ブロックチェーンがもたらす万人のためのシェアリングエコノミー

シェアリングエコノミーは、分散されたヒューマンリソースや共有可能な資産、ピアツーピアのトランザクション、そしてサービス提供者と受益者間の契約に依存しています。最も有名な例は、おそらくUberとAirbnbで、人々が自宅や自家用車を一時的に提供することで収入を得ることができるというものです。しかし、今やブロックチェーンテクノロジーのおかげで、コンピューティング能力、ストレージ容量、さらには個人データまでが、まったく新しい種類の資産となり、それらを共有して収入を得ることができるようにもなっています。そして、家や車よりもコンピューターを所有している人の母数がはるかに大きいことから、提供者になれる人数も格段に多いのです。こうした新興市場の企業は、スマートコントラクトとブロックチェーンテクノロジーを利用して支払いを処理します。これによりコストを大幅に削減し、コミュニティの信頼性と透明性を高め、ほぼ瞬時に世界規模でのトランザクションを行える簡便化を実現しているのです。それは、支払いを一度に何千ものデジタルウォレットに分配する場合でさえ、例外ではありません。

本記事では、このようなデジタル・シェアリングエコノミーを生み出している11社の企業をご紹介します。

コンピューティング・シェアリング

ポーランドのワルシャワに拠点を置くゴーレムは、自らをコンピューター版Airbnbと称し、コンピューティング能力を貸し出しています。同社は、登録者のコンピューターがアイドル状態のときにそのCPUを利用し、提供されたパフォーマンスへの対価を登録者に支払います。支払いはすべてブロックチェーンを使って処理されており、将来的には評価追跡システムも取り入れる予定です。この分野の競合他社としては、ソン(ロシア・モスクワ)やボインク(米カリフォルニア州バークレー)が挙げられます(ただし、ボインクは、病気の治療、地球温暖化の研究、その他の科学研究プロジェクトを対象として、完全なる有志の間でコンピューティング能力を共有するために利用されており、提供者はリソース共有への対価を得ていません)。

他にも、グラディウス(米メリーランド州カレッジパーク)が、DDoS攻撃(注1)のダメージを和らげることを目的とした共有ネットワークを運営していますが、これは帯域幅をネットワークと共有するデスクトップコンピューターに、受信したDDoSトラフィックをオフロードするという仕組みです。デスクトップ所有者にはグラディウスが使用した帯域幅への対価がブロックチェーンを通じて支払われますが、所有者は共有される帯域幅に制限を設定できるので、自分のシステムに負荷がかかりすぎることはありません。

(注1)DDosは「ディードス」と読み、"Distributed Denial of Service”(分散型サービス妨害)の略です。元々、サーバやネットワークに過剰な負荷を与えたり、脆弱性を突くことによって正常なサービスを妨害するDos(ドス)攻撃というものがあり、DDos攻撃は、大量のコンピュータや電子デバイスから無数のリクエストや巨大なデータを送信して機能を麻痺させる、協調分散型のフラッド(洪水)攻撃に分類されます。それらのコンピュータやデバイスを不正に乗っ取り、犯罪の踏み台として利用する攻撃者は、単純な愉快犯の場合もあれば、対象サービスに経済的なダメージを与えることを目的とする組織的な場合もあり、攻撃の起点となる国や地域も様々です。

ストレージ・シェアリング

ストレイジ(米ジョージア州アトランタ)の筆者のチームと、シア(米マサチューセッツ州ボストン)のチームは、分散型クラウドストレージプラットフォームを構築しています。これらのプラットフォームでは、個人が使用していないハードディスクドライブの領域を貸し出して、ハードディスクドライブ自体の権利は維持したまま、その空き容量を有効活用できるのです。データを保管したい企業はこの領域を借りることができ、暗号化などのセキュリティプロセスによってデータの機密性が守られます。Airbnbのホストと同様、貸し出す側は必要に応じていつでも貸し出しを中止できることも特徴です。

SMSシェアリング

今世紀の初めに十代であった方なら、SMSのテキストメッセージに制限があった時代を覚えていることでしょう。その頃は、容量制限を超えると超過分の料金が追加請求されていました。エストニアのタリンに拠点を置くキャノパスは、現代の無制限のテキストメッセージングサービスを利用してビジネスを行っています。同社のSMSチェーンサービスでは、携帯電話のユーザーが未使用のSMSテキストデータ量を販売することができ、希望する企業は、その再販されたデータ量を同社から購入して顧客とのメッセージのやりとりに使えるのです。キャノパスは需要者と供給者を結び付ける役目を果たし、SMSテキストに対する支払いのトランザクションはブロックチェーンテクノロジーを使って行われます。

データ・シェアリング

活動量計のフィットビットやインテリジェントなサーモスタットのネストなどのIoTデバイスを使用すると、ユーザーはそれらのデバイスが生成したデータにアクセスできます。その一方で、ベンダーが、提供者への見返りなしに、そうしたデータを消費者の行動や習慣に関心を持つ企業に売り渡すことも少なくありません。ニューヨークに拠点を置くルーミアは、ユーザーが各自のデジタル個人情報を管理できるようにして、行動データをより公平な形で有効利用できる場を実現しようとしています。同社は、ユーザーのデータを収集する一連の製品を開発しつつも、それらのデータの独占所有権はユーザーに提供しています。ユーザーはブロックチェーンベースのプロファイルを作成して、そのデータをルーミアのデータ取引所を介してベンダーに販売することができるというわけです。もちろん、販売したくなければ、そのデータを本人以外誰も見ることはできません。

また、最大規模のデータ市場としては、ソーシャルメディアとオンライン小売があります。サンフランシスコを拠点とするデータウォレットは、この2つを結び付け、各種ソーシャルメディアのユーザーが各自のデジタル個人情報を取得して、それをブロックチェーンベースのデータ取引所にアップロードできるようにしています。企業はそれを購入して自社の小売ビジネスに活かし、ブロックチェーンを通じてユーザーに対価を支払うという仕組みです。

シェアリングエコノミーでのブロックチェーンの拡大

さらに、いくつかの企業はブロックチェーンを活用して、既存のシェアリングエコノミーサービスを発展させたサービスを提供しています。イスラエルのテルアビブに拠点を置くライドシェアリング企業であるラズーズは、分散型の、Uberに似たアプリを構築しました。ドライバーや他のコミュニティ参加者に対する支払いは、ブロックチェーンを利用して行われます。

ラズーズの長期ビジョンには、このサービスを基盤として各社が様々なフロントエンドアプリケーションを構築できるようにすることが含まれますが、現在行われていることだけでも、ラズーズのコミュニティメンバーの収益を最大化できる大きなチャンスがあります。というのは、UberやAirbnbのような従来型のシェアリング・エコノミープラットフォームでは、一般にサービスによって個人が得られる収益の10~20%が差し引かれますが、分散型アプローチを採用することで、利用者の料金を下げながらサービスを提供する個人の収益を上げることが可能になるのです。

米カリフォルニア州フレモントに拠点を置くウイトラストは、ピアツーピアの賃貸分野で同様の事業を展開している企業ですが、手数料を先行するレンディングクラブのような1%ではなく、最大でもわずか0.3%に抑えています。これは、既存の資産をブロックチェーンプラットフォームで活用して総コストを下げているからこそ、可能となった事業なのです。

デジタル資産のシェアリングから遠ざかる人が現れる可能性は低いものの、こうしたシェアリングエコノミーに弱点があるとすれば、共有されるリソースが偏在する状態になってしまうと、その商品価値があるうちに利用されなくなるおそれがあるという点でしょうか。それはすなわち、ユーザーの収益損失を意味します。

また、ユーザーは、一度設定したら後の管理などの手間が要らないというやり方を好み、クリーニング料金や車両の保守コストなどの維持費をできるだけかけずに済むようにしたいと考えています。少なくとも、それらの要求を満たせるシェアリング企業の登録ユーザーになれば、自然にブロックチェーンの実用事例である暗号通貨の世界にも足を踏み入れることができるでしょう。1ビットコインを手に入れるために6,000ドルも支払うことなく、日常の延長としてデジタルシェアリング社会の一員になれるのです。

ショーン・ウィルキンソン氏はストレイジ・ラブスの共同創設者であり、最高戦略責任者でもあります。

この記事は、Storj LabsとShawn Wilkinsonよって執筆されたVentureBeatの記事であり、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。