APIで可能になる、異業種連携の新たな世界

イノベーションの鍵はクロスインダストリー(異業種連携)

現在は、あらゆるモノとヒトがネットワークで繋がる時代。スマホやIoTの普及によってこの傾向はさらに加速し、情報を扱う各システム内には、すでに膨大なデータが蓄積されています。また、それを処理する多彩なシステムも開発されています。
ここで問題となるのが、収集・蓄積されたデータやそれを処理するシステムが十分に活用されていない現実です。最近でこそ収集されたデータをAIによって効率的に分析する動きも見られますが、それも自らが収集したデータが対象です。もし、自社が保有しているデータに加え、他社のデータにもアクセスできるようになり、他社の技術やサービスと組み合わせた利用ができれば、今までにないイノベーションの種が見つかるかも知れません。これは、機能やサービスに関しても同様です。今までなかった新しいサービスが生み出される可能性は十分にあります。

金融業界でも、改正銀行法が成立され、API(Application Programming Interface)公開で新しいサービスが加速し始めています。そこで富士通は、金融業界にとどまらない異業種のサービスやノウハウを繋げた、クロスインダストリービジネスのためのプラットフォーム実現に向けた取り組みを開始しました。今回その一環として、お客様とベンチャー企業によるイノベーションビジネスの創発を狙い、長年様々な業界・業種のお客様のビジネスに携わってきた経験を基に開発してきたAPIの仕様をコンテスト応募者に公開し、「FUJITSU Cross Industry API Contest」を開催しました。

アイデアが光る!ベンチャーの独自視点

今回のコンテストで、富士通は金融系を中心に文教、医療・ヘルスケアなど5業種で計130種のAPIを用意。蓄積されているデータや保有するサービスがAPIによって外部からアクセス可能になると、さらにどんな新しいサービスが生み出されるのでしょうか。そのアイデアを多くのベンチャー企業が競いました。

そして、2017年9月6日富士通本社にて、予選会を勝ち抜いた11社がプレゼンテーションを実施しました。プレゼンの持ち時間は、各社8分。いずれのプレゼンも独自の視点からAPIの利用にアプローチするもので、それぞれにクロスインダストリーの可能性に満ちたものでした。入賞したプレゼンを紹介します。

スマートプレートの特長

「最優秀賞」を獲得したアクアビットスパイラルズ社は、同社が開発した「スマートプレート」を活用した提案でした。電池不要の小型デバイスであるこのプレートにスマホをかざすだけで、スマホのブラウザが自動的に特定のサービスに接続します。この仕組みをAPIと組み合わせると、例えばスタジアムのシートに設置すれば、試合の進行に合わせて選手やチームの情報、電車の終電情報などがスマホからチェックできます。もちろん、ビールも買えます。また、クリニックの診察券に搭載すれば、スマホで予約、処方箋、診察履歴、会計などの情報を確認できるようになるのです。プライベートな情報は事前に登録されたスマホでしか表示されず、もし違う人がその診察券にスマホをかざしても、診察券の持ち主とは違う情報を表示することも可能です。スマホをかざすだけの手軽さで、APIと連携した様々なサービスにアクセスできます。

次世代生体認証プラットフォーム概要

「優秀賞」はリキッドジャパン社に贈られました。同社は、指紋認証の大規模高速検索の分野で優れた技術を持っています。これを富士通が持つ手のひら静脈による生体認証と組み合わせ、指紋と静脈による超高速個人認証をクラウドで構築した次世代生体認証プラットフォーム構築することで、決済サービスをはじめ個人認証が必要な場面での活用を提案しました。さらにこのシステムによって蓄積された生活全般に関するデータもAPIで還元し、マーケティングにも役立てられるといいます。自治体では、高齢者が生体認証を利用していることを検出し、生存確認に利用できるのです。同社の保科氏は、生活をより便利にするため、世界中に"手のひらの世界"を広げたいと抱負を語りました。

仮想通貨交換所で必要となるKYCソリューションをプレゼンしたカレンシーポート社には「審査員賞」が贈られました。
OCR抽出や本人確認、マイナンバーに関するAPIを活用した郵送による発行者/非発行者の相互認証システムにより、口座開設時などに必要な本人確認を低コストかつスピーディに行え、コストを大幅に削減できるそうです。

受賞した3社

APIが可能にする、スピーディな事業展開とチャンス獲得

ゲストセッションとして、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社からAPI管理プラットフォーム「Apigee」の日本統括の清水氏と、普段着に特化したレディースファッションレンタルサービスを提供している株式会社エアークローゼットのCEO・天沼氏をお迎えしました。

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社
Head of Apigee Sales Japan
清水 岳之 氏

清水氏は、UberやWalgreens(米国の有名ドラッグストア)などの例に触れながら、APIの利用が業務の拡張やチャンスの獲得に必須であることを語り、また、利用するだけでなく、自社で開発したAPIをサードパーティで利用可能にすることで、自社のビジネスがより進展する例も紹介しました。さらに、APIエコシステムの健全性がAPIの発展には必須であり、そのためにはAPIを利用した際のフィードバッグが必要と訴えました。

株式会社エアークローゼット CEO
天沼 聰 氏

次に登壇した天沼氏は、スタートアップ企業である自社のサービスを例に挙げ、利用する側の立場でどのようにAPIを活用しているかを紹介しました。忙しい毎日を送る女性を対象にスタイリストがセレクトした洋服を宅配で送るサービスはユーザーに好評で、サービス開始後2年で急速に多くの顧客を獲得しています。サービスの維持にはAPIでの拡張性の担保が必須だったと語りました。同社のAPI利用は、物流を担う寺田倉庫との連携など実サービスでの連携の他、データの収集にも利用しています。会場では、APIの利用が様々な分野に広がる一例として注目を集めたようです。

富士通は、今回のコンテストをはじめとしたAPI活用による異業種連携のほか、コンソーシアム「Financial Innovation For Japan(FIFJ)」でのFintech企業と金融機関のお客様とのビジネスマッチング、「MetaArcベンチャープログラム」の共創によるベンチャー企業の支援など、多様な形で新たなビジネスを促進していきます。