これからのCT画像はAIで診断支援!類似症例の正解率は85%、診断時間は6分の1

CT画像は診断が大変! 医師の作業を減らすには?

皆さんは、CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)検査を受けたことがあるでしょうか? CT検査とは、X線を使って身体の断面を画像化する検査です。特に心臓、大動脈、気管支・肺などの胸部、肝臓、腎臓などの腹部の検査に威力を発揮します。

病気を診断する時、医師は膨大な量のCT画像を見比べます。中でも、肺炎などの「びまん性肺疾患」と呼ばれる疾患群は、間質性肺炎や肺気腫など多くの疾患を含むことから、CT画像の読影診断には豊富な知識や経験が必要になります。そのため、過去の類似症例を効率的に検索する技術が求められていました。

初期の肺がんなどのように、異常陰影が一か所に集中している場合には、医師が断面画像上で注目する領域を指定し、その領域に類似する他の患者の断面画像を検索する技術があります。しかし、異常陰影が肺の全体に広がる「びまん性肺疾患」などの場合は、断面画像は似ていても、立体的に見ると似ているとは限らないため、手作業で文献などから似た症例を探すなど、診断に時間がかかっていました。

従来の類似症例検索

臓器を立体的な領域に分け、AIを活用して異常陰影候補を認識

このたび富士通研究所は、過去に撮影されたCT画像のデータベースの中から、異常陰影の立体的な広がり方が類似する症例を検索する技術を開発しました(注1)。

疾患の類似性を判断する際は、医師は臓器を「末梢」「中枢」「上下左右」といった立体的な領域に分け、異常陰影の広がり方を見ています。富士通研究所はこの点に着目。境界が複雑な臓器内の領域を画像解析で自動分割し、各領域の異常陰影候補をAIを活用して認識することで、立体的な広がり方が似た症例を高精度に検索します。

具体的には、肺のCT画像から異常陰影候補を機械学習によって認識し、比較的明瞭な部分から中枢と末梢の境界面を順次推定して分割。次に、上下方向の体軸に沿って、中枢および末梢の領域に存在するそれぞれの異常陰影候補の個数をヒストグラム化し、異常陰影の立体的な広がりの特徴を見ることにより、類似する症例を検索します。

(注1)異常陰影候補の認識は富士通研究開発中心有限公司と共同で開発。

開発した類似症例検索技術

類似症例検索の正解率85%に成功! 診断時間を最大6分の1に短縮

記者会見の様子。富士通研究所メディアサービスPJ主任研究員の馬場孝之(左)と、広島大学大学院医歯薬保健学研究科放射線診断学研究室の粟井和夫教授。

広島大学と共同研究を行い、びまん性肺疾患のCT画像を用いて評価実験を行った結果、本技術では約85%の正解率で類似症例を検索できました(注2)。これにより、今まで時間がかかっていた診断時間を最大約6分の1に短縮することでき、診療業務の効率化・精度の向上などが期待できます。

本技術は、びまん性肺疾患の診断のみならず、頭部CT・腹部CT、さらにはMRIや超音波などの他の画像診断にも応用できる可能性があります。今後も富士通研究所は、様々な症例の実証実験を重ね、医療現場の業務効率化に貢献していきます。

(注2)国立大学法人広島大学大学院医歯薬保健学研究科放射線診断学研究室の粟井和夫教授との共同研究。