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SXSWから学ぶ、イノベーションを起こす「エコシステム」作りのヒントとは

毎年3月、10日間にわたって米国テキサス州オースティンで開催される、世界最大規模のカンファレンスイベント「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)。音楽・映画・インタラクティブという3つのジャンルを柱に構成され、参加者は7万人にものぼり、そのうち出展や視察をした日本人は約1200人だと言われています。ここにはイノベーション創出に重要だと言われている「エコシステム」をつくりだすヒントが隠されています。そこで、日本からSXSWへ参加した企業・大学・地域の方々をお招きし、イノベーションを起こすために必要な創発やエコシステムの作り方を考えました。
【富士通フォーラム2017 セミナー&展示レポート】

イノベーション≠技術革新

株式会社富士通総研 コンサルティング本部 産業グループ
マネジングコンサルタント
佐々木 哲也

"イノベーションとは発明と市場との新結合である"と、経済学者シュンペーターの定義(シュンペーター著書『経済発展の理論』より)の紹介から始まった本セミナー。イノベーションやエコシステムといった言葉の定義について、モデレーターを務めた富士通総研の佐々木哲也が次のように述べました。

「人が中心となって、インキュベーターやアドバイザー、投資家、政府関係者といった要素がその周りを取り囲み、これらを結び付けるきっかけとして教育、法令、文化、メディアといった別の要素が加わっていきます。この状態こそが理想的なイノベーションのエコシステムと言えるのではないでしょうか」

このような問題意識を踏まえて、エコシステムをうまく作り出しているSXSWを参考に、それを作る"要素"である企業・大学・地域の方々それぞれの視点から、イノベーションを起こすヒントを探るべくSXSWに実際に参加した3名の方からお話しいただきました。

コミュニティの形成で、人と人が結びつき新しいことが生まれる

パナソニック株式会社 全社CTO室 Wonder LAB Osaka 主幹
福井 崇之 氏

最初は各登壇者の活動紹介です。1人目は"Wonder LAB Osaka"という共創空間を開設したパナソニック の福井崇之氏。福井氏は、社内にいる面白い人やイノベーターを発掘するために、人と人が出会ったり、アイデアを形にしたり、社内外へ発信したりできる場を作りました。ここでは単にワークショップを行うだけではなく、バンド演奏や大喜利といった多彩なイベントを開催しているのが特徴です。

「空間だけにとどまらず、この場でコミュニティを形成し"エコシステム"を作ろうと考えています。人と人が結びついて新しいことが生まれる時代。Wonder LAB Osakaという場を通じて、どういう人や要素がイノベーションを起こすためには必要なのかを、様々なイベントを通じて可視化しようとしています」と福井氏は話しました。

学内スタートアップを支援し、実装能力のある学生を世の中へ輩出

東京大学
産学連携推進本部 イノベーション推進部
助教 菅原 岳人 氏

続いて、東京大学の菅原岳人氏は、人材育成やプロジェクト支援、大学のインキュベーションなどの学内で行っている様々なプログラムを紹介し、「"東京大学アントレプレナー道場"というビジネスプランの立て方を学ぶ起業講座からスタートしましたが、思ったほどすぐにスタートアップは生まれないと感じました」と感想を述べました。その原因として、海外では大抵エンジニアがスタートアップとして起業している中、日本のエンジニアリングができる学生は、起業への心理的距離が遠いと指摘。そこで、実装能力のある優秀な学生を世の中へ輩出できるようなプログラムができないかと考え、"Todai to Texas"や複数の技術プロジェクト支援プログラムを立ち上げたと説明しました。

さらに、菅原氏は「海外では学内スタートアップ支援を当たり前のようにやっていて、大学を中心にイノベーションを起こしています。それを日本の中でもやっていこうというのが我々のスタンスです」と熱い想いを述べました。

特色あるイベントをつなぐことで更なる魅力を創出

株式会社神戸デジタル・ラボ 広報室長
舟橋 健雄 氏

最後は、神戸デジタル・ラボの舟橋健雄氏。舟橋氏は、「"神戸をひとつの大家族にしたい"という野望があります」と活動の原点を語りました。そして、"神戸ITフェスティバル"や"TED×Kobe"などのイベントを次々と開催し、これらのイベントが楽しさや関心で繋がる知縁コミュニティに発展。活動を続けていくにつれて、神戸にはつながりが足りないと感じ、大学卒業後に神戸から出ていってしまう若者をターゲットに、"若者に選ばれる街"を目指したといいます。そして、神戸で行われている既存の特色あるイベントをつなぐことで更なる魅力を創出できるのではないかと考え、SXSWをその好例として参考にしながら"078Kobe"というイベントを開催しました。

参加者が語る、SXSWの魅力とは?

続いて、SXSWに実際に参加した経験を通して、多種多様なカンファレンスや参加者によって生み出される多様性や特徴、雰囲気などを登壇者が語りました。

福井氏は、「CES(総合エレクトロニクス)などの我々がこれまで出展してきたようなイベントは、内容や感想を誰に聞いても同じような答えが返ってくるのに対して、SXSWは、聞く人によって異なる答えが返ってきます。それだけ多彩なカンファレンスがあると同時に、様々な人が集まっているという事の証拠でもあります」と自身の体験から感じたことを語りました。

続いて菅原氏は、東京大学の学内プログラム「Todai to Texas」から参加したチームの中で、片足を失い義足で生活しているメンバーが中心に開発していたロボット義足開発チーム「BionicM」を紹介。このメンバーは、義足を使用している当事者の立場からより良い義足開発を目指し、かつてTwitterやAirbnbが獲得した"インタラクティブ・イノベーションアワード"を受賞。この受賞は、学生部門とはいえ、日本チーム初の快挙でした。

菅原氏は、「これまで提供する側とユーザーとして使う側、それをどうマッチさせるかという手法が一般的でしたが、SXSWでは課題を抱えている本人が、テクノロジーを使って世の中を変えていく、という流れが生まれているのが分かります。オープンイノベーションに携わる人は、この時代の潮流を理解しておかなければならないと考えます」と提言しました。

ロボット義足開発チーム「BionicM」のSXSWでの授賞式の様子

SXSWにおけるイノベーションの意義

次に、SXSWに参加された経験をこれからの日本経済や社会にどう活かしていくかという点についてディスカッションが進みました。

菅原氏は、SXSWはただの展示会やセミナーではないと言及。「"新結合"だとただの"新しい製品"で止まってしまいます。最新のイノベーション研究は、イノベーションが成立するためにはマーケットがどう反応するかまで考えています。言うならば、馬車が車になったというところが構造変化。それを人が受け入れる時に、パラダイムシフトが起きイノベーションとなります。つまり、車=危ない物という思い込みが、車=速く馬よりも良いものと変化していくことがイノベーションなのではないでしょうか」と提言しました。

一方で舟橋氏は、未来を語れる場所を作ることの大切さを強調。そこで、Movement(思いついたらやってみる)、Weird & Creative(変であることがクリエイティブ)、Meetup & Convergence(多様なジャンルの人が混じり合う)という3つのキーワードを挙げて自ら活動していこうという姿勢を示し、「壁を乗り越えるのは後で良い、やれる人からやってしまおう」と話しました。

最後に、イノベーションのエコシステムを作ろうとしたときに、企業、大学、地域がお互いに期待することや、一緒に協力したいという希望などを一人ひとりメッセージとして述べました。

"大学の研究成果や知見など、様々な方法論などを取り入れていきたい"(パナソニック 福井氏)

"地域の方々が大学の新しい挑戦を受け入れてもらい、かっこいいと言われるようになると良いと思う"(東京大学 菅原氏)

"大学や企業を試す場として地域を使って頂きたい"(神戸デジタル・ラボ 舟橋氏)

お互いに連携し合ってイノベーションを起こしていこうという強い気持ちが伝わってくるメッセージと共に、「みんなで一緒にやりましょう!」という熱い呼びかけでセミナーは締めくくられました。



セミナー全体の内容をグラフィックレコーディングで記録(富士通デザイン タムラカイ作)

アイデア・技術を組み合わせたオープンイノベーションの数々(タッチ & トライコーナー

様々な企業のアイデア・技術を組み合わせてイノベーションの創出を目指すオープンイノベーション事例の数々を展示会形式でご紹介しました。

IoTを活用したウインドサーフィントレーニングシステムを開発「Windsurfing Lab」

ウインドサーフィントレーニングシステム「Windsurfing Lab」

ウインドサーフィンの操作スキルは経験値的な要素が多く、科学的な分析が望まれていました。そこで、日本ウインドサーフィン協会・ラピスセミコンダクタ株式会社と富士通のデジタルフロント事業本部による共創プロジェクトを開始。「Windsurfing Lab」では、トレーニングシステムを開発し実証実験をスタート。展示ではセイル操作の可視化・分析するデモを体験でき、来場者からは「他のスポーツでも活用できそう」などの声も挙がっていました。

センサーシューズプラットフォーム「interactive shoes hub」

SXSWにも出展したセンサーシューズ。これは慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科と富士通のデジタルビジネスプラットフォーム事業本部による共創プロジェクトです。シューズからのセンサー情報をもとに「足裏から触覚フィードバック」を体感できます。多くの来場者がデモを体験していたのが印象的でした。
デモ対応をした慶應義塾大学大学院の小林氏からは、「来場者の方から、サービスの方向性や利用シーンをもっと具体的に知りたいとコメントをもらいました。また女性用のデモシューズがあると嬉しいとの声もいただきました。これからの課題として考えていきたいです。」とコメントしました。

センサーシューズプラットフォーム「interactive shoes hub」

その他にも、セミナーに登壇された、パナソニックの共創空間「Wonder LAB Osaka」や神戸初クロスメディアイベント「078Kobe」の活動もご紹介しました。

(左)パナソニックの共創空間「Wonder LAB Osaka」、(右)神戸初クロスメディアイベント「078Kobe」

セミナーや展示を通してオープンイノベーションの風を感じることが出来た一日。
富士通はこれからもお客様やパートナー様と、新たな価値を創出させる"共創"を進めていきます。

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