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Fintechの進展で、今「何が起っているのか」

日本でもようやく普及が進んできたFintech。ファイナンスとICTテクノロジーの融合によって生まれたFintech(フィンテック)は、社会への浸透と対応するサービスの拡充によって今後もさらなる発展が期待されています。どのような分野での利用が期待され、その時、既存の金融機関はどうなるのでしょうか?
日本におけるFintechのキーパーソンとFintechに携わる日米の富士通関係者を交え、日本におけるFintechの現状と普及のポイント、金融機関の動きを紹介します。
【富士通フォーラム2017 カンファレンスレポート】

Fintech領域での具体的な実証実験やR&Dの進展

カンファレンスは、みずほフィナンシャルグループの大久保光伸氏、FINOLAB(フィノラボ)の伊藤千恵氏、富士通総研の長堀泉、米国富士通研究所の澤野佳伸の4名のパネラーより、現在取り組んでいる活動の紹介からスタートしました。モデレータはインプレスの田口潤氏が務めました。

株式会社みずほフィナンシャルグループ 株式会社みずほ銀行
デジタルイノベーション部 オープンイノベーションチーム 兼 IoT・ビッグデータビジネスチーム シニアデジタルストラテジスト
大久保 光伸 氏

まず、みずほフィナンシャルグループの大久保光伸氏より、同グループが2016年に定めた中期経営計画の5つの基本方針の中に「金融イノベーションへの積極的取り組み」があり、さらに事業戦略の中に「Fintechへの対応」が示されていることを紹介しました。

これは政府が定める国家成長戦略『日本再興戦略2016』の中に明記されているFintech、オープンAPIのあり方、ブロックチェーンへの取り組みへの言及を受けるもので、全銀協の中にも研究部会が発足し、APIの仕様標準化に向けて、セキュリティ分科会、コンプライアンス分科会などへ積極的に関与していることを示しています。
また、同社のオープンイノベーションへの取り組みとして、スタートアップ企業とのコラボレーション事例を紹介しました。

Head of FINOLAB/一般社団法人金融革新同友会 FINOVATORS Co-Founder
株式会社電通国際情報サービス 金融ソリューション事業部 DXビジネスユニット 金融事業開発部 部長
伊藤 千恵 氏

次に電通国際情報サービスの伊藤千恵氏が、Fintechのスタートアップ企業とともに、Fintechの技術を使った新規事業を創造することを目指したコミュニティ&スペース「FINOLAB(フィノラボ)」の活動について説明しました。このFINOLABは、グローバルネットワークに繋がったFintechに特化した場所・コミュニティとして国内外の多くの企業から注目を集めており、参画には厳格な審査があります。

現在は7社の大手企業の他に38社のスタートアップ企業など、高い志・ポリシーを持つ企業のみが参加し、質の高い金融サービスを社会インフラとして提供しようと取り組んでいます。

さらに伊藤氏は、「今後はなるべく非金融の事業法人に参画していただく」というFINOLABの方向性を紹介。かつて金融関係のシステムインテグレーターとしてプロジェクトのマネージメントを手掛けたバックボーンも活かし、現在はスタートアップ企業との協業を主軸とした活動を行っていると述べました。

また、「何となく集まって新しい雰囲気を...ということではなく、具体的な実証実験やR&Dプロジェクトを生み出していく場」としての積極的な活動であることを強調しました。

伊藤氏に続き、富士通総研の長堀泉と米国富士通研究所の澤野佳伸も、それぞれが取り組む事業の紹介と抱えるミッション、Fintechへの取り組みなどを紹介しました。

日本と海外で異なるFintechの現状

株式会社富士通総研 取締役執行役員常務
長堀 泉

米国富士通研究所 R&Dマネジメントオフィス リサーチマネージャー
澤野 佳伸

次に、澤野から日本と海外におけるFintechの状況の違いを紹介。本年5月に米国で開催されたFintechのカンファレンスである『Finovate(フィノベート)』において「潮目が変わったことを実感した」と語りました。新規のスタートアップよりも成熟したかつてのスタートアップ企業が新しい技術を携えて参加する傾向であり、これは海外ではFintechを新しいものとして捉えるブームは去り、適応フェーズに入ったことを示しており、日本との温度差を表しています。また、投資の対象に、中国、インド、ブラジルなどのスタートアップが注目されていることを紹介しました。

これに付随し、長堀からは、日本では持っていない人は殆どいない銀行口座も、海外では20億人の人が持っておらず、さらにクレジットカードを持てない人も多くいる現状が説明され、Fintechがこのような環境で受け入れられている意味を提示しました。
「金融に限らず、本来こんなのおかしいよねとか、本来こんなサービスがあっても良いよねという要望が、需要者側からの再定義を迫られてきている、その金融版がFintechなのです」と長堀は語り、一例としてUber(自動車配車サービス/配車アプリ)とSquare(個人間でクレジットカード決済)の例を紹介しました。

これに関して、伊藤氏は、シリコンバレーの老舗のアクセラレーターやベンチャーキャピタルがグローバルな市場を視野に入れていることを紹介。続けて、「グローバルの中でも、とりわけアジアに注目が集まっている」と動向を説明しました。

Fintechによって、銀行業務が大きく変わる

海外では、既に実用の段階に入ったFintech。日本で本格的な導入が進むと、銀行業務はどうなるのでしょうか。

これに対して大久保氏は、「我々金融機関自体も技術革新による環境変化に合わせてビジネスモデルを変えなくてはならない」と切り出しました。

「これまでは、一方的に銀行がお客様向けのサービスを開発してきました。しかし、IoTやビッグデータ、AIなどのテクノロジーの進化によって、一般の消費者の動向やニーズを金融機関側が把握できるようになりました。そこで、これらを使って、少しでもお客様に最適な商品サービスを作り出していかないと利用してもらえない可能性が出てくるのではないかと考えています」と語りました。

さらに、海外のIT企業が参画しているGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)バンクと呼ばれる金融サービスを紹介し、「これらの企業は、ユーザーに関する多くのデータを持っています。そして、既にファイナンシャルのサービスを提供し始めてもいます」と危機感を訴えました。

これに続いて澤野は、「Money20/20」の2016年のキーノートプレゼンターに流通業者が多く登壇している事に触れ、海外においては金融機関の位置づけが変化していることを紹介。さらに、「お金の流れは、ものを買ったりサービスを買ったりする対価であるので、トリガーを握っている流通業者の方が強い」と述べました。

これを受け、大久保氏は「我々も試行錯誤をしており、流通に関してはブロックチェーンを使い発注した時に決済までできるようなスキームに繋げています。金融機関が業界を超えてこのような決済スキームに絡んでいくビジネスモデルを作っていくことが非常に大事です」と銀行が目指すべき一つの方向性を示しました。

銀行の信用力を利用した、新しいサービスに期待

続いて、長堀は銀行の新しいビジネスモデルとして、銀行が持つ各種の機能(決済、認証、キャンペーンマネージメントなど)を非金融の会社にサービスとして提供するビジネスモデルを紹介。「金融機関の一番のコアは、信用力だと思う。信用力を持って、例えば"オーソライゼーションは銀行の機能を使いたい"という企業は多い」と述べました。

これを受け大久保氏が、金融庁や全銀協がオープンAPIのあり方・方針を定め、各行が取り組んでいる現状を解説。「APIは、銀行の機能を外部のスタートアップ企業やサービスが利用するために必須のものです。このAPIを銀行が公開することで、スタートアップ企業側が、銀行が備える各種の機能を利用したサービスを作れることになります」とみずほ銀行のAPI関連の取組みを紹介。

これに付随して、伊藤氏からはスタートアップ企業の立場からもAPIに注目が集まっていることが紹介されました。「現在の金融機関では、全ての金融機能が包括的に提供されています。今後は、スタートアップ企業を含む様々なプレイヤーが金融機能を提供していきます。これらの機能のうち、何を残して何を外部に託すかを各金融機関が戦略的に判断するのが重要」と語りました。

また、伊藤氏は「スタートアップの側からすると、APIを提供してもらうのは大変ありがたいこと」とも発言。APIの公開、提供があって初めて、新しいサービスが作れることを強調しました。

この他、大久保氏は三井住友フィナンシャルグループや三菱UFJフィナンシャルグループのオープンイノベーション事例に触れ、業界としてAPIの公開に向けた環境が整いつつあることを示しました。さらに、銀行には口座を作る際の申込情報があるので、その情報を利用することで不正が起こりにくいプラットフォームを提供できるというメリットを紹介しました。

銀行の機能をサービスとして提供する

ここで澤野からボストンのRadius Bankの事例を提示。Radius Bankは6つの実店舗を持ち、そのうちの5店舗を閉鎖し、一気にFintechバンクにシフトしました。

「今までの金融機関だと、全部自分でやらなければならなかったが、APIやアンバンドリングのサービスに切り替えていく。こうやると、システムやサービスの開発がものすごく速くなる。こういった事例が既に出てきています。欧米では、Fintech企業が銀行を潰す/金融機関を壊すという議論ではなく、金融機関が変わるためにFintechのスタートアップを使いこなしているという世界が既にやってきていると思う。こういうことが日本でも始まるでしょう」と述べました。

また、これに関連して長堀は「アメリカの金融機関は基幹システムは縦割りになっている。ある意味でアンバンドルしている。それに対して日本の銀行の基幹系は信頼性重視のリアルタイム処理のため中央集権的となっている。ここを何とかせねばいけない」と主張し、両国の銀行システムの違いを示しました。
そして次の方向性は、フロントエンドではなく、バックエンドの基幹系をどうするかがポイントであるとし、ここがボトルネックになるのではないかとの見解を語りました。次の方向性は基幹系Fintechであり、我々への期待もそこにあると締めくくりました。最後に、次の方向性として今日の議論から、金融ファーストの視点を挙げ、長堀から富士通が考えるオープンバンキングエコシステムとキーワードとしてクロスインダストリーという言葉についての説明があり、カンファレンスは終了しました。

登壇者
  • 株式会社みずほフィナンシャルグループ 株式会社みずほ銀行
    デジタルイノベーション部 オープンイノベーションチーム 兼 IoT・ビッグデータビジネスチーム シニアデジタルストラテジスト
    大久保 光伸 氏

  • Head of FINOLAB/一般社団法人金融革新同友会 FINOVATORS Co-Founder
    株式会社電通国際情報サービス 金融ソリューション事業部 DXビジネスユニット 金融事業開発部 部長
    伊藤 千恵 氏

  • 株式会社富士通総研 取締役執行役員常務
    長堀 泉

  • 米国富士通研究所 R&Dマネジメントオフィス リサーチマネージャー
    澤野 佳伸

モデレーター
  • 株式会社インプレス
    IT Leaders編集主幹
    田口 潤 氏

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