トンネルや地下でも安定した通信が可能!作業現場を支える新しいIoT技術とは?

作業現場で活躍する「BLEセンサー」とは?

オフィスビルや商業施設など建物の設備メンテナンスは、主に設備機器の「運転・監視」「点検」「整備」「保全」などをする業務です。ビル設備メンテナンスなどの作業現場で、BLEセンサーの活用が加速しているということをご存知でしょうか?

BLE(Bluetooth Low Energy)とは低消費電力で通信が可能な近距離無線通信技術のこと。現場の作業員の位置情報や生体情報、周囲の環境や設備の振動などのデータを収集し、その分析結果から安全対策の強化や作業効率化を図るという取り組みにおいて、BLEセンサーが活躍しているのです。

ところが、BLEセンサーは通信距離が約10メートルと短いことが欠点です。そのため、通信距離内のスマートフォンやゲートウェイ装置で中継させて、スマートフォンのLTEや3Gなどのモバイル通信で、クラウドにデータを蓄積させるのが一般的な方法でした。しかし、トンネルや地下などの電波環境の悪い作業現場ではモバイル通信が不安定になったり、1つのBLEセンサーに1つのスマートフォンを使用すると通信コストが増大するなどの課題がありました。

国内初、歩行しながら装置同士が自律的にネットワークを構築

このたび富士通は、IoT向けアドホック(注1)無線通信装置「Edgiot AHシリーズ」(注2)と、「Edgiot AHシリーズ」で収集したデータをクラウドに中継するゲートウェイ装置「Edgiot GW1100」(注3)の提供を開始しました。

「AHシリーズ」は、スマートフォンより一回り小さな大きさで、携帯性に優れています。BLEセンサー対応の無線通信機器としては国内初となる、歩行移動しながらでも装置同士がネットワークの経路状態を常に認識し、自律的に無線ネットワークを構築できる機能を搭載しています。

LTEや3Gなどのモバイル通信を用いずに、免許不要な無線周波数帯である920MHz帯無線を利用しています。そのため、複数の無線端末が隣接する無線端末を経由してデータを伝達させるマルチホップ通信が可能で、最大1.5キロという広範なメッシュ型の通信ネットワークを構築できます。特に920MHz帯は、遮蔽物を回り込む電波特性に優れており、電波干渉も起こしにくく、安定した通信ができます。

さらに、装置同士が動作状況を常に監視し、故障などによってネットワークの一部で障害が生じた場合でも、スマートメーター向け無線通信で実績のある富士通の技術によって、自動的に迂回回路を見つけて通信を維持する、メッシュ型のアドホック通信機能を搭載していることも特徴です。

(注1)専用の基地局を用いず、端末装置自体が持つ中継機能を利用することにより、端末装置同士が一時的に相互接続する通信方式。
(注2)正式名称は「FUJITSU Network Edgiot〈エジオット〉AHシリーズ」。
(注3)正式名称は「FUJITSU Network Edgiot GW1100」。

提供するIoT向け無線システムのイメージ

システム導入と通信にかかるコストを約35%削減

「AHシリーズ」の使用により、今まで課題となっていたトンネルや地下などの電波環境が不安定な作業現場のほか、プラントや造船所、建設など、作業員が多い現場においても、作業員のパルス数、歩数、熱ストレスなどに関する情報を収集できるようになります。さらに、収集したデータを分析することにより、効率的な安全管理ができるとともに、従来多額となっていた維持費も改善できます。

作業員50名の作業現場を想定した試算値では、モバイル通信を使用する従来の方式と比べ、システム導入と通信にかかるコストを約35%も削減できます。

商業施設や観光地などで来場者、観光客へ、エリア特有の情報を提供する際には、現場に点在するビーコンの一元管理を行うことにより、スタッフは現地に赴くことなく遠隔地から設定や配信情報の変更ができ、業務効率化や作業員の負荷軽減に貢献します。

今後、富士通は、少ない消費電力で1キロ以上の距離で通信できるLPWA(Low Power Wide Area)への対応を継続的に強化し、IoTを活用した現場革新を支援していきます。