ビッグデータの活用で日本の大学が変わる!いま注目の大学IRとは?

高等教育改革で求められる「大学IR」

グローバル競争は高等教育においても無縁ではありません。たとえば、世界で最も権威があると言われる「World University Rankings 2018」のTOP100中に選ばれた日本の大学はわずか2校。東京大学は前回の39位から46位と順位を下げており、世界的に見ると日本の大学の存在感が薄れてきているような印象を持ってしまいます。逆に他のアジア国々、特に中国はTOP30に2つの大学がランクインするなど存在感を増しています。
日本の大学が今後海外での競争力を高めていくためには、留学生の受け入れ強化はもちろんのこと、卒業後に世界で通用する人材として多言語コミュニケーション力や、新しい価値やモノを生み出す創造性を高める学習環境が求められています。

このような背景から高等教育において教育の質の保証や、地域や学校の特色を生かした経営改革などが課題となっています。そこで、文部科学省では高等教育改革に全学的・組織的に取り組む私立学校を重点的に支援する「私立大学等改革総合支援事業」を平成25年度より行っており、評価の高い学校に対して補助金を支給しています。
「教育の質的転換」、「地域発展」、「産業界・他大学等との連携」、「グローバル化」、「プラットフォーム作成」と合計5種類の改革タイプごとに様々な評価ポイントで得点が付けられ、得点の高い学校が補助金を受けられます。

中でも最も対象校が多い「教育の質的転換」の評価で重要になるのが「大学IR(Institutional Reserch)」の取り組みです。大学IRとは、大学の経営改善や教育改善のために客観的なデータに基づいた情報収集・分析を行い、その上で改善施策の立案や実行を行うものです。
日本の大学では特に入学対応や教育の質の保証、そして学生支援やキャリア支援といった「教学IR」が求められています。

(画像引用元)私立大学等改革総合支援事業(文科省サイトより)

学生に寄り添ったデータ分析で、入試や学生支援が大きく変わる

では、具体的に大学IRはどのような領域で活用できるのでしょうか?富士通では教学IRの代表的な施策として「入試対策」、「教育の質対応」、「学生支援・キャリア支援」の施策支援を行っています。いずれも個々の学部や部署が抱えるデータだけでは課題の洗い出しや分析が難しい領域で、全学にまたがるデータを統合する必要があります。

たとえば、入試対策を考えてみましょう。大学改革では、現在の入試制度が大学の掲げるアドミッションポリシーに沿っているかを評価し、問題があれば入試制度の見直しまで検討する必要があります。
そのための分析を行うには、入学年度や入学制度(センター試験のみなのか、二次試験を利用しているのか。あるいはAOや推薦で入学したのか)、学科、入学前の成績や出身高校の評定、最終成績などのデータを横断して見ることが出来る環境が必要です。
これらのデータを分析することで、たとえば「センター試験の結果と最終成績には高い関連性があるが、二次試験と最終成績の関連性は年度によって大きなブレがある」などという傾向も見えてきます。二次試験の採用を見直し、センター試験のみの選考にするなど、客観性を持った入試制度の見直しが可能になります。

また、学生支援の場合で言えば、たとえば退学に影響する属性を調査し、その対応を考える事になりますし、キャリア支援で言えば卒業後の企業での評価など、学外のデータとの組み合わせで大学改革のヒントが見えてきます。

一方、大学IRに精通した人材は不足しており、すべての大学で効果的な分析・評価をすることが難しく、どのようなデータを組み合わせて分析するかのノウハウや可視化のためのツールの整備も必要になります。

富士通のUnified-Oneコンセプトで大学の特徴を全学的に強化

富士通では社内外のICTを統合して学生中心に情報活用する「Unified-Oneコンセプト」を大学向けに提唱しています。大学の教育研究、大学経営に新たな価値をもたらし、大学ごとの特徴を全学的に強化するためにはデータベースも全学的に分析可能な体制を整備する必要があります。
富士通が大学IR向けに提供している「Unified-One統合データベース」は、全学に分散している様々なデータを一か所に集約することで、課題の可視化と大学IRによる経営の迅速化が実現できます。
また、これまでの富士通の文教向けビジネスで得られたノウハウが含まれたTableau分析テンプレートにより、直観的な操作で最新のデータの閲覧や分析が可能です。

BIツール「Tableau」の分析テンプレート。自学のデータを入れるだけで「入学」「在学」「卒業」の軸で分析結果をグラフやダッシュボードでわかりやすく可視化できる。

今後は教学IRにとどまらず、財務や研究といった大学経営・運営に関わる分野にもIR情報基盤を利用した取り組みが必要となるでしょう。

学内外のさまざまな情報を活用し持続的な改革に挑戦することが、これからの大学経営に欠かせないものになりそうです。