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自動運転の普及で広がる巨大市場、技術を知りビジネスチャンスを手に入れる【後編】

世界的に急速に進む自動運転システム開発。自動ブレーキ、クルーズコントロール(アクセルを踏まなくても一定の速度で自動的に走行するシステムのこと)、障害物回避―― 数多くの機能が開発されてきましたが、安全保障の問題など、いくつかの大きな課題が残されています。自動運転システムをオープンソースで開発する東京大学 准教授の加藤真平氏に、その解決策について伺いました。

立ちはだかる「レベル3」の壁とは

数多くの企業や研究機関が自動運転システムの開発を進めていますが、今の開発段階は、アクセル、ブレーキ、ステアリングの操作のうち、1つだけを自動化する「レベル1」あるいは2つ以上を自動化する「レベル2」にあります。そして、「レベル3」はレベル2の複数の制御全てを自動車が行い、ドライバーは緊急時のみ対応する段階とされ、「そこに至るまでには大きな困難が立ちはだかっている」と加藤氏は言います。

東京大学 准教授 加藤真平氏

自動運転システム構築塾での講義の様子

「緊急時にのみドライバーが対応する、つまり、ドライバーは従来の『運転』から『監視』へと立場が変わることになります。その場合でも、ドライバーは周辺の状況やシステムの状態を常に理解しなければなりませんが、それは難しいと言えるでしょう。そもそも自動運転中なので、ドライバーはほかの作業に集中していることも考えられますし、自動車からの緊急要請に対して、瞬時に状況を判断し、ステアリング操作ができるかというと現実的ではないですよね」

監視行為にゲーム性を持たせて危険を察知する

RoV監視システムのデモ

その対応策の一つにVRを使った方法があると言われています。加藤氏は、VRの発展系であるRoVを使った監視システムを開発し、解決の糸口を探っています。RoVは Real oriented Virtualityの略で、ヘッドマウントディスプレイを通して見える地形は現実世界のものでありながら、テクスチャや物体が仮想化されているというものです。たとえば信号機が赤の場合には、ディスプレイ上では壁が出現して行く手を阻んだり、歩行者がいる場合は地面に穴が空いたりといったような仕掛けになっています。「ゲーミフィケーションの要素を取り入れることで、ドライバーや同乗者の監視意識を解放する仕組みづくりが今後求められていくのではないでしょうか」と加藤氏は話します。

実習の様子

「私はオープンソースの自動運転ソフトウェア『Autoware』の開発を進める一方で、こういったシステムを基盤としたサービスやソフトウェア開発にも注力しています。実のところ、私たちが目指しているのは、世界中で販売される車両に自ら開発したシステムを搭載することではないんです。というのもAutowareはオープンソースなのでビジネスの観点から利益を上げることはできませんし、技術力も資本力も大きなグーグルやマイクロソフトといった企業に正面から挑み、自動運転システムの市場を占めることができるかと言われると、難しいでしょう」

自動運転が発展するために必要な「安全保障」の設定

自動運転車両に取り付けられたセンサー

自動運転が目指すべき先はどこにあるのでしょうか。たとえばスマートフォンに搭載されるAndroidはオープンソースのOSで、自由にアプリケーションの開発ができたことでシェアを獲得しました。自動運転システムも同様に、その上に乗るアプリケーションが盛んに開発されることで浸透が加速するのではないかと加藤氏は語ります。

「自動運転を応用したシステムで解決できる社会問題の一つに、輸送の最効率化があります。人を乗せずに走るタクシーや、不在による再配達などの配送サービスは、非効率な部分が非常に多い。また、輸送コストの7〜8割は人件費と言われ、自動運転が実現すると人件費だけでなく、排ガス、渋滞など、道路交通が抱える社会問題の解決に大きく寄与できると考えています。そういったシステム開発こそが自動運転の本質であり、私たちの目指すところです」

しかし、自動運転をベースとした応用技術の開発の前に、もう一つの壁である「安全保障」を乗り越えなければならないと加藤氏は指摘します。

「今は各企業が独自に安全保障の基準を設定している状態なので、企業によってばらつきが出てしまっています。たとえばグーグルのように、1000万マイルを走行したうち、1マイルを除いて事故が起きない、という方法を採用することも一つでしょう。もしくは、あらゆる環境を想定した自動運転用のコースを作り、事故なく完走できるのか、という手法も考えられます。今後、様々な車両に自動運転システムが搭載されることを想定すると、安全保障の業界基準を厳しく定めなければ大きな問題を引き起こすことになるでしょう。そこが最も難しく、解決するまでに時間がかかると思いますね」

技術的な問題の壁も厚い中、高い目標に向けて日々取り組み続けている自動運転システムの開発ですが、これからは企業間での連携も進めていくことが、自動運転のある社会を実現するカギとなりそうです。

加藤 真平氏
東京大学情報理工学系研究科准教授
名古屋大学未来社会創造機構客員准教授
株式会社ティアフォー取締役兼CTO
2004年慶應義塾大学理工学部卒業。2008年慶應義塾大学大学院理工学 研究科開放環境科学専攻博士課程修了。博士(工学)。2009年から2011年までカーネギーメロン大学、2011年から2012年までカリフォルニア大学にて客員研究員、2012年から2016年まで名古屋大学大学院情報科学研究科の准教授。
現在、東京大学大学院情報理工学系研究科の准教授としてオペレーティングシステムや並列分散システム、サイバーフィジカルシステム等の研究に従事。名古屋大学未来社会創造機構の招へい教員も兼務。

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