AI ×ロボット技術で人に寄り添う(感情表現編)

ロボットは今、私たちの身近な場所で、生活をより楽しく、便利にする手助けをはじめています。たとえば病院で自動受付機の使い方がわからず困っている人にロボットが身振りを交えて語りかけながら案内するといった、人に寄り添い、働きかけるビジネス向けのロボットを活用したサービス。その実現のカギとなるのが、ロボットのコミュニケーション能力、特に感情表現です。

うなずきや表情が人に安心感をあたえる

コミュニケーションには、言葉による「バーバルコミュニケーション」と、身振りや手振りなどの動作、声色、表情などによる「ノンバーバルコミュニケーション」があります。

単に「情報の伝達」が目的であれば、言葉によるバーバルコミュニケーションで十分です。しかし、人と人との実際のやりとりでは言葉だけでなく、表情や頷きなどでお互いの理解が進んだり、安心感が生まれたりすることも多いでしょう。つまり、コミュニケーションにはバーバルとノンバーバルがセットになっていることが大切です。

それは人とロボットの関係でも同じではないでしょうか。ロボットに話しかけてみても何の動きもしなければ、「ちゃんと自分の話を聞いているのだろうか」と不安を覚えるでしょう。しかし、会話にあわせてロボットが頷くなどの反応を返せば、安心してロボットに向かって話し続けられるはずです。

このように、ロボットが相手の感情に働きかけ、情報を伝える際にカギとなるのが、ロボットの感情表現です。富士通は、ビジネス用コミュニケーションロボットに必要な身振りなどのノンバーバルなコミュニケーションを知識処理、感性処理を駆使することで実現しています。

アニメーションをヒントに感情を表現

ビジネス用コミュニケーションロボットとして開発された富士通の「ロボピン」は、身振りを交え、顔をさまざまな色に光らせながら話すことで感情を表現する小型ロボットです。顔の中心の目の部分にあるカメラによって人間を識別し、音声で語りかけます。

身振り

感情表現するための身振りはアニメーションの動作表現をヒントにしています。アニメーションでは、喜んだり怒ったり悲しんだりという喜怒哀楽の感情を、シンプルな造形、表情、オーバーなアクションなどで表現し、生き生きとしたキャラクタを描き出すからです。

ロボピンに搭載されたモーターは、頭2個、両腕2個、胴体2個の、わずか6個。しかし、アニメーションのキャラクタの動きなどを参考にして関節の位置や動きを工夫することで多彩な動きを実現し、感情や意図を瞬時に伝えることが可能です。

例えば、頭を深々と下げるお辞儀、両腕を上げるバンザイの仕草、胴体を大きく斜めに傾け、お笑い芸人のようにのけぞるオーバーアクション、方向を示しての道案内。身振り手振りを交えて説明することで、直感的に分かりやすく情報を伝えます。

表情

頭部に装着されたLEDが「表情」のかわりをしています。このLEDは、色が人に与える印象の研究成果を基に色、点滅や点灯パターンによって感情を表現しています。たとえば、赤に光れば「怒」、桃色は「喜」や「楽」、青は「哀」、またグルグル回る点灯パターンは「迷」を表します。

ようこそ

こちらへどうぞ

申し訳ありません

ビックリ!

あえて個性をなくしシンプルに

豊かなアクションで感情を表現できるようにする一方、あえてシンプルにしたのがロボピンの形状です。

さまざまな企業がビジネスで活用するケースを想定し、特殊な個性をあえて持たせていません。自社のブランドカラーに合わせて、ロボビンに色を付けたいこともあるでしょう。利用シーンにあわせて、アクセサリなどで着飾らせたいこともあるでしょう。どのような色を塗られたとしても、どのように着飾ったとしても、違和感なく自然に受け入れられるようにしています。

外国人や高齢者サポート、大規模施設での活躍も期待

豊かなアクションとシンプルな造形によって、感情を表現するロボピン。どのような活用シーンが考えられるでしょうか。

例えば、接客業務の効率化です。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、急増が見込まれる訪日外国人の接客としても外国語での対応が求められるでしょう。ロボピンであれば、AIや翻訳サービスなどクラウドをベースに連携し外国語対応も可能となります。日本人従業員をサポートしながら、情報提供サービスも対応することができるでしょう。

スポーツチームのユニフォームを着たロボピン

今まで案内窓口がなかった場所にロボピンを配置し、サービス向上することも考えられます。例えば、ショッピングセンターなどのように広大な施設に、きめ細かに人員を配備するのは困難ですが、コンパクトなロボピンであれば広範囲に配置しても邪魔にならずに利用者からの問い合わせに対応できます。ロボピンにブランドカラーなどを合わせることで、街や企業の新たなシンボル、キャラクタとしての活用も検討できるでしょう。

高齢化社会に向けて、病院や自治体などの受付でも、ロボピンは身振りを交えて語りかけながら、時には世間話を交えながら案内するという活躍も期待できます。

富士通は、今後も豊かな感情表現ができるロボットの研究により、ロボットが人に寄り添い、働きかけ、人と協働するビジネスと社会をめざしていきます。