IoTに取り組む企業が欲しがる人材とは?

さまざまな電子機器やセンサーがインターネットにつながり、スマートデバイスからコントロールできたり、自動的に情報のやり取りを行う「IoT」は「モノのインターネット」とも呼ばれます。意識するしないにかかわらず、日常生活の中に浸透しつつあるIoTですが、企業はそれを戦略的に利用する段階になりました。と同時に人材不足も表面化してきており、IoTデバイスやサービスの開発にどのような素養が求められているのかを解き明かします。

IoTは、冷暖房機器の制御から、ユーザーの運動量を記録するウェアラブルなフィットネストラッカーに至るまで、私たちの生活のあり方に変革をもたらしています。そして、IoTは、在庫管理から品質管理、品質保証に至るまで、製造プロセスを変革する上でも利用されており、いわゆる「インダストリー4.0」の先導役ともなっている存在です。

しかし、衛星通信会社のインマルサットが今年初めに行った調査によると、IoTソリューションの開発、管理、展開を行うスキルは、まだ多くの組織で不足しており、特にデータ分析やサイバーセキュリティなどの領域でその傾向が顕著であることが明らかになりました。反面、こうした状況は、これから仕事に就こうとする新卒者にとって朗報ともいえます。

IoTは、単純なセンサーからスマートフォンまで、インターネットを介して互いにつながり通信し合う各種デバイスに関係する概念です。たとえば、インマルサットのエンタープライズ事業担当社長であるポール・グドニス氏は、「IoTとは、特定の業務に関する洞察を得て、よりスマートな意思決定を行うためのテクノロジーの利用法だ」と説明しています。

一方で、「IoTが出始めたころには、すべてを接続しようとする性急な動きがあった」と指摘するのは、国際コンサルタント会社のバーチュサにおいてコネクテッドエクスペリエンス担当責任者を務めるアダム・ガブラルト氏です。「黎明期には、IoTといえば、ほとんど『あらゆる場所からデータを収集すること』を意味していました。それが、すべての問題を解決できるかのような万能薬と考える人もいたほどです。」

もちろん、企業は今や、そうした手当たり次第のアプローチから離れ、次の段階へと移っています。ビジネスにおいてデータが新たな必須要素となり、IoTの成熟と共に、そのデータを利用する方法に対する考え方も深化しました。センサーは今や、特定の問題を解決する上で、より戦略的に配置されるようになり、そのためのノウハウを持ってテクノロジーに精通した新卒者が次々と企業に就職するようになったのです。

求人数が供給を上回るなか、デバイスやネットワークのセキュリティ分野のスキルは非常に重視されており、データ分析能力も極めて重要になってきました。ほかにも、多くの雇用主が、ネットワーク管理ソリューションやクラウドベースソリューションに関する深い知識を持つ有望な人材を求めています。

とはいえ、技術的なノウハウは必要な素養の一部にすぎません。IoT接続プロバイダーであるM2Mインテリジェンスでマネージングディレクターを務めるマシュー・オーウェン氏が指摘するように、コミュニケーションスキルや問題解決スキルも同じように必要だからです。

「もちろん、新卒者には、利用されるテクノロジーを理解できる能力が必要ですが、それにも増してはるかに重要なのは、ビジネスに関する総合的な認識と、速いペースで絶えず変化する環境で働くことへの心構えだといえます。」

各社は人材をリクルートする範囲を拡大しつつあり、これまで以上に幅広い分野からの新卒者を獲得しようとしています。たとえばガブラルト氏によれば、バーチュサでは芸術分野の経験を持つ人材を探すことも多いとのこと。そのような人材は、分析スキルが高く創造的でもあり、ユーザーエクスペリエンスの構築において重要な役割を果たして、人々が利用したいと思えるような何かを実現できると期待されているのです。

また、チームワークも重要といえます。IoTのプロジェクトは単独で懸命に取り組むようなものではなく、他のチームやエンドユーザー、顧客などとのやりとりが必要になるためです。「求職者は、自分が顧客の意向を汲み取れることをアピールする必要があります」と、オーウェン氏は付け加えました。

こうした観点から、マニュファクチャラーマガジンとエンジニアリング企業のオートデスクが製造業の将来像を作るために共同で創設したザ・フューチャー・オブ・ブリティッシュ・マニュファクチャリングが運営するファストトラックという人材育成支援プログラムでは、学生を「企業の即戦力」とすることを使命の1つと考えています。このプログラムでは、英国のいくつかの一流大学の学生と企業のマッチングを行い、彼らが次世代の重要なイノベーションやコネクテッド製品を開発できるよう手助けしているのです。

ワーウィック大学のシステム工学部を最近卒業したメリサ・ケイナーさんは、ファストトラックを利用してオートデスクへの就職プロセスの最中です。「このプログラムは、業界の実態と、自分が大学のコースで得た認識とのずれを明らかにしてくれました」と彼女は言います。「そして、そのずれを埋める方法が見つけられるものと期待しています。」

また彼女は、テクノロジーは絶えず変化しているということにも気付いたといいます。「教科書に書かれたプログラムコーディングなどのスキルも大切ですが、学びたいという意欲と積極的な行動が不可欠だと感じるようになりました。」

ガブラルト氏もそれに同意し、次のように述べています。「新卒者にとって非常に重要な素養の1つは、変化に対して極めてオープンであることだと考えます。10年後に皆さんが行っていることは、今とはまったく違ったものになっているはずですから。」

この記事はThe GuardianのMark Hillsdonが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。