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演算精度を維持して消費電力を抑えるDeep Learning向け回路技術を開発

膨大なデータを処理、負荷の高まるDeep Learning

様々なモノがインターネットに繋がるIoTの普及に伴い、家電や住宅、自動車など、ネットワークに繋がるデバイスが急増しています。総務省によれば、2015年の時点で154億個だったIoTデバイスは、2020年には304億個に倍増すると予測されています。(注1)

こうしたデバイスから生成される膨大なデータ、いわゆる「ビッグデータ」は、数値やテキスト、画像、音声などのデータに潜むパターンや法則、知見を見つけ出すことで、「価値」を生み出すことが可能になります。その際に注目されているのがDeep Learningです。Deep Learningは機械学習の手法の一種で、新たなビジネスやサービスの創出に役立てることができると言われています。

Deep Learningの学習プロセスでは、入力した学習データをもとに膨大な演算処理を行う必要があります。IoTデバイスの増加により次々にデータが収集されることで、学習データも増大します。そのため、学習処理をするサーバにはより一層の高性能が要求され、人間の脳に近い認識を行うためには膨大なパラメータが必要とされます。(図1)

(図1)ニューラルネットワークの大規模化

学習用サーバなどのハードウェアは、利用できる電力量で性能の上限が決まるため、規模を拡大することで性能を高めるのは難しく、電力効率を高める技術が求められています。そのため、データのビット幅を16ビットや8ビットに削減したり、浮動小数点演算ではなく整数演算を使うなどの方法が取られています。しかし、この方法では演算の途中で演算に必要な精度が不足して学習ができなくなったり、Deep Learningの認識性能が劣化するなどの課題がありました。

(注1)総務省 平成28年版情報通信白書より

ビット幅削減で学習中の消費電力を削減

富士通研究所ではこうした課題の解決に取り組み、Deep Learningの学習過程において、データのビット幅を削減して電力効率を高めつつ、十分な演算の精度を保つことができる回路技術を開発しました。

この新しい回路技術を用いたDeep Learningの学習用演算コアは、学習中にデータをリアルタイム解析して、その解析結果をデータの統計情報としてデータベースに保存。その統計情報から学習に最適な設定をして演算を進めることで、ビット幅を削減した場合の課題だった演算精度の低下を抑制します。

この回路技術によって、「浮動小数点演算を整数演算で行うことによる消費電力の削減」、ならびに「データのビット幅を32ビットから8ビットに削減することによる消費電力の削減」という2つの側面から電力効率の向上が可能になりました。

学習精度を落とさず消費電力を75%削減、学習処理など適用範囲も拡大

富士通研究所では、手書き数字認識によく使われるネットワーク「LeNet」と、手書き数字認識用の学習データセット「MNIST」の組み合わせで評価実験を行ったところ、32ビットで98.90%の認識率に対し、16ビットで98.89%、8ビットで98.31%と、ほぼ同等の認識率で学習できるという結果になりました。

このように電力効率が向上することによって、同じ電力量で学習用サーバの処理能力を向上させたり、同じ処理量で消費電力を削減することできます。また、これまでクラウド上のサーバで行っていた学習処理を、ネットワークの端(エッジ)に設置されたエッジサーバで行うことができるため、データが生成される場所に近い、例えば工場などに設置されたエッジサーバでの学習過程において、消費電力の75%削減が可能になります。これにより、AI技術の適用領域の拡大に貢献します。

現在、評価を行っているのは16ビットと8ビットですが、富士通研究所ではさらに削減できるか今後評価を進め、さらなる電力効率化に取り組みます。今後は2018年度をめどに、富士通のAI技術を体系化した「Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」の1つとして本技術の実用化を目指し、より高度なAIの活用に取り組んでいきます。

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