富士通営業が挑戦! 現場社員自らがデザインする働き方改革

「働き方改革」への関心がますます高まっている今、長時間労働の是正やテレワーク制度の導入など企業側が仕掛ける改革事例を耳にすることが増えました。しかし、制度やツールの導入だけが働き方改革ではありません。
企業任せではなく、社員自らが主体性を持って働き方をデザインしていくためにできることは何でしょうか。どのように取り組んでいけばよいのでしょうか。
富士通のワークショップからヒントを考えてみましょう。
【富士通Insight 2017 ワークショップレポート】

働き方改革への視点を変えるワークショップ

今回のワークショップでは、富士通の営業社員がチャレンジしている働き方改革の取り組み事例や率直な気付きを紹介しながら、参加者と一緒に現場から進める働き方改革について考えます。「対話を通して現場から進める働き方改革のヒントを得る」ことが参加者のゴールです。

「働き方改革」とは? 思いつくキーワードを各自用意された紙に書き出していきます。書き出した内容を同じテーブルに集まった参加者同士見せ合い、働き方改革に対する各人の感じ方の違いや共通する思いなどを確認しあうところから始まりました。

ワークショップの様子

次は、富士通社員により働き方改革の取り組みの紹介です。営業部門である社会基盤ビジネス本部では、6つのテーマで現場からの働き方改革に取組んでいます。その中から「女性の働き方」「営業プロセスの改善」「チーム力向上」の3つのテーマでの活動内容を紹介しました。

女性の幸せにフォーカスした働き方を考える(テーマ:女性の働き方)

富士通株式会社
社会基盤ビジネス本部
大竹 絵里花

女性は、結婚や出産などのライフイベントによってキャリアを左右されやすいところがあります。その中で、女性社員がそれぞれの幸せを追求しながらイキイキと活躍できる職場の実現こそが、効率化やスピードだけでない、本当の意味での生産性の向上に繋がると思います。

アンケートとヒアリングの結果、会社の制度の中だけではフォローしきれない、不安や不満がいくつか挙がりました。たとえば、子育てしながらキャリアを築く女性のロールモデルが少ないという不安や、上司に自分のキャリアプランを理解してもらえていない不満といったようなものです。こうした問題を解決して女性たちがイキイキと自分らしく、幸せに働けるような会社にしたいと考え、トライアルを行いました。

一つはHappy Career Meetingと名付け、ライフイベントまで含めたキャリアを上司と一緒に考える機会を設けたものです。これは自身のキャリアを考える良いきっかけにもなり、上司・女性社員問わず参加者の大半が「有意義だった」と答える施策となりました。既にあるキャリア面談制度を活用することで、男性社員も含め効果を期待していけるのではないかと考えます。

若手キャリア会・ママパパ会というものも実施しました。時間に制約がある人も参加できるように昼休みを利用した会議室でのランチミーティングで、同世代同士の交流が少ない現状が浮き彫りになる中、参加者のモチベーション向上にも繋がりました。「異なる環境の人からも意見を聞きたい」「ほとんど同じ悩みが後輩に引き継がれていくのは惜しいので、思いや改善策を発信していきたい」という意見を得ることができました。

また、各統括部によって働き方の文化に違いがあることも分かりました。今回はトライアル参加者を口コミで集めたので、今後は本部でDB化し継続的に実施し、本部全体で働きやすい文化の醸成をしていきたいと思っています。

いつも心にお客様を!(テーマ:営業プロセスの改革)

富士通株式会社
社会基盤ビジネス本部
マネージャー 栗山 祐次

富士通はお客様と対等な立場で、お客様と一緒に新しいビジネスを考えていく共創をしたいと考えています。しかし、お客様の対応をメールや電話で済ませ、訪問を必要最低限で終わらせていたり、新しい提案がお客様のニーズにマッチせず、お客様の本当に求めるニーズやヒントを汲み取れていなかったりすることがあります。

このような現状から、お客様とのコミュニケーションプロセスを改革する必要があると認識し、営業プロセスの改善に取り組みました。

トライアルとしては、お客様との物理的な距離を縮めるということです。サテライトオフィスをお客様事務所の近くに設置しました。これにより、

  • 顧客とFace to Faceで触れ合う機会が増える コミュニケーションの機会増
  • 移動時間の削減分を顧客への提案作成や情報提供にあてる 対応の質の改善

という効果から、関係性の強化が図れ、お客様の真のパートナーになれると考えました。

1か月間のトライアルの結果としては「時間を有効活用できた」、「顧客のことを考える時間が増えた」といった成果があった一方、「接触機会と時間はあまり増えなかった」、「心の距離もあまり近づかなかった」という結果もあり、単にお客様との物理的な距離を縮めるだけでは十分でなく、お客様に会ってもらえるような価値提供が重要であると痛感しました。また、サテライトオフィスの設置の点では多くの人が利用しないと費用対効果が出ないということも浮き彫りになりました。営業スタイルごとに運用形態を変えることが重要と考えます。適材適所のサテライトワークスタイルを考えていきたいと思っています。

自分らしく幸せを感じる働き方をチームで醸成(テーマ:チーム力向上)

Googleによると、成功するチームにはいくつか共通点があり、その一つは心理的安全性があるということだそうです。心理的安全性とは、仕事用の別人格ではなく、本来の自分自身でいられることです。また、先進的に働き方改革に取り組まれているユニリーバ・ジャパンでは、生産性とは働き方を自分で選び、仕事において幸せを感じられることと言っています。

富士通株式会社
社会基盤ビジネス本部
佐藤 百合

これらを踏まえ、自分たちの考える「良いチーム」について検討を重ね、メンバーが仕事や働き方に対して意思を持ち、さらにそれをチームメンバーが理解し、尊重しあっていることではないかと考えました。そして、「メンバーが夢中で仕事をしてワクワクと幸せを感じられるチームを作る」ことを目標にトライアルを始めました。

トライアルは、「個人の望む働き方の実現」「モチベーションが向上できるチームの雰囲気の醸成」「さらなるメンバーの相互理解」の3つの観点で施策を立て、実行していきました。小さな一歩として、チームのメンバーをニックネームで呼んでみたり、議論や対話の場では相手の意見を否定しないという約束を設けたりしました。さらにメンバー同士の理解をより深めチーム力を上げるため、チームビルディングワークショップとして「脱出ゲーム」を行いました。後日のアンケートではチームメンバーのことをもっと知ることができたという回答が半分以上を占め、幹部社員からは、「みんな本当に頼りになる。もっとメンバーに仕事を任せてみようと思った」という意見もありました。メンバー同士の理解を深める場として大きな成果を得られる活動だと感じました。

また、富士通では、1日の規定就業時間は7.9時間で、週5日では約40時間となります。そこで、週40時間以上の勤務というルールだけを設け、働く曜日・時間・場所を自由に選択するという働き方を2週間ほどトライしてみました。生産性については、トライアル前を50%とした時にトライアル後は61%と、約10%生産性が上がったという結果となりました。さらに約7割の一般社員が理想の働き方を実現できたと回答をしています。しかし、幹部社員はトライアルの前後で生産性の向上を実感できず、さらにトライアルに参加した幹部社員全員がマネジメント上の課題があったと回答しています。部下のスケジュール管理の難しさ、安易な深夜残業や休日出勤を危惧しているということです。このように、自由な働き方に対し、一般社員は期待を持つ一方で、幹部社員は不安を抱えるという大きな意識の差が出ました。

各自が自分ごととして働き方改革を捉え、一般社員、幹部社員かかわらず全員が幸せを感じられることがこの働き方改革のゴールです。そこを目指して、引き続き取り組んでいきたいと考えています。

自分の「働き方改革」を表してみる

富士通社員の取り組みの紹介後は、ワークショップ参加者各自が、改めて「働き方改革」を考えました。エモーションマップという、簡略化した顔の表情にセリフをつけることで、働き方改革への思いを形に表していきます。さらに、「女性の働き方」「営業プロセスの改善」「チーム力向上」という3つのテーマから、自分の思いが一番強いもの、もしくは興味があるテーマを選び、エモーションマップを持ち寄り、富士通社員を交え個々のテーマで意見交換や情報の共有・相談などを展開しました。各テーブルでは時おり笑い声もおきつつ、働き方改革に取り組む者同士、働き方に対して活発に意見がやり取りされていました。

ワークショップの様子

全体を通じて1時間30分という短い時間のワークショップではありましたが、働き方改革への意識づけと、今後へのヒントを得られたのではないでしょうか。