デジタル革新を最大限に活かし新たな価値を創り出す Human Centric Innovation : Digital Co-creation

【富士通フォーラム2017基調講演レポート】

共創を実現する最先端テクノロジーと新たなアプローチとは

富士通 執行役員常務 CMO
阪井 洋之

次に執行役員常務の阪井が壇上に立ちました。
「先日、デジタル革新の進捗について、グローバルに経営者の方へ調査を行いました。その内日本の結果は、全体の68%、3分の2以上の企業が既に開始しているという回答でした。富士通もお客様とデジタル革新の共創に取り組んでいますので、その一部をご紹介します。

川崎地質様とのAIを活用した取り組みでは、日本国内で年間3,300件も発生している道路の陥没事故を防ぐための地下の空洞探査を実施。富士通の画像認識技術により、空洞のある場所を素早く見つけることができ、従来の10分の1の時間で探査結果の解析が行えるようになりました。

野村證券様でも、富士通のAI技術で業務処理のエラーを発見するシステムを開発しています。1日に数億件という大量のデータ処理では、ITを駆使してもミスを完全に無くすことはできませんでした。そこで、富士通の機械学習技術を使って開発したアルゴリズムを10の業務システムに適用し、今後、全社的に展開する計画です。
(講演では、ご担当された野村證券の廣瀬佳彦様、平野良栄様よりビデオメッセージをいただきました)

また、インドネシアのKPPPA 女性強化・児童保護省様でも富士通の技術を取り入れていただいています。インドネシアでは、2016年に女性への虐待事件が25万件以上発生し大きな社会問題となっていましたが、広大な国土がネックとなり事故状況の把握が課題でした。そこで、富士通と共同でシステムを開発し、市民からの電話や係員からの報告、SNS情報など虐待に関する情報を集中管理・見える化を実現。虐待防止の活動に活かしていきます」

音の技術とICTの融合で新しい感動体験を

続いて、富士通との共同プロジェクトのリーダーとして、ヤマハの多田幸生氏を紹介しました。これは、ヤマハ様が持つ音のノウハウと富士通のIoTやクラウドの技術力を融合し、新しい感動体験を創り出すプロジェクトです。

ヤマハ株式会社
楽器・音響開発本部 FSMプロジェクトリーダー
多田 幸生氏

「両社のエンジニアやデザイナーが一緒になって、ワークショップや合宿、フィールドリサーチを何度も実施し、そこからアイディアを創出。ユーザーのコンテキストをシステムが理解し、音によりユーザーに感動をもたらす世界を目指しています。

ヤマハのコーポレートスローガンである"感動を・ともに・創る"をベースに、未来のヤマハに求められることを両社のメンバーで徹底的に議論しました。およそ1年間のプロジェクトでしたが、非常に密度の濃い時間を共有できました」

AI、ブロックチェーン、デザイン思考――先端技術が共創を加速する

さらに阪井は、社長の田中が示した"富士通が目指す3つのこと"について、具体的な取り組みを紹介しました。

「まずは『最先端のテクノロジー』として、人工知能(AI)に関する取り組みを紹介します。富士通は、理化学研究所様と共同開発したスーパーコンピュータ「京」の技術と、最先端の半導体技術を投入して、独自のディーブラーニング専用のAIプロセッサを開発しています。これにより、単位電力あたり10倍の性能を目指し、2018年度の出荷に向けて、現在開発を進めています。"Deep Tensor(ディープテンソル)"という富士通独自の技術の開発も進めています。

また、富士通はブロックチェーンのビジネス適用に向けて、独自の技術開発を行うとともに、オープンソースとしての発展にも貢献するために、世界30社以上で構成されている"Hyperledger Project(ハイパーレッジャープロジェクト)"にプレミアメンバーとして参画しています。

2つ目の『共創のプラットフォーム提供』では、デジタルビジネスブラットフォーム"MetaArc(メタアーク)"を提供しています。MetaArcでは、IoT、AIなどのデジタル技術を活用した新しいシステムであるSoEのスピーディな構築、そして、現行の基幹系・情報系システムであるSoRのクラウド移行を強力にサポートします。

MetaArcでは、オラクルやBox社などのアライアンスパートナーのサービスも積極的に取り込んでいます。さらに、インダストリーごとのプラットフォーム展開も進めており、富士通の長年に渡るお客様との取り組みで培ったナレッジをプラットフォーム化し、すでに金融の"Finplex"や、ものづくり"COLMINA"を発表しています。

3つめの「共創パートナーとなる」という取り組みでは、共創の"場"として、東京・浜松町の『デジタル・トランスフォーメーション・センター(DTC)』などを設置。"デザイン思考"を活用した数多くのワークショップをお客様と実施し、既に具体的なプロジェクトが数多く進んでいます」

「オープンイノベーション」というコンセプトを世界に

最後に阪井は、富士通のオープンイノベーションへの取り組みとして、2015年にアメリカ・シリコンバレーに開設した、「オープンイノベーションゲートウェイ(OIG)」を紹介。富士通のコネクションを活かして、新しいビジネスを検討中のお客様とシリコンバレーのスタートアップや大学・研究機関などをつなげている活動を、現地で対応しているモヒ・アメッド氏が壇上に上がり紹介しました。

富士通
Open Innovation Gateway シニア・ディレクター
モヒ・アメッド

「OIGを開設から約2年。すでに国内外のお客様、先進的なスタートアップ、企業、大学や企業団体、非営利団体など国内外1700人以上の人たちがOIGを訪れています。

OIGの取り組みでは、"デザイン思考"で世界中に知られているスタンフォード大学"d.school"にも、日本企業初のインダストリーパートナーとして富士通・OIGが選定されました。そして、様々なお客様と"ユーザーエクスペリエンス最大化に"向けたデザイン・プロジェクトや"FinTech活用"、スピード感のある"イノベーション創出"などのセッションを実施。ハーバード・ビジネススクールからも、富士通・OIGの挑戦を高く評価していただいています。"新しい価値の共創"に、富士通・OIGをぜひ活用していただきたいと思っています」

さらに、ベンチャー企業とのCo-creationの取り組みとして、AIベンチャーのグリッド 曽我部完氏を紹介しました。

株式会社グリッド
代表取締役
曽我部 完氏

「我々のAI開発のコアとなるのが、機械学習フレームワークの"ReNom"です。これは、複雑なプログラミングをせずとも、様々なアルゴリズムをブロックのように組み合わせて、AIを構築できるようにするAIの開発基盤であり、データ分析基盤となります」と技術の特長を説明。今回、このAI開発基盤"ReNom"と富士通の"Zinrai"を組み合わせた新たなAIサービス開発で、協業に合意したことを報告しました。

最後に、田中が再び壇上に上がり、「富士通は、"テクノロジーで人を幸せにする"という信念をもって、皆様とともに豊かな未来を築いていきます」と述べ、基調講演を締めくくりました。

基調講演(1:07:44)