事例からみる、ウェアラブルとIoTで現場の働き方はここまで変わる

近年、オフィスでの働き方改革が注目され、一人一台の環境でパソコンを使うようになってきているにもかかわらず、現場で働く従業員のICT武装は未だに遅れているのが現状です。ウエアラブルデバイスやスマートデバイスなど、持ち運びや操作が容易なツールを活用し、より効率的で安全な現場を実現する先進企業の取り組みを紹介します。

オフィスばかりが注目され、現場で進まない働き方改革

「日本企業の強さは現場にある」という声をよく耳にします。しかし、これまではその強さは現場の従業員一人ひとりや、職場単位での生産性向上活動に依存していました。例えば、製造や物流の現場ではパソコンを置くスペースを確保しにくく、いちいち事務所に戻る必要があり、情報の参照や作業の進捗などの入力をタイムリーにできていない。営業担当の場合にも、顧客との短い面談でノートパソコンを持ち出しても、起動に時間がかかったり立ち話では使いにくいという状況が多く見受けられます。

こうした長年の課題を解決する、ウエアラブルデバイスやスマートデバイスなどを活用し、現場の働き方を改革している先進企業の取り組みを紹介します。

ウエアラブルデバイスとIoTで現場の安全性と生産性を守る

現場のワークスタイル変革で活躍するICTツール、ウエアラブルデバイス。眼鏡型やリストバンド型など、その名の通り「着用」でき、肌身離さず持ち歩け、インターネット経由で業務システムなどにつなげば、いつでも必要な時に、情報を参照したり、仕事の進捗を入力したりできます。両手が空くので、作業を妨げないという点も大きなメリットです。

さらにIoT(モノのインターネット)技術を活用し、ウエアラブルデバイスから作業者の生体データを取得、分析すれば、体の異常を早期に発見し、作業中の安全性を高めることもできます。保守や物流の現場の活用事例を見てみましょう。

事例1.保守現場:バイタルセンシングバンド

情報通信ネットワークシステムの構築や保守に携わる、富士通ネットワークソリューションズ。作業員は、腕時計型の生体情報測定端末「バイタルセンシングバンド」を装着し保守作業に臨んでいます。端末に実装された多数のセンサーが、作業員の心拍数や姿勢、加速度などの生体情報を収集し、スマートフォン経由で逐次クラウド上のサーバーに送信。これにより、作業員の状態を「見える化」しています。

作業現場の管理者は遠隔地から、ウェブブラウザーで「熱中症の危険性」「同一姿勢の持続」「転倒の検知」「高所での作業」「1 人での作業」「危険なエリアへの立ち入り」などを把握。さらに、作業員の脈拍の一時的な急増をデータでリアルタイムに取得し、危険のいち早い察知する「ヒヤリハットの頻度」の測定もできます。

作業者の転倒も加速度センサーと気圧センサーで把握。急に立ち止まったと同時に気圧が急低下し、その状態が継続する状態から、転倒と判断できます。「現場の責任者の目の届かないところで作業員が事故に遭い、倒れてしまった」といった場合も、迅速に対応できるようになります。

事例2.物流現場:FEELythm(フィーリズム)

高速バスの運営会社WILLER EXPRESS JAPAN(ウィラーエクスプレスジャパン)では、乗務員の安全運行を支援するウェアラブルセンサー「FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE FEELythm(フィーリズム)」(以下FEELythm)を、保有するバス約200 台全てに導入しています。

FEELythm は、耳たぶに装着したセンサーから取得したバイタルデータを富士通独自のアルゴリズムにより解析し、乗務員自身も気づかない予兆の段階の眠気を検知します。乗務員の眠気の予兆を検知すると、センサー本体のバイブレーションが振動し、乗務員本人に通知。同時にネットワーク型デジタルタコグラフ(以下デジタコ)と連携して遠隔地の運行管理者にリアルタイムで通知し、運行管理者はデジタコが撮影する動画で乗務員の運転状態を確認します。その状態により、休憩等の指示を的確に出すことができ、乗務員と運行管理者双方にとって有効な運行マネジメントを実現しています。

さらに、運行中に得られたバイタルデータと運行データを蓄積し、眠気の通知が多発するポイントをハザードマップとして登録することで、デジタコから乗務員に対して音声で警告を発することで注意を喚起。また、夜型・朝型、路線の運転適性など、乗務員個人の適性を生かした配車計画や面談などに具体的なデータ活用をすることで、より効率的な運行管理や安全指導への活用も視野に入れています。

ウエアラブルデバイスの活用で、深刻化する人手不足の解消へ

ICTの活用は、今の現場の問題解決に役立つだけではありません。働きやすく、安心して仕事ができるようになれば、その職場の魅力が高まり、将来にわたって優秀な人材が集まりやすくなります。少子高齢化が進み、人手不足が一層深刻になる中、ウエアラブルデバイスなど新たなICTの活用は、シニアや女性など多様な社員が活躍しやすい環境作りにもつながるでしょう。

ウェアラブルデバイスやスマートデバイスを活用した働き方改革の具体例をもっと詳しく。