ARで実現するオフィス革命

コンピュータディスプレイはもちろん、間仕切りも椅子もないオフィスを想像してみてください。誰もがヘッドセットを着用し、作業内容は3Dホログラムとして投影されています。これは、AR技術のスタートアップ企業のメタが現実化しつつある世界です。数カ月前に創業した同社は、社員全員からディスプレイを取り上げ、ARヘッドセットに置き換える取り組みを始めました。AR技術やデバイスの競合相手で、より潤沢な資金を持つアップルやマイクロソフトに対抗するべく、メタは他社に先んじてこのテクノロジーを改良し、ユースケースを見つけようとしているのです。

筆者は、カリフォルニア州にあるメタのオフィスを訪れて、このテクノロジーを実際に試してみました。メタの主席エバンジェリスト、ライアン・パンプリンのオフィスに入ると、そこはがらんとしていて、白いデスクの上にヘッドセットのみが置かれています。ところが、それを着用した途端、彼とガールフレンドの写真がそこら中に貼り付けられている光景が見えました。さらに、スティーブ・ジョブズの胸像と小さなテスラのミニカーも彼のデスクの上に「置かれて」いたのです。

メタのAR環境におけるデスクトップアイコンは、ホログラムの棚に収められたいくつかの球状のオブジェクトで、それぞれが別々のアプリケーションを表しています。筆者は、その中からWebブラウザをつかんでみました。両手でWebページを引っ張ると、大きさが通常のデスクトップの2倍になったので、ブルームバーグニューズの記事をいくつか読み、短いビデオを鑑賞してみることにします。次に、人間の眼球の3Dモデルを取り上げ、私の頭と同じ大きさにして、血管をじっと見つめました。さらに、人体のモデルも観察してみたところ、とても大きく、全体を見るには立ち上がる必要があったほどです。

今回の体験は、まだ完璧とはいえませんでした。自分にはARヘッドセットの着け心地が悪く、ホログラムのオブジェクトをつかむのにも少々手間取ったからです。それでも没入感はかなりのもので、ヘッドセットを外したときは、鮮やかな色彩が消え去り、世界が小さく見えて、逆にまごつきました。

この体験の後、いつも使っている電子デバイスによって、いかに私たちが制約を受けているかを意識するようになったことは事実です。一日何時間もコンピュータや電話の画面に目を凝らしながら過ごし、メールやメッセージのテキストが現れると、すぐに背中を丸めて応答する毎日。電話やノートPCへの依存がこれだけ進んでくると、もし必要なものを何でも周囲の空間に投影してくれる眼鏡のようなデバイスがあれば、今すぐにでも乗り換えたいと思っても不思議ではないでしょう。

仕事のためにかさばるノートPCを持ち歩かなくても映画館サイズのスクリーンがどこにでも出現し、小さな画面でスカイプをする代わりにホログラムで浮かび上がる友達や同僚と会話できる世界。その実現にはまだ時間がかかるとしても、とても素晴らしいものとなることは間違いありません。

この記事の執筆者の連絡先:Selina Wang in NewYork(swang533@bloomberg.net)
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