「CEATEC JAPAN 2017」富士通ブースレポート

2017年10月3日から6日の4日間、千葉の幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2017」。「Digital Co-creation」をテーマに展開した富士通ブースでは「暮らし」「健康寿命」「リアルデータ活用」などのキーワードを軸に、既に実現しつつある新しい世界を紹介しました。

6つのテーマでAIとIoTの未来を紹介。参加型の先端技術をアピール

会場内はロボピンがご案内

今回で18回目の開催となる「CEATEC JAPAN」。2017年のテーマは、「つながる社会、共創する未来」です。4日に渡る会期中667社/団体が出典し、会場となった千葉市の幕張メッセは15万人を超える来場者で賑わいました。

各コーナーではテーマに沿った最新の技術を展示し、多くの方々にそれに触れ、技術の進化を体験いただきました。また、2016年に実施した「体験デモツアー」を今年も実施。6つの展示を順に回りながら、係員が各展示について詳細に説明を行いました。

量子コンピュータを実用性で超える「デジタルアニーラ」

富士通ブースの正面に大スクリーンを設置したステージでは、世界初の全く新しいソリューションである「Digital Quantum Solution」を紹介。このソリューションを支えるアーキテクチャである「デジタルアニーラ」です。

デジタルアニーラは、従来の半導体テクノロジーを使って、多くの社会問題の解決に役立つ“組合せ最適化問題”を高速に解くことができるアーキテクチャです。本来、組合せ最適化問題に代表されるような多くの計算が必要な処理は、量子コンピュータの領域とされてきました。富士通は、カナダのトロント大学、および1Qbit社とのコラボレーションによってこの分野にイノベーションを起こしました。

現在のコンピュータは情報を0か1かでしか表現できません。しかし、量子コンピュータは0と1の状態を同時に表現できます。これを「重ね合わせ」と呼び、現在の汎用コンピュータとは比較にならないほどの高速な計算が可能です。

例えば「巡回セールスマン問題」という組合せ最適化の例があります。1人のセールスマンが複数都市を1度ずつ訪問して出発点に戻るときに移動距離が最小になる経路を求めるこの問題は、スーパーコンピュータでも瞬時には解けません。訪問するのが30都市になると、スーパーコンピュータでも単純計算で8億年かかることになります。これがデジタルアニーラを使うと1秒以内で解答できます。

展示デモでは、数千万もの化合物データベースから分子構造全体を検索して新薬の開発に役立てる場面や、投資ポートフォリオの最適化など、いずれも膨大な計算が必要な処理が短時間で終了する例を紹介。また、渋滞のない交通システムやエネルギーの有効活用、災害時にも被害が少ない街づくりなど、この技術が私たちの未来を大きく変える可能性を紹介し、多くの注目を集めていました。

メインステージの「デジタルアニーラ」解説の様子。画面左上ではコミュニケーションツール「LiveTalk」を用い、登壇者の発言を日本語と英語で即時表示

安全な取り引きを多彩に展開できる「ブロックチェーン技術」

データの安全なやり取りが可能というブロックチェーンの特徴を活かし、金融業界だけではなく、私たちの生活でどのように役立つかについて、具体的な例を交えて紹介しました。

また、このコーナーで大きな展示となったのは、「データの利活用」に関するものです。昨今はIoTの普及が進み、各企業が個別に大量のデータを蓄えています。しかし、これらはその企業でだけ利用され、十分に活用されているとは言えない状況にあります。富士通は、このように蓄積されたデータを多くの企業が相互に利用できる仕組みを実用化しています。展示では、蓄積したデータを手元に置きながら相手方に提供する仕組みや、業種や業界の枠を超えたデータの相互活用について紹介しました。

上手い人との差を数値・グラフで表示! IoTトレーニングシステム「Windsurfing Lab」

青い海をイメージした展示スペースに、大きなウインドサーフィンのセール。このコーナーでは、IoTを活用したウィンドサーフィンのセーリング技術を数値化するトレーニングシステムを展示しました。
このシステムは、セールに取り付けたセンサーで各種のデータを取得し、それをクラウド上で処理するものです。セールの角度やボードの進行方向、スピードなどをリアルタイムで処理し、それを後でチェックできます。これによって上手な人と自分のデータを比べられ、どのようにセールを操作するとよいかが視覚的に分かるようになります。

実はこのシステムは、富士通の一社員が趣味で始めたものです。これが現在は「Windsurfing Lab」というサービスに育ち、展示では多くの来場者がボードに乗ってシステムの働きを試していました。

音声で健康のアドバイスをする「AIエージェント」

「シニアの健康な暮らしを支えるサービス」として、健康をアドバイスする「AIエージェント」の展示では、来場者が長い列を作っていました。

「AIエージェント」は、前に座った人に対し「朝ごはんは何を食べましたか?」などと話しかけ、これに答えると自然な会話やアドバイスを返します。また、軽く指を乗せるだけで血管年齢や心拍・ストレス度などを測定し、自分では気が付かない身体の状態を表示してくれます。

「AIエージェント」が取得したデータはAIが処理します。そして、個人を識別し、個々の健康状態に合わせた食事のメニューや運動などをアドバイスすることもできます。健康や美容に関心が高い世論を反映してか、多くのお客様で賑わった展示の一つとなりました。

ハンズフリーで自動翻訳!小型・軽量の「IDカード型音声翻訳端末」

富士通ブースの中でもメディアの取材が多かったのがこの展示。「CEATEC AWARD 2017」オープンイノベーション部門グランプリ」を受賞しました。
サイズは、縦75mm×横95mm×厚7mmで65gとコンパクトで軽量。首にかけたりポケットにグリップするだけで簡単に利用可能な自動翻訳端末です。音声が通る音道(おんどう)の形状を工夫することで音の指向性を確保しています。

端末に向かって話しかけると、会話の区切りを自動で認識。全くのハンズフリーな状態で診察や対応が行えるので、業務や診療の妨げとならないように配慮されています。

現在のところは英語と中国語の対応ですが、サーバ側を拡張することで他の言語にも対応も可能です。

富士通は東大病院やNICTと協力し実証実験を実施しています。訪日外国人が増える中、医療現場のコミュニケーション改善によるサービスの質向上に役立つと期待されるものです。また、今回展示されたのは医療関係者に向けた端末ですが、将来的には様々な業種や分野で利用が期待されます。

(当コーナーは後日、詳しくレポートする予定です。)

東京のリアルをマップ上に表示。「SPATIOWL×東京俯瞰図」

東京は、人やモノ、情報のすべてが集積する街。それらの情報を複合的に重ねると、新たな価値が生まれます。SPATIOWL(スペーシオウル)は、街を走行する自動車から各種の情報を取得し、それと既存の各種情報を組み合わせることで新たな価値を提供するクラウドサービスです。

自動車から得られる各種のプローブ情報は、人や施設の状態、天気、電波量などの各情報と合わせて地図上にマッピングされます。これによって、現在の東京のリアルな状態が視覚的に認識できるようになります。災害時の対応はもちろん、快適な都市づくりや効率的な交通の整備など、様々な分野に応用可能です。今回は、NAKEDによるアートディレクションでリアルな東京の動きを可視化して展示しました。

アートディレクションの展示。壁をタッチすると交通渋滞の場所などが分かる。

富士通が可能にする、新しい生活・新しい未来

富士通には、スーパーコンピュータの「京」や人工知能の「Zinrai」などの先端技術があり、そこで培われた技術からは多彩な応用サービスが生まれています。また、それらとは違ったアプローチでも新しい未来を実現する活動が行われています。「CEATEC JAPAN 2017」は、富士通の提供するサービスやシステムが、既に私たちのこれからの生活を大きく変える段階にあることが強く感じられる展示会となっていました。