IoTを活用してビルを監視! 対応マニュアルを自動化し迅速な復旧を実現

予兆を検知し、いち早い復旧支援を

ビルメンテナンスとは、建物や設備機器を定期的に点検し、管理等を行うことで、長期間にわたり安心して活用できるように維持することです。エレベーターや水道、防犯設備といったライフラインから、美観・衛生的環境を改善するための清掃やメンテナンスまで業務は様々。安全・安心な環境を維持することによってビルが価値ある資産となるようにすることが目的です。

ビルメンテナンスの現場では、設備不具合の予兆を速やかに検知し、確実に復旧させることが重要です。しかし、既存のIoTを活用したビル設備監視システムの多くは、設備異常の検知とメールでの自動通知に留まっており、いち早い復旧を支援する機能は備えていないものが殆どです。

また、豊富なノウハウを有する熟練作業者の不足も課題の一つです。このため、対応者のスキルに規定されることなく、迅速な復旧を実現するシステムへのニーズが高まっています。

富士通、大成、スタディスト、それぞれの技術・ノウハウを連携

こうした状況の中、富士通、大成、スタディストの3社は、それぞれの持つ技術やノウハウを連携させ、ビルメンテナンス業務の効率を高めるIoTを活用した新たなビル設備監視システムを構築。その有効性を確認するための共同実証を行いました。(注1)。なお、この共同実証は、富士通とスタディストが「富士通アクセラレータプログラム」(注2)で協業検討をしたことが契機となっています。

実証システムのイメージ

実証における3社の役割は、次の通りです。富士通は、人やモノからの大量のセンサーデータをリアルタイムかつ効率的に扱うための各種機能をクラウドサービスで提供するプラットフォーム「K5 IoT Platform」(注3)を提供。大成は、ビルメンテナンス業務に関するノウハウを、スタディストはクラウド型の画像、動画ベースのマニュアル作成・共有プラットフォーム「Teachme Biz(ティーチミービズ)」など提供します。また、実際に人やモノからのデータ収集については、「ちょいロガ」(注4)を設置し、空調設備の温度、振動等を計測します。

そして、これらのテクノロジーや製品、ノウハウを連携させ、ビル設備の異常検知と状況に応じた作業指示マニュアルの自動配信が行えるビル設備監視システムを構築しました。中でも、「Teachme Biz」は、スマートフォン、タブレットで簡単にトラブル発生時の状況に応じたマニュアルや手順書が作成できる機能で、手順書の作成時間が従来比5分の1に短縮されました。業務マニュアル、手順書作成・共有基盤として全国1,600社が利用しています。

実際の現場でマニュアルを見ながら作業をしている様子

(注1)システムの実証実験は郵船不動産の協力のもと「郵船ビルディング」において、2016年10月13日から2017年3月31日まで実施。
(注2)革新的なスタートアップの技術・製品と富士通グループの製品・ソリューション・サービスを組合せ、オープンイノベーションで世の中へ新たな価値を提供することを目指すプログラム。
(注3)正式名称は「FUJITSU Cloud Service K5 IoT Platform」。
(注4)富士通アドバンストエンジニアリングとFDKが共同開発した小型多機能センサー。加速度、方位、温度、湿度、気圧、照度を測定可能。

IoT活用の有効性を実証、作業効率アップし対応面積1.5倍へ

こうした実験によって、ビル設備監視システムを活用することにより、郵船ビルディング内の空調設備の稼働状況を約6か月間の長期にわたってリアルタイム監視することが可能であることを実証しました。

特に「Teachme Biz」(ティーチミービズ)の実証実験では、正常な状態を意図的に異常と検知させ、それに応じてあらかじめ「Teachme Biz」で簡単に作成したマニュアルが、きちんと配信されるかを検証。異常内容に応じたマニュアルを配信できることを確認しました。異常を検知するシステムはすでに実用化されていますが、異常を感知するだけでなく、異常の内容に応じて「いかに対応すべきか」のマニュアルまでを素早く配信できることが、このシステムの特徴です。

マニュアルが自動配信されることで、熟練度が不十分な作業者でも対応可能な業務が広がります。富士通、大成、スタディストの3社では、その効果を「一人の作業者が対応できるビルの面積」で試算しています。それによると、一人当たりの対応可能面積が現在よりも50%程度増大できることが分かりました。これにより、現場作業が効率化できるだけではなく、お客様に対しても、設備故障を未然防止や、故障時のより迅速な復旧を実現するサービスの提供が可能になります。

今回の実証をもとに、3社はビルメンテナンス業務における効率化とサービス品質の向上に向け、共同でビル設備監視システムの製品化を進めます。富士通ではIoTサービスの創出には得意分野を持つ企業との連携によるエコシステムが重要と捉えています。今回の実証実験を通してシステム連携や進め方のノウハウの蓄積を図ることができたことは実りある成果となりました。

今後、IoTを活用したビル設備監視システムによってビルメンテナンス業務が進化することで、ビルがより優良資産となり、さらなる活用の促進が図れるものと期待が寄せられています。