かな膨大なデータと、患者様や医療提供者様のジャーニーを分析することです。その分析結果を活かして、ゆくゆくは患者様にとってより優れ、より効果的なソリューションを発見できるところまで、科学やがんの研究を発展させることを目指しています。その意味で当社の目標は、科学者が、ペイシェントジャーニーの成功事例だけでなく、避けるべき失敗事例も特定できるようにすることにあるといえるでしょう。」

ちなみに、ビロングのアプリはAndroidとiOSの両方に対応しており、日本でも同社のWebサイトのリンクから入手できます。英語、フランス語、ヘブライ語のみの対応ですが、医療分野におけるAIの利用事例として興味のある方は試してみてもよいでしょう。

この記事はVentureBeatのStewart Rogersが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。