AIがこの世界を滅亡から救う4つの理由

AIは人類の敵か、味方か。そのような議論が現実味を帯びてくるほど、昨今のAIは社会の様々なところで使われつつあります。果たして、人とAIの関係はどうなっていくのでしょうか? その1つの答えを、ここで紹介しましょう。

やがて来るスーパーインテリジェントなAIの出現を前に、現代の偉大な頭脳と呼ぶべき人たちの中には、それがこの世の終わりであるかのように警告する者もいます。

たとえば、世界的な理論物理学者のスティーブン・ホーキング氏は、自身が共同執筆したこのトピックに関する記事で、皮肉を込めて「AI開発の成功は人類史上最大のイベントとなるだろう――そして、残念ながら最後のイベントになるかもしれない」と述ました。また、マイクロソフト元会長のビル・ゲイツ氏も同様の懸念を表明しています。

テスラCEOのイーロン・マスク氏が、人類の「存亡にかかわる最大の脅威」と人工知能を称したことも有名な話ですが、さらに同氏は(ホーキング氏やアップル共同設立者のスティーブ・ウォズニアック氏をはじめとする有志数百名との連名で)、「AIが核兵器よりも危険な存在となる可能性を警告する書簡」を公表したほか、最近も多くの危惧を表明しました。

米国州知事らの集会に宛てた最近の演説で、マスク氏は手遅れになる前にAIを規制する必要があると警告しているほどです。「私は警鐘を鳴らし続けていますが、人々は、実際にロボットが人間の殺戮を繰り返しながら通りを進む姿を目の当たりにしないかぎり、どう対処すべきかわからないでしょう。これは現時点では雲をつかむような話ですから」と同氏は主張しています。

これに対して「これは映画『トランスフォーマー』の話ではなく、スーパーインテリジェントなAIの話なのですが、マスクさん」と異を唱えた人物が居ました。

それは、フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグ氏です。彼が、同SNSのライブQ&Aの際にAIについてそのように言及すると、この発言はメディアで大きく取り上げられました。その中でザッカーバーグ氏は、「これからも皆さんは様々なことを成し遂げ、世の中もより良くなっていくだろうと考えています。特にAIについては、とても楽観的です。ものごとに悲観的で、人類滅亡説を唱える人たちがいますが、私にはまったく理解できません。そのような意見は本当にネガティブで、ある意味かなり無責任だと思います」と述べています。また、それに続けて、AIがもたらすあらゆるメリットを挙げ、医療や自動運転車における技術進歩も引き合いに出しました。

対するマスク氏は、即座にザッカーバーグ氏の考えを一蹴し、このテーマに対する彼の理解が「限定的なもの」だと指摘しました。

さて、このテーマに対する筆者の理解は限定的ではありません。そして、ザッカーバーグ氏はAIについて正しく理解しているとも考えています。実際のところ、彼は保守的過ぎるかもしれません。スーパーインテリジェントなAIの出現は、人類滅亡のきっかけとなるどころか、むしろ、より倫理的で非破壊的な人類の夜明けを告げるものとなるはずです。

AIが人類を公正に保つ

私が、まず指摘したいのは、「AIにとっての倫理が何かを定義することは、人類にとっての倫理が何かを再定義することに密接に関係している」という点です。この取り組みは、過去にも哲学的・実存的レベルで何度も試みられてきたものの、これまでは、このように実用的な応用は不可能でした。しかし、AIの規範を定義するならば、私たちもそれらの規範に従って行動せざるをえなくなります。結果的にAIが、人間の定めた基準に人間自身を従わせようとするためです。すべてを知り、あらゆる場所に存在するようになったAIからは、誰も逃れられません。あらゆる人やモノの情報がすべて把握され、それにアクセスしやすくなるなら、犯罪を起こすことも難しくなるでしょう。

AIは人間特有の先入観を解消する

すべてを知り、あらゆる場所に存在するAIによって統治された世界に住むことが希望のない悪夢のように聞こえるなら、少し立ち止まって、私たちが現在利用している制度について考えてみましょう。世界中の人々が、汚職、圧政、貧困、無政府状態、果てなきテロの影響を受けています。

私たちの住むような国ならば、法と秩序を守る警察機関が存在しているかもしれません。とはいえこの機関は、先入観や偏見に左右されやすく、自身で物事を判断する生身の警察官で構成されているため、全国民を公平に守るには圧倒的に不十分なのです。

米国を例にとってみましょう。世界人口に占める米国の人口の割合はわずか4.4%にすぎないにもかかわらず、犯罪による収監率が驚くほど高いため、世界の全囚人の22%が同国に集中しています。しかも、その3分の1以上を占めるのが、人口のわずか13%にすぎないアフリカ系アメリカ人です。さらに、アフリカ系アメリカ人のドライバーが警察に捕まる確率は白人ドライバーよりも31%高く、定期的な交通違反の取り締まりで検挙される確率は、なんと白人の2倍に上ります。

しかし、AIならば、この状況を是正できるでしょう。

すでに科学者は、トレーニングサンプルやAIが扱うデータを適切に選択することで、人間の場合に比べて偏見の少ないAIを生み出せるまでになっています。警察は、このようなAIを身近に置けば、自分たちの意識的あるいは無意識の偏見を捨てざるを得なくなり、年齢、性別、人種にかかわらず本当の「悪人」を見つけるようになることが期待できるのです。

AIは人間の環境に対する不正行為を正す

AIによる監視と聞くとぞっとされるかもしれませんが、それが、AIによって確実に絶滅危惧種の生物を保護するためのものだとわかれば、見方も変わるはずです。これはさまざまな方法で実現できますが、いくつかの応用はすでに進行中です。たとえば、AIをドローンに搭載する方法が、アフリカで密猟者による象やサイの虐殺を阻止する最も効果的な方法であると証明されるかもしれません。

AIは私たち自身を救ってくれるかもしれない

戦争や交通事故の回避から、医療の低価格化、迷子の発見まで、AIが人間を人間自身の愚かさから救ってくれることも十分考えられます。AIは、人類特有の欠陥を一切持たないスーパーインテリジェントな存在となる可能性を秘めているからです。

マスク氏の予言とは逆に、AIは、さまざまな方法を通じてより良い存在となっていくことができるでしょう。そして、数えきれないほどの応用が生まれると期待されているのです。

Max Versace氏は、ディープラーニングニューラルネットワークソフトウェア企業、ニューララのCEOであり、ボストン大学の神経形態学研究所の創設ディレクターでもあります。

この記事はNeuralaのMax Versaceによって執筆されたVentureBeatの記事であり、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。