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ヤマハと富士通のデザインアプローチによる IoTビジネスの共創

IoTを活用した新規ビジネス創出に向け、ビジョンを描き、プロトタイプからビジネス化へと導くデザインアプローチが注目されています。富士通は様々な企業との共創に取り組み、デザインアプローチによる新規ビジネス創出を実践しています。自社で完結する従来の事業設計プロセスでは見えなかった可能性を掘り起こし、新たな付加価値の発見を促す取り組みについて、ヤマハと富士通の「IoT×音の共創プロジェクト」から可能性を探ります。
[富士通フォーラム2017 セミナーレポート]

デジタル革新を推進する「デザインアプローチ」

セミナーは、前半が富士通デザインの田中培仁、ヤマハの多田幸生氏による「デザインアプローチ」に関する講演、後半は、ヤマハと富士通の共創プロジェクト「CREATIVE GROUND」の紹介と、プロジェクト進行のポイントについてのディスカッションとなりました。

デザインアプローチの3つのステップとは

富士通デザイン株式会社
ストラテジック・デザイングループ
デザインディレクター
田中 培仁

「デジタル革新を推進したいが、何から手を付けていいのか分からない」「やってみたが、うまくいかない」......富士通へのIoTに関するお問い合わせのおよそ7割は、こうした声で占められており、お客様はまさに手探り状態であることが分かります。

そこで富士通が提案するのは、共創によるデザインアプローチです。これは、既存ビジネスの延長線上で実現できる施策を考えるのではなく、富士通のようなデジタルやICTのデザインノウハウがある第三者と共創することで、既存の固定概念に縛られることなく構想を描くというアプローチです。

新規事業を創出するまでのステップは、3つあります。1つ目は、UX(ユーザーエクスペリエンス)起点で未来のビジョンを描くこと。2つ目は、スピード感を持ってPoC(概念の実証)を実施、フィードバックを受けながら描いた体験価値をブラッシュアップすること。3つ目は、自らトレンドを作り、ルールすら変えてしまうつもりで事業化を検証することです。

UXは、使用前、使用中、使用後のすべてのプロセスでユーザーが得られる体験価値を指します。実は日本では古来よりUXが大切にされてきました。例えば茶道では、作法、茶器、お茶菓子、茶室の円窓からの景色などが1つの体験価値を生みます。デジタル革新に成功しているシリコンバレーの企業では、UXをマネジメントする人間が製品の最終決定を行う所も多く、ユーザーの価値体験を一番に考えサービスをデザインしています。

デジタル時代の新規事業では、このUX起点の価値観をコアに据え、ビジネスが実装されるまで絶対にぶれないようにすることが重要です。ユーザー視点を忘れると、製品やサービスができた時、これは誰のためのものなのか分からなくなることもあります。弊社もこれで苦い経験があります。いかに最後までUX起点でモノ作りができるかが、成功のカギとなります。

楽器が楽器以外のものとつながる 「楽器WoT」の可能性

ヤマハ株式会社
楽器・音響開発本部
FSMプロジェクトリーダー
多田 幸生氏

約35年前に登場したMIDI標準規格は、様々なメーカーの電子楽器をつなげる画期的な取り組みでした。そして2012年、GoogleやW3Cが中心となってWeb MIDI API規格の検討が開始され、楽器とインターネットの距離はものすごく近くなりました。ヤマハでも、Web MIDI APIを介して小型シンセサイザー「reface(リフェース)」の音色を共有するサービス「Soundmondo(サウンドモンド)」を提供しています。

楽器がインターネットにつながる 「楽器IoT(Internet of Things)」も面白いと思いますが、楽器がWebプロトコルを通じて楽器以外のものとつながる 「楽器WoT(Web of Things)」はもっと面白いと思います。

今までつながらなかったもの同士がつながることで、新しいユースケースや価値が生まれると考えています。音楽電子事業協会(AMEI)は、異なるプロトコルを相互変換するプログラム「Creators' Hub(クリエイターズハブ)」を公開していますが、ヤマハも「Creators' Hub」を使って2017年2月、長崎のハウステンボスで開催されたドローンレースにて、ドローンの動きを音に変えて曲を即興する試みを行いました。

これまでは数社が規格を考え、それをベースに各メーカーがプラットフォームや製品を開発、開発された製品をユーザーが使うことでユースケースが作られるという流れでした。しかし今は規格を用意してもユーザーは反応してくれません。むしろ、新しいユースケースが先に多く誕生し、プラットフォームが生まれ、最終的に規格が作られる。その規格も、ファームウェアのアップデートでどんどん成長していきます。

メーカーは、こうしたユースケースをどう作れば良いのでしょうか。目指すは破壊的イノベーション(注1)で、これには未来のビジョンをしっかり見据えることが必要です。そこで、私たちはビジョンを定義してから今やるべきことを考えるバックキャスティングを実施しました。まずは、ヤマハの企業理念「感動を・ともに・創る」に立ち返り、自分たちがなりたい姿をプロジェクトメンバーと話し合いました。

その結果、まず「"感動を創る企業"として世界一になる」というなりたい姿を決めました。これをベースに、現時点でのヤマハの強みや成功体験を一旦忘れて未来を客観的に予測し、望ましい未来からヤマハに求められるものを可視化して共有、現在のヤマハとのギャップから、どういう事業を手掛けるべきか、どのような技術が足りないのかなど、具体的な内容に落とし込むのです。この"求められるものの可視化と共有"を富士通と共創しました。

(注1)既存市場の秩序を乱し、業界構造を劇的に変化させてしまうイノベーションのこと。

ヤマハと富士通の共創プロジェクト「CREATIVE GROUND」

パネルディスカッションの様子

セミナーの後半は、ヤマハの多田幸生氏と富士通デザインの田中培仁による対談形式で進みました。ヤマハと富士通の共創プロジェクトの始まりについて、田中は「富士通のセンサーシューズ『interactive shoes hub』で得られたモーションデータを『Creators' Hub』経由で音とつなげてみて、何か感動を体現するユースケースが創れないかというひらめきでした」と振り返りました。

その時に作った仕組みは、2016年3月にテキサス州オースティンで開催されたクリエイティブビジネスフェスティバル「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」に共同出展し、その1か月後の六本木アークヒルズで開催された「Sound and City」にも出展しました。

Sound and CityではSXSWで出展したプロトタイプを発展させ、履いている人の動きを音や照明に変換、楽器で音楽を演奏できるようにしました。「参加してくれた人たちの笑顔がちょっとした感動体験になった」と笑う田中に対し、多田氏も「こういう取り組みを行うと必ずビジネスモデルをどう考えているのか質問されますが、今回はそれよりも文化を創ることが大事だと感じました」と、共創の取り組みの重要性を語りました。

プロトタイプを1、2か月おきに作り進めることで、「プロジェクトの若手メンバーにも変化が見られた」と多田氏は言います。「SXSWから帰ってきた若手が、ヤマハはもっとこうするべきじゃないか、ソーシャルグッド(社会貢献)をどう実現するか、などと言って来るようになりました。社会の中で自分は何ができるかという意欲が高まったように感じました」(多田氏)。

こうして、両社は「CREATIVE GROUND(クリエイティブグラウンド)」というビジョン共創プロジェクトに踏み出しました。インタフェースの進化やモノの知性化という「決まっている未来」を踏まえながら、デザイナーやエンジニア、AIエキスパートなど数十名が参加する合宿で「こんな未来をつくりたい」という未来のアイディアを出し合う取り組みを進めました。

事業領域も今まで考えもしない所を見い出すために、牧場見学やスポーツ観戦などでフィールドワークやクリエイションを繰り返し、アイディアを洗練させていきました。

「社内だけでは議論が出尽くしたように感じてしまい、今ある技術も古くて使いものにならないとか、音質が足りないからもう少し足すべきなどと思ってしまいます」と述べる多田氏は、合宿やフィールドワークをすることで、実は社内にたくさんの良いものが眠っていることに気付かされたと明かします。

一方で、「自分たちには見えていない市場が富士通には見えており、組み合わせることで良いものが生まれると感じた」と述べました。

こうして生まれたビジネステーマが「Sound Intelligence」(知性化された音)です。音を時間や場所などと紐づけてサーバに記録し、状況に合わせて音を再現、様々なフィールドで全く新しい体験を実現するというコンセプトです。テーマを分かりやすく伝えるためのコンセプトブックやロゴのほか、周囲の音を遮断せずに音が聞ける各種センサー搭載イヤホン「Sound Curator」、プレイヤーの動きを読み取って音や演出を拡張するスピーカー「Sound Producer」などを富士通デザインが全体のクリエイティブディレクションをしながらヤマハとデザイン、さらにはプロモーションムービーを作成しました。

[Sound Intelligence]

現在はPoCの検証が完了し、富士通のデジタルプラットフォーム「MetaArc(メタアーク)」でAIやコンテキスト状況分析などを行いながら、ヤマハの次世代サウンドテクノロジー端末を組み合わせて、まったく新しいビジネスを創ることを目指します。

共創を通じて、多田氏はこう感想を述べます。「何か新しいことをやろうとする時、新規事業と既存事業が対立しがちです。でもそれは、今はまだ存在しないお客様の顔がイメージできないのが大きな理由だと考えています。『Sound and City』などでのお客様の笑顔や、プロモーションビデオのお父さんや女の子の笑顔を見て、こんな世界を作りたいと心から思い、新しいことに取り組むモチベーションとなりました」。

富士通では、浜松町の「富士通デジタルトランスフォーメンションセンター」(DTC)や、六本木の「HAB-YU」「TechShop Japan」、蒲田の「FUJITSU Knowledge Integration Base PLY」という共創空間を提供しています。田中は「デジタルサービスのデザイン力、多様な競争の場、業種・業態をクロスしていくインテグレーション、デジタル革新の統合基盤を掛け合わせることで新規事業の創造をお手伝いできればと考えています」と語ります。IoTの未来創造プロジェクト「IoT FUTURE UX xF」も始まり、今後も様々なプロジェクトを紹介する予定です。

登壇者
  • ヤマハ株式会社
    楽器・音響開発本部
    FSMプロジェクトリーダー
    多田 幸生 氏

  • 富士通デザイン株式会社
    ストラテジック・デザイングループ
    デザインディレクター
    田中 培仁

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