「OT」と「IT」の融合は、製造業界で新しいビジネスチャンスを生む

OT(運用技術)とIT(情報技術)の融合は、スマート製造業とインダストリー4.0の実現に向けての重要なスローガンの1つです。一般に、OTは物理的な装置やプロセスをサポートする制御技術と自動化技術を指し、かつては、テクノロジーやスキルセット、文化的特性の違いから、ITとは意図的に区別されていました。しかし、今ではこの2つの融合が、製造業にとって欠かせない要素となっています。

OT/ITとデジタル製造業

現在、製造業の世界は変化しつつあり、この流れに追いつくために、OTとITも変わっていくことが必要です。以前の強制的なOTとIT間の連携は、今や、デジタルマニュファクチャリングとコネクテッドファクトリーを前提にデザインされた協調的連携にとって代わられました。企業のOTチームとITチームも協力し合い、自社のデジタル革新において重要な役割を果たしています。OTとITの融合は、企業が新しいビジネス機会を捉えて、効率、競争力、収益性を向上させる上で、競争優位性を獲得するのに役立っているのです。

OTとITが連携するようになった大きな要因は、IIoT(インダストリアルIoT)です。IIoTのおかげで、製造業者は、かつてないほど多くのデータを収集するようになりました。しかし、こうしたデータは、意思決定をサポートできて初めて価値が生まれるものです。成功を収めているOTとITの部門横断的なチームは、そのために協力し、部門の垣根を越えて信頼と相互重視の関係を築き、シナジー効果を作り出しています。実際、トップクラスの製造業者の70%が、OTとITの融合を実施していると述べており、この数字は、それ以外の企業も含めた業界全体の値(56%)と比較して25%も高いものです。

トップクラスの製造業者は、OTとITの融合を実施する割合が全体と比較して25%も高くなっています。 

しかし、業界全体としてOTとITの融合が困難なのはなぜでしょう?「ITは金星から、OTは火星から来た」といえるほど、両者がかけ離れているからなのでしょうか。確かに、以前は双方の部門が大きく異なる目標と目的を持っていました。ITは、ビジネスアプリケーションを実行しており、OTは、製造プロセスとそのプロセスの導入・サポートに必要なあらゆるテクノロジーに重点を置いてきたからです。そのため、これまでは両者が連携する必要などありませんでした。OTとITとでは、テクノロジーはもちろん、通常は稼働するネットワークですら、異なっていたのです。

しかし、ここ数年の間に、OTはITと同様のテクノロジーをますます多く導入し始めました。たとえば、インターネットプロトコル(IP)は汎用のネットワークプロトコルとして導入分野が拡大しており、Windows OSもより多くの幅広いデバイスに搭載されるようになっています。したがって、OTとITの融合は、コストとリスクの削減やパフォーマンスの強化、柔軟性の向上などの点で、明らかなメリットを企業にもたらすのです。

そして、OTとITの融合を実施するプロセスをスムーズに実行するためには、チェンジ・マネジメントが必要であり、トップクラスの企業は、この点をよく理解しているといえます(図1)。

図1:OTとITの効果的な融合にはチェンジ・マネジメントが必要

トップクラス企業における割合
CDO(最高デジタル責任者)を雇用して新しいテクノロジーを活用し、装置の稼働時間と資産パフォーマンスの管理を強化している:53%
資産管理とインダストリアルIoTデータを統合する能力を有している:50%
デジタル変革、インダストリアルIoT、機械学習などのチェンジ・マネジメントを担当する正式な組織が設けられている:43%
回答者総数173人中の割合、出典:Aberdeen 2017

上のグラフからは、たとえば、トップクラスの企業の53%が、OTとITの融合に伴う問題を最高デジタル責任者の雇用によって解決しており、それ以外の企業も含めた業界全体の数字と比較して27%高いと考えられます。また、トップクラスの企業の43%が、デジタル変革、インダストリアルIoT、OTとITの融合を伴うチェンジ・マネジメントを担当する正式な組織を設けており、やはり、それ以外の企業も含めた業界全体の数字と比較して12%高いと考えられるのです。

今後のロードマップ

OTとITを融合する主な理由は、ビジネスへのインパクトにあります。つまり、テクノロジーの融合によって生まれる製造業者の新たなビジネス機会が重視されているのです。OTとITの融合は、コストとリスクの削減やパフォーマンスの強化、効果的なオペレーションなど、製造業者に明確なメリットをもたらします。このため、市場もOTとITの融合の刺激を受けて動き始めました。一例として、インダストリアルIoTの事業体である「日立バンタラ」は、最近、日立グループの3つのビジネスユニットを統合して誕生した新しい企業であり、OTとITの双方において自社の能力をフル活用しています。

OTとITの融合は簡単ではありませんが、スマート製造業にとって避けることのできない、重要な作業です。OTは、物理的な価値の創造と製造プロセスをサポートしており、工場と装置の両方を制御し、監視するために必要なデバイス、センサー、ソフトウェアから構成されます。一方、情報処理に必要なすべてのテクノロジーを組み合わせたものが、ITです。そして、IIoTは、OT分野とIT分野を統合的に扱い、大規模ですぐに利用可能な戦略的洞察を生み出します。このような洞察は、たとえば「工場の現場で収集されるリアルタイムデータ」に対して行われる「クラウドベースのビッグデータ分析」から見えてきますが、前者のデータがOT、後者の分析がITによって得られるものであり、両者の連携が不可欠なのです。

別の表現をすれば、デジタル製造業へと続く道はIIoTによって整備され、チェンジ・マネジメントを取り入れたOTとITの連携が、その目標に安全に到達する上での障害を最小限に留める役割を果たします。

製造業では、ビジネスの破壊的な改革に向けての機が熟していますが、その破壊は新たなビジネスの機会でもあります。現在の混沌とした環境においてOTとITを融合することは、コネクテッド・ファクトリーやイノベーションの推進、ダウンタイムの最小化というビジョンを達成するための基礎となるのです。

インダストリアルIoTの時代におけるオペレーショナルエクセレンスの詳細は、The MOM/MES Edge: The MES Performance Kickをご覧ください。

本記事はもともとAberdeen Groupに掲載されたものです。

この記事はBusiness2CommunityのGreg Clineが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。