2035年までにAIが実現する経済成長率を、GVA数値で読み解く

この記事では、アクセンチュアリサーチとフロンティアエコノミクスが発表したレポート「How AI Boosts Industry Profits and Innovation(いかにしてAIは各業種の収益とイノベーションを押し上げるか)」を元に、これからの社会におけるAIの経済面での貢献についてご紹介します。まず最初に、レポートの特筆すべき点を抜き出してみましょう。

  • AIは、2035年までに16の業種における経済成長を平均1.7%向上させる
  • 2035年に、AIが収益性に最も良い影響をもたらすのは、教育、宿泊/飲食サービス、建設の各業種である
  • AIテクノロジーは、2035年までに生産性を40%以上向上させる可能性がある
  • 情報通信、製造、金融サービスは、AIの恩恵によって、2035年にトップ3の経済成長を達成する業種である

このレポートでは、16業種の経済成長率を比較し、2035年までのグローバルな経済成長に対するAIの影響が予測されています。GDP(国内総生産)の近似値としてGVA(粗付加価値)が使用されており、AIが経済プロセスにより多く統合されるほど、経済成長の可能性も高まることが明らかになりました。本レポートにおいて注目されるのは、上述のように、AIが2035年までに、全業種を加重平均した経済成長率を1.7%も向上させる可能性があるという点です。
AIの恩恵で2035年に最高の年間GVA成長率が見込まれる3つの分野は、情報通信(4.8%)、製造(4.4%)、金融サービス(4.3%)です。AIは、最低でも2035年までに収益性を平均で38%向上させ、同じく12カ国の経済における16の業種全体で14兆ドルに上る経済の急成長をもたらすとのことです。
それでは、順を追って見ていきましょう。

AIは、2035年までに16の業種で経済成長を平均1.7%向上させ、情報通信、製造、金融サービスが全業種のトップとなります。アクセンチュアリサーチは、AIによる経済成長の可能性が最も高いのは、情報通信業であることを明らかにしました。AIを情報通信のレガシーシステムに統合すると、コスト、時間、プロセスのすべてにおいて、大幅な節減を速やかに実現できます。その結果、労働を含めて効率化が進み、2035年のGVA値は最大4.7兆ドルに達する可能性があるのです。この業種内での高成長分野は、クラウド、ネットワーク、企業全体にわたるクラウドセキュリティ戦略の策定を含むシステムセキュリティビジネスです。

図4 AIが各業種の成長に与える影響
AIは、2035年までに16の業種において、加重平均した経済成長率を1.7%も向上させる可能性があります。
2035年までの実質年間GVA成長率(%)
出典:アクセンチュアおよびフロンティアエコノミクス

AIは2035年に、教育、宿泊/飲食サービス、建設の各業種の収益性を最高にします。パーソナル化された学習プログラムと日常の定型タスクの自動化により、専門学校、大学、職業訓練学校では、新しい学びの枠組みを導入できるようになり、2035年までに教育における収益性が急速に高まります。また、宿泊/飲食サービスと建設業は、本来、膨大な手作業を要し、個々の仕事の独立性が高い業種ですが、AIは、作業予測を含めて多くの洞察と行動の文脈に沿った知識を提供できるため、その恩恵も大きいはずです。

図6 AIが業種ごとの収益に与える影響
AI非活用の場合を基準とした2035年のAI活用時の業種ごとの利益配当金増加率(%)
出典:アクセンチュアおよびフロンティアエコノミクス

製造業では、工業分野におけるIIoT(Industrial Internet of Things)やスマートファクトリーなどの取り組みが、AIの導入を大いに促進します。IIoTデバイスの急速な広がりとネットワーク、そこから生成される何テラバイトものデータが原動力となって、AIは製造業のGVAを2035年までにさらに3.76兆ドル増加させる見込みです。また、製造業の収益と長期の経済成長に関わるサプライチェーンの管理や予測、在庫の最適化、生産スケジュールの策定なども、すべてAIが直接貢献できる分野だといえます。

図7 2035年における製造業のGVA(10億米ドル)
出典:アクセンチュアおよびフロンティアエコノミクス

金融サービスでは、AIの活用によって、信用評価や初歩的なレベルの顧客からの問い合わせ対応といった、手のかかる日常的なタスクを自動化し、エラーを削減できるようになります。AIは、金融サービスのGVAが2035年に1.2兆ドル増加させる見込みです。さらに、インテリジェントボットによる市場調査の質問の自動化や、住宅ローンの評価と審査などにおけるAI活用も有望視されています。

金融サービス
2035年のGVA(10億米ドル)

2035年までに、AIテクノロジーは、労働生産性を40%以上向上させる可能性があり、先進12カ国の経済成長は2倍になります。この分野では、AIが個人の仕事の効率や生産性を向上させ、収益性に直接的な良い影響をもたらすでしょう。米国とフィンランドのGVAは、2035年までに2%を超える成長を達成し、AIによって最大の経済的利益を得る国になるものと予測されます。以下のグラフは、調査の第1段階で対象となった12カ国を比較したものです。

図2 AIが各国の経済に与える影響:このモデル化は、分析された12カ国の成長率がAIにより2倍になる可能性があることを示しています。
2035年までの粗付加価値(GDP近似値)の年間成長率
出典:アクセンチュアおよびフロンティアエコノミクス

※レポートは、こちらからダウンロードできます(28ページ、PDF、オプトインなし)。

この記事はBusiness2CommunityのLouis Columbusが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。