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作業員の状態をIoTで把握し、安全な職場づくりの実現に活用する

安全な現場業務への取り組みは企業にとって永遠のテーマとなっています。富士通では、現場作業員の労働災害や健康被害のリスクを減らし、コスト削減や生産性の向上を可能とするIoTソリューションを提供しています。ものづくり、インフラ整備、エネルギーなど様々な産業分野で求められる「安全性」と「作業効率」の向上に貢献する富士通の「安全管理支援ソリューション」について、ダイキン工業様のフッ素化学プラントにおける導入事例を通してご紹介します。
【富士通フォーラム2017 セミナーレポート】

IoTを活用した安心安全な職場づくりソリューション

富士通株式会社
イノベーティブIoT事業本部 IoTビジネス開発統括部 ビジネス推進部
藤野 克尚

富士通のIoTソリューションは、機器に組み込まれたセンサーからのデータをそのまま利用する従来型のIoTとは一線を画しています。携帯電話などで富士通が培ってきたセンサー解析アルゴリズムを用いて、集めたデータをお客様が簡単に利活用できる形に解析してから提供します。

本アルゴリズムを使うことで、お客様はアルゴリズムの自社開発や妥当性検証に要するコストや時間を削減でき、安全管理を強化したい、新サービスを立ち上げたいといった要望を簡単かつスピーティに具現化できます。

今回ご紹介するユビキタスウェアの基軸は、各種センサーを内蔵した「コアモジュール」と、その計測データを解析して価値あるデータに変換する「センサーアルゴリズム」です。これらにより、身体姿勢、転倒・転落、熱中症の危険度、体への負荷などを数値化して利活用し、安全管理や労務管理の仕組みを構築します。

ユビキタスウェアを構成するコアモジュールは、富士通がハードウェアの形で提供する「バイタルセンシングバンド」や「ロケーションバッジ」などのほか、お客様が自社製品に組み込んでIoTデバイスを作ることもできます。また、「安全管理支援ソリューション」では、PCやスマートフォン向けのSaaSアプリケーションも提供しているので、短期間での導入が可能です。

安全管理支援ソリューションで、どのようなデータを利活用できるのか、事前に検証したいお客様には、さまざまな利用シーンを想定した「パイロットパック」を用意しています。データ精度はどれくらいか、自社の運用フローに適用できるかなどの確認にご利用いただけます。

労働災害の現状とダイキン工業様の取り組み

IoTを使ったシンプルで効果的な安全対策の検討

ダイキン工業株式会社
化学事業部 製造企画部 生産革新G
金子 みちる 氏

ダイキン工業では、国内2箇所の化学プラントで、約400名の従業員が24時間操業でフッ素化学製品を製造しています。フッ素には撥水・撥油性、耐熱性、耐薬品性などの特性があり、自動車、IT、建築、太陽光発電など様々な分野で利用されています。酸や硫酸などの劇薬、爆発性のガス、高温となる作業場などの危険が潜む化学プラントであることから、労働災害を減らす取り組みは非常に重要になります。

国内の労働災害による死傷者数は年々減っているものの、2015年には製造業だけで2万人以上が労働災害に遭っていて、その4割は転倒・転落です。また、最近増加している労働災害に熱中症があります。屋外や高温の作業場では空間を冷やす根本対策が難しいためです。労働人口の減少に伴い、一人作業の現場が増え、万が一の時に救助が遅れるリスクから、一人作業の安全対策も重要です。

ダイキン工業では、労働災害を防ぐため、回転機への巻き込みや爆発など機械や化学の怖さを体感させる安全教育を実施しています、日々の作業でも、作業者と監督者が報告書や話し合いを通じて体調や作業の理解度を相互確認するなどの安全対策を実施しています。

しかし、それでも労働災害を完全に防ぐことはできません。一つの課題は、体調の判断が人に委ねられていることです。監督者は医者ではありませんし、作業者も周囲への迷惑などから体調不良を正直に申告しなかったり、作業に夢中になって体調の悪化に気付かないことがあります。

既に多くの安全対策を実施していて、さらに新しいルールを導入しても現場での徹底は難しそうです。そこで、IoTなら、シンプルで効果的な安全対策が行えるのではないかと考えました。

安全性向上のために「安全管理支援ソリューション」を導入

IoTの導入にあたっては、機能面では、「人の体調の異常検知を人の判断に依存せず行える」ことと、「熱中症の原因にもなる高負荷作業が体調変化の解析で分かる」ことを重視しました。一方、ハード面では、「作業の邪魔にならない」ことと、「屋外や暑い屋内など高温労働環境にも適応して異常検知できる」ことを必須条件としました。

数社の製品を検討した結果、富士通の「安全管理支援ソリューション」が最も条件に合致していたので、テストすることになりました。

安全管理支援ソリューションには、健康管理、安全管理、労務管理という3つの主な機能がありますが、今回は、健康管理と安全管理を重視し、社内でも最も過酷な屋外および高温熱源のある屋内で、3交代勤務、1人作業が発生する環境下でテストを行いました。検証項目は、熱中症予防への有効性、転倒・転落の検知、作業改善のためのデータ解析です。

ダイキン工業は富士通とテスト期間中も打ち合わせを重ねながら、化学プラントで使える仕様への改修を進めました。その一つがアラームのチューニングです。安全管理支援ソリューションには、作業員の体調に関して「熱ストレス」と「身体負荷」という2つのアラームがあります。テストの初期には、この2つのアラームが1日あたり合計13件鳴っていましたが、このうち正常に鳴ったのは3件だけで、休憩中や事務仕事中などストレスや負荷の少ない時間帯に鳴ることもありました。

原因は、富士通の設計コンセプトが「早めにアラームを鳴らすことで危険を回避する」ことを重視していたためで、現場環境を考慮してアラームの基準を調整しました。この結果、「夢中に作業している時にアラームが鳴ったので休憩したが、あと10分作業を続けたら体調が悪くなったかも」と作業員が言うほど、適切なタイミングでアラームが鳴るように改善されました。

バイタルセンシングバンド

もう一つの改修点は安全管理支援ソリューションのセンシングデバイスであるバイタルセンシングバンドの装着方法です。センサーが肌に密着していないと正確にセンシングできませんが、当初のバンドアタッチメントは、装着にコツがあって時間もかかりました。そこで、富士通とバンドアタッチメントを改良して、簡単にしっかり肌に密着できるように装着できるようにしました。

作業員の体調データをスマートフォンと連携

アラームとバンドアタッチメントの改修で誤検知は大きく減りましたが、まだ問題は残りました。ゴム手袋を着用して作業を行うと手袋の内側は気温や湿度が上がるため、環境悪化と判断されてアラームが鳴ることがありました。

また、作業中に手首を大きく動かした動作を転倒・転落と誤検知することもありました。この二点について、ダイキン工業でセンサーを上腕部に装着することで解決できないか試してみたところ、手首装着時と計測データの誤差は小さく、手首より体幹に近いので転倒・転落の誤検知も減ることが分かりました。

もちろん、ゴム手袋の影響は受けませんし、ゴム手袋装着時にバンドアタッチメントが引っかかることがなくなり、誤検知アラームが減って仕事に集中できると、現場からも非常に高い評価が得られました。この結果は富士通にフィードバックされ、現在、製品化に向けて検討が進められています。

また、作業員の体調データについて、現場からは、「スマートフォンで見られるようにして欲しい」という声が多く寄せられました。PC画面では全ての情報を見られますが、監督者が常にPCの前にいるわけではないからです。そこで、富士通と作業者の体調や状況を一覧で確認できるスマホアプリの開発を進めています。

安全管理支援ソリューションによって、作業者が感じている身体負荷を客観的数字として見ることができます。解析の結果、同じ仕事量でも20代は40代と比べて負荷が低いことや、太っている人と痩せている人でも負荷レベルが異なることがわかりました。仕事量を平等とする従来の仕事の振り分けを、今後、負荷量を平等とする振り分けにすることで、一部の人に負荷が集中して体調不良となるリスクを防げると考えています。

このように、テストでは現場の生の声を集めて富士通との密な打ち合わせとシステムの改善を進めた結果、当初の要求を概ね満たすことができたので2017年6月から正式に運用を開始します。

作業員の位置を把握

労働災害対策として導入した安全管理支援ソリューションですが、機能を追加して生産性の向上にも活用する取り組みも始まっています。その一つが、ヒューマンエラーの軽減を目的とした位置把握です。作業員は「ロケーションバッジ」を胸部に装着して作業を行い、監督者は作業員の位置を監視して手順通りの作業が行えているかチェックし、手順と異なる動きがあればアラームで知らせます。現時点では人手に頼っている動作チェックを将来的にシステム化することも検討しています。

もう一つの取り組みは、ゲートウェイとして使っているスマートフォンを活用して作業者による手書き記録の削減と情報共有を進めることです。テストでは、富士通の「スマートコミュニケーション」を使って、作業の出来栄え写真のチャットでの共有や、テレビ電話での現場状況の説明などを行えるようにしました。使い慣れたLINEと同じように操作できることもあって現場の評価は非常に高く、今後の導入に向けて活用方法を検討しています。

ダイキン工業化学事業部でのIoT導入はまだ始まったばかりで、解決すべき課題も残っていますが、今後も富士通と一緒にシステムの価値を高めていきたいと考えています。

登壇者
  • 富士通株式会社
    イノベーティブIoT事業本部
    IoTビジネス開発統括部
    ビジネス推進部
    藤野 克尚

  • ダイキン工業株式会社
    化学事業部 製造企画部 生産革新G
    金子 みちる 氏

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